異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

ヴァンパイア王の目的

ローレンツ「早く出せ!」


アリスティル(ユリウス)「ちょっと……急いでるからって何も…………」


シャーレ「ど、どどどどうぞ」


ローレンツ「お、ありがとな!物分りの良い奴は嫌いじゃねぇ」


アリスティル(ユリウス)「…………はぁ」



ローレンツが本を受け取るとすぐさま本を開く。アリスティルさんは横からその本を覗き込む。



アリスティル(ユリウス)「……あ、このページだ。」


ローレンツ「ここか……何も書いてない」


アリスティル(ユリウス)「それは


アリスティル(ユリウス)「私はこの本に書いたのではない。刻印をしたのよ。そう簡単に消えるはずがない…」


シャーレ「……アリスティル」


アリスティル(ユリウス)「何?話しかけないで、ここにいることがバレたらやばいんだから急がないと」


シャーレ「……それはヴァンパイア王?」


アリスティル(ユリウス)「…………」



しばらくしてアリスティルさんは何か神妙な顔持ちで口を開く。



アリスティル(ユリウス)「…分かったことの結論から言おう。我らが父…ヴァンパイア王は人間界を征服しようとしているわけでは無い。」


アリスティル(ユリウス)「人間を支配下に置こうとしている。」


ローレンツ「…………人類家畜化計画」


シャーレ「!?」


暁人「?!」



シャーレさんはその言葉に耐えきれなかったのかアリスティルさんの胸ぐらを掴む。



シャーレ「っ……どうして!?何で話さなかったの?知ってたんでしょ!」


アリスティル(ユリウス)「確信が無かった。それが事実であるという証拠が無かった。証拠がなければ誰も信じない。確信がなければ誰も信じない。」


シャーレ「ぐっ…………」


アリスティル(ユリウス)「ヴァンパイア王はあと3時間後にこの国の皇帝に謁見する。」


アリスティル(ユリウス)「そこで宣戦布告するのだろう。『人間とヴァンパイアの盟約を破棄する』…とね」


暁人「盟約……」


アリスティル(ユリウス)「その口ぶり…暁人さんは既に知ってるのね」



ローレンツに連れてかれる前にフィルナンドさんに聞いたことを思い出す。

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