異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

別れを告げる前に

フィルナンドさんとスピアが揉めているとガチャッと扉が開く音がした。



アリスティル「…………」


アリスティル「何、してるの……?」


スピア「主……!」


フィルナンド「アリス……!」



フィルナンドさんとスピアはアリスティルさんの姿を見た瞬間、アリスティルの元に駆け出した。



フィルナンド「急に態度が変わったらしいじゃないか。どうした?ダイエットか?」


スピア「ダイエットなさるんですか?私はあまりお勧め致しませんよ。たとえ主が太っていても私は全然構いませんから!!」


アリスティル「……」



いつもならアリスティルさんは静止させるのだが、全く顔色変えずに2人を見ていた。



フィルナンド「……?」


スピア「………………?」



二人ともさすがに様子がおかしい事にようやく気がついたようだ。



アリスティル「……私は、これからヴァンパイア界に行ってくる。」


スピア「えっ……こんな時間に?!」



窓を見れば今は夜であることが分かる。



アリスティル「………止めないで」


アリスティル「あと、よく聞いて」


アリスティル「…………いつだって諸悪の根源は絶たなければならない。………………たとえそれが私だとしても」


フィルナンド「何を言って………!?」


アリスティル「………なるべく貴方達に危害は加えないようにする。でも保証は出来ない。」


アリスティル「さようなら。……今までありがとう」


アリスティル「私は全てが終わるまでは戻らない。でも、私達が離れても近い未来、また会えるから」



部屋の中に静寂が広がる。そんな静寂を破るかのようにフランチェスカがアリスティルさんの腕を掴む。



フランチェスカ「待って!」


フランチェスカ「話が見えない!私達に何も教えずに出ていくの?あの日約束したでしょ!忘れたの?!」


アリスティル「……」


フランチェスカ「それに姫ちゃんのおかげで今の私がいる。姫ちゃんに会わなかったら私は医者になれなかった!私はいつだって姫ちゃんの力になりたい。それは他のみんなだって同じはず」


フランチェスカ「それでもなお、何も教えてくれないの……?私たちを頼ってくれないの?」


アリスティル「…………ごめんなさい」


フランチェスカ「……っ!」


フランチェスカ「姫ちゃんの馬鹿!!」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品