異世界王政〜Four piece stories〜

桜井ギル

予兆

あの後俺は大人しく自室へ戻って行った。


やはりアリスティルさんの事が気にはなるけどスピアの言っていたことが気になるばかりだ。


どうしてスピアはそこまで大怪我をしたアリスティルさんから俺を遠ざけようとするのだろう。


もういいや…。もう寝るとしよう。


考えようとするだけで頭が痛い。風邪かな?



暁人「もう寝るか…」


暁人「……」








その頃


フランチェスカ「フィルナンド、ちょっといい?」


スピア「ああ。」


フランチェスカ「…言い難いんだけどね。」


フランチェスカ「姫ちゃんの覚醒ヴァンパイア化が思ったよりも早くなってるの。」


スピア「…何かあったのか?」


フランチェスカ「それが…姫ちゃんの首元や手首とかにヴァンパイアの牙のあとが複数見つかったのよ。」


フランチェスカ「それが気がかりで私独自で調べて古い文書で見つけたんだけどね、昔姫ちゃんみたいなヴァンパイアのハーフが存在してたらしいんだよね。」


フランチェスカ「でもそのヴァンパイアは最後どうなったかまでは書かれてなかった。その文書はこの城で見つけたんだけど、重要な事が書かれたところは破かれていたり塗りつぶされていたりしてたの。」


スピア「それは今どこに?」


フランチェスカ「ちょっと待ってね」



フランチェスカは医務室の奥の方へ消えていきしばらくして戻ってきた。



フランチェスカ「これだよ。」



フランチェスカは革張りのとても古そうな本をスピアに手渡す。



スピア「…こんな本この城で本当に見つけたのか?この城に仕えて結構経つがこんな本を今まで見たことない。」


フランチェスカ「この本は姫ちゃんの自室で見つけたの。」


スピア「へぇー…っていつの間に!?」


スピア「あの部屋は俺でも入ったことないのにどうやって!それに殆ど鍵がかかっていて掃除をして差し上げようと思っても入れなかったのに!」


フランチェスカ「スピア、君色々やばいね。」


スピア「今はそんなことどうでもいいんだ!」


スピア「その本に主が助かる方法は書いてあるのか?」


フランチェスカ「あるにはあるよー。」


スピア「本当か!?」


フランチェスカ「うん。」


フランチェスカ「スピアはヴァンパイア王家の事知ってるよね?」


スピア「えっ…全然知らない。」


フランチェスカ「まあ普通はそうだよね。私にはヴァンパイアの友人がいてその子にたまに情報を貰ってるんだ。」


スピア「…無償でか?」


フランチェスカ「さあ、それはどうでしょね。ニシシシ。」


フランチェスカ「それでね、情報によると現ヴァンパイア王が引退するらしいの。それで新しいヴァンパイアの王を決めるんだって。」


スピア「へぇーー…んで何?」


フランチェスカ「もしかしたら姫ちゃんはその王位継承権を巡った争いに巻き込まれたのかもってね。」


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