日本順番

ぽぽぽのぽん

4話

こうして、半強制的に入社した。
入社から2ヶ月半がたった今でもあの女の子の死に際の顔は夢に出てくる。
対象者を処刑するのは入社して3ヶ月経ってかららしい。対象者を処刑する事を日本順番では「テーテン」と言っている。
ドイツ語で殺すという意味だ。
人が1人死んだ光景を忘れられない自分が半月後に人を殺せるのだろうか。
今は、1億位ギリギリの人の元へ行き順番を上げるアドバイスや数字が揃った人に特製のボールペンを渡して回っている。
たった今、22222位の人に渡してきたところだ。思いのほかみんな喜んでくれるