無能な俺がこんな主人公みたいなことあるわけがない。
四章 3 『亜人族』
「話って、俺らにか?」
「は、はいっ!勝手にあとをつけていたことは謝ります!そちらの騎士様の姿を見てこの人しかないと思ったんです!」
猫耳の少女は頭をあげると謝罪を述べた後にキラキラした瞳でアイズのことを見つめていた。
「・・・私?」
「騎士ってアイズのことか・・・?」
アイズとタクミは目を合わせた。いまいち状況が呑み込めない。
「そうです!私の直感と猫耳が騎士様しかいないと言っているんです!見てくださいこの反応!ピクピクしているでしょ?ここまで反応したことはいままでなかったんです!だから私どうしても話を聞いてほしくって!」
「わ、わかった。話を聞くからとりあえず落ち着いてくれないか?まずは名前を教えてもらっていいかな?」
興奮気味に話す猫耳少女をアイズがなだめる。
「あ、すいません!私ったら一方的になってしまいました。私はシャムミルと言います。この容姿からもわかるように亜人族です」
「シャムミルか、可愛い名前だ。私はアイズという。この男はタクミだ、私の仲間だから安心してくれていい」
そのフォローがいるような容姿なのか俺は?アイズに悪意はないのだろうがタクミはひっそり傷心した。
「それで私たちに聞いてもらいたいという話は?」
「はい、実は・・・私をある一族から追われているんです!」
「うむ・・・どうやらそのようだな。どうやらここでゆっくり話している時間はなさそうだ」
「・・・え?まさかっ!」
アイズがすぐに何者かの気配に気づいた様子だった。アイズの言葉に驚いたシャムミルが後ろを振り返った。すると物陰から今度はマントに身を覆っている二人組が現れた。
「ほぉ・・・よく我らの気配を悟ったな。完璧に気配を絶っていたはずだが・・・?」
「ああ、普通の人間には気づけなかっただろう。だが私を欺くにはまだ甘かったようだな」
つまりこの二人組のまったく気づかなかった俺は普通の人間ってことなんだな・・・
無意識のアイズの言葉がタクミの胸に突き刺さる。姿を現した二人組を見てシャムミルがアイズの後ろに身を隠した。タクミよりもアイズの方が頼りになると本能的に察した結果の行動なのかもしれない・・・こうしちゃいられない俺も存在感をだして頼りになるってことをアピールしなければ!
「おい!お前ら!こんな少女を追い回してどういうつもりだ!返事によって痛い目見てもらうぞ!?」
「ふんっ、吠えるな付き人風情がっ・・・!お前のような雑魚の命を奪うことなど容易いのだぞ?」
「・・・犬?」
あらわになった顔をみてタクミが思わず呟いた。
二人組の一人がそういうと頭に被っていたフードを脱いで素顔をあらわにした。あらわになった顔は黒い毛に覆われて常人よりも明らかに高い鼻と鋭い牙が印象的だった。鋭い目でタクミを睨みつけている男はまるで犬・・・いやどちらかといえば狼といったほうがしっくりくる顔だった。
「犬だと・・・!?俺をあんな下等な生き物と同じにするんじゃねー!俺らは誇り高き狼人族だ!お前のその生意気な喉元を食いちぎってやろうか!?あぁ!?」
タクミの一言が気にくわなかったのか男は激昂している。
「その誇り高き一族の男たちが寄ってたかって一人の少女に何の用なのだ?場合によっては私もタクミと同じような行動をとるが?」
アイズが腰に携えている剣の柄に手をかける。
「随分威勢がいい者達だな・・・ここで騒ぎを起こすつもりはない。君を相手にしたら我らも無事という保証はなさそうだからな」
もう一人のフードを被ったままの男がもう一人の男をなだめるように言った。どうやらこの男の方が格上のようだ。
「・・・このまま私が見逃すと思うのか?」
「君に私たちを追いかけてまで斬る道理があるのかな?」
フードに隠された奥から鋭い目が一瞬見えた。
「・・・」
「そんなに焦らずとも君とはまた相まみえる時がくるだろう。その時は私も全力で相手をするとしよう・・・ボルス、ここは引くぞ」
「・・・アンタがそういうならしょうがねーな。命拾いしたなそこの付き人!お前のその喉元は俺が噛み千切ってやるからな!覚悟しとけ!」
ボルスとかいう狼人族の男はそう吐き捨てると再びフードを被りもう一人の男と共に姿を瞬く間に消した。
「・・・どうやら本当に引いたようだ」
気配が完全に消えたのを感じてアイズは剣の柄から手を離した。
「一体あいつ等は何だったんだ?」
「それはこの子に尋ねた方が早いんじゃないだろうか?」
アイズが後ろで怯えていたシャムミルを見た。
「あ・・・すいません!私ったら騎士様を巻き込んでしまって・・・」
「それは構わないさ。それよりも詳しい事情が知りたい、ここじゃなんだから私たちの宿で話を聞かせてくれないか?そこには他の仲間たちもいるんだ。きっと君の力になれるはずだ」
「は、はい!ありがとうございます!」
アイズは優しくシャムミルの頭を撫でた。シャムミルは撫でられ嬉しそうに返事をした。猫耳も嬉しいのかピクピク動いている。
「その・・・付き人のタクミさんも巻き込んでしまってすいませんでした」
シャムミルが申し訳なさそうにタクミに謝った。
「ぷっ・・・失敬」
シャムミルの言葉を聞いてアイズが我慢しきれなかったように吹き出した。
「なっ・・・俺はアイズの付き人じゃねーよ!あのボルスとかいう狼野郎!この借りは絶対返すからな覚えとけよな!」
