日本順番

ぽぽぽのぽん

5話

2秒間の沈黙の後、俺は健(たける)に聞き返した。
「ガチ?」
「うん今石田社長から連絡があってそう言われた」
健は少し困惑した声で言った。
まだ気持ちの整理がついてないのだろう。
当然のことだ。まだ入社してから2ヶ月半しか経っていないのにテーテンをしろと言われたのだから。
なぜ健なのかは自分自身でも予想がついているだろう。
普通の従業員がこの2ヶ月半で約300人にアドバイスなどの見習い業務をしているのに対し、健は半分の150人程度にしか達していない。恐らく単なるサボりだろう。
自業自得だ。
1人殺すだけでこの150人の差が埋まるのだと考えれば楽な気がしないでもない。
「殺せるの?」
「分からない。まだ殺し方の指定が来てないしどういう人を殺すのかも伝えられてないんだ。ただ殺される人の順位だけ教えくれた」
「何位なの?」
「1億47位だってさ」
テーテンを行う際の殺し方は大きく分けて5つある。

① 失血死
② 餓死
③ 感電死
④ 焼死
⑤ 溺死

この5つが国から指定された殺し方だ。
順位が低くなればなるほど苦しい方法を指定される。
1億47位となると対象者の中では順位は高い方なので電気ショックなどの苦しくない方法で殺されるだろう。
その場合、健はショックボタンを押すだけなので、気持ち的には比較的楽な方だ。
だが、人を殺していることに変わりはない。果たして健に、ショックボタンが押せるのかと不安な気持ちが立ち込める。

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