「は、はいっ!勝手にあとをつけていたことは謝ります!そちらの騎士様の姿を見てこの人しかないと思ったんです!」
猫耳の少女は頭をあげると謝罪を述べた後にキラキラした瞳でアイズのことを見つめていた。
「・・・私?」
「騎士ってアイズのことか・・・?」
アイズとタクミは目を合わせた。いまいち状況が呑み込めない。
「そうです!私の直感と猫耳が騎士様しかいないと言っているんです!見てくださいこの反応!ピクピクしているでしょ?ここまで反応したことはいままでなかったんです!だから私どうしても話を聞いてほしくって!」
「わ、わかった。話を聞くからとりあえず落ち着いてくれないか?まずは名前を教えてもらっていいかな?」
興奮気味に話す猫耳少女をアイズがなだめる。
「あ、すいません!私ったら一方的になってしまいました。私はシャムミルと言います。この容姿からもわかるように亜人族です」
「シャムミルか、可愛い名前だ。私はアイズという。この男はタクミだ、私の仲間だから安心してくれていい」
そのフォローがいるような容姿なのか俺は?アイズに悪意はないのだろうがタクミはひっそり傷心した。
「それで私たちに聞いてもらいたいという話は?」
「はい、実は・・・私をある一族から追われているんです!」
「うむ・・・どうやらそのようだな。どうやらここでゆっくり話している時間はなさそうだ」
「・・・え?まさかっ!」
アイズがすぐに何者かの気配に気づいた様子だった。アイズの言葉に驚いたシャムミルが後ろを振り返った。すると物陰から今度はマントに身を覆っている二人組が現れた。
「ほぉ・・・よく我らの気配を悟ったな。完璧に気配を絶っていたはずだが・・・?」
「ああ、普通の人間には気づけなかっただろう。だが私を欺くにはまだ甘かったようだな」
つまりこの二人組のまったく気づかなかった俺は普通の人間ってことなんだな・・・
無意識のアイズの言葉がタクミの胸に突き刺さる。姿を現した二人組を見てシャムミルがアイズの後ろに身を隠した。タクミよりもアイズの方が頼りになると本能的に察した結果の行動なのかもしれない・・・こうしちゃいられない俺も存在感をだして頼りになるってことをアピールしなければ!
「おい!お前ら!こんな少女を追い回してどういうつもりだ!返事によって痛い目見てもらうぞ!?」
「ふんっ、吠えるな付き人風情がっ・・・!お前のような雑魚の命を奪うことなど容易いのだぞ?」
「・・・犬?」
あらわになった顔をみてタクミが思わず呟いた。
二人組の一人がそういうと頭に被っていたフードを脱いで素顔をあらわにした。あらわになった顔は黒い毛に覆われて常人よりも明らかに高い鼻と鋭い牙が印象的だった。鋭い目でタクミを睨みつけている男はまるで犬・・・いやどちらかといえば狼といったほうがしっくりくる顔だった。
「犬だと・・・!?俺をあんな下等な生き物と同じにするんじゃねー!俺らは誇り高き狼人族だ!お前のその生意気な喉元を食いちぎってやろうか!?あぁ!?」
タクミの一言が気にくわなかったのか男は激昂している。
「その誇り高き一族の男たちが寄ってたかって一人の少女に何の用なのだ?場合によっては私もタクミと同じような行動をとるが?」
アイズが腰に携えている剣の柄に手をかける。
「随分威勢がいい者達だな・・・ここで騒ぎを起こすつもりはない。君を相手にしたら我らも無事という保証はなさそうだからな」
もう一人のフードを被ったままの男がもう一人の男をなだめるように言った。どうやらこの男の方が格上のようだ。
「・・・このまま私が見逃すと思うのか?」
「君に私たちを追いかけてまで斬る道理があるのかな?」
フードに隠された奥から鋭い目が一瞬見えた。
「・・・」
「そんなに焦らずとも君とはまた相まみえる時がくるだろう。その時は私も全力で相手をするとしよう・・・ボルス、ここは引くぞ」
「・・・アンタがそういうならしょうがねーな。命拾いしたなそこの付き人!お前のその喉元は俺が噛み千切ってやるからな!覚悟しとけ!」
ボルスとかいう狼人族の男はそう吐き捨てると再びフードを被りもう一人の男と共に姿を瞬く間に消した。
「・・・どうやら本当に引いたようだ」
気配が完全に消えたのを感じてアイズは剣の柄から手を離した。
「一体あいつ等は何だったんだ?」
「それはこの子に尋ねた方が早いんじゃないだろうか?」
アイズが後ろで怯えていたシャムミルを見た。
「あ・・・すいません!私ったら騎士様を巻き込んでしまって・・・」
「それは構わないさ。それよりも詳しい事情が知りたい、ここじゃなんだから私たちの宿で話を聞かせてくれないか?そこには他の仲間たちもいるんだ。きっと君の力になれるはずだ」
「は、はい!ありがとうございます!」
アイズは優しくシャムミルの頭を撫でた。シャムミルは撫でられ嬉しそうに返事をした。猫耳も嬉しいのかピクピク動いている。
「その・・・付き人のタクミさんも巻き込んでしまってすいませんでした」
シャムミルが申し訳なさそうにタクミに謝った。
「ぷっ・・・失敬」
シャムミルの言葉を聞いてアイズが我慢しきれなかったように吹き出した。
「なっ・・・俺はアイズの付き人じゃねーよ!あのボルスとかいう狼野郎!この借りは絶対返すからな覚えとけよな!」
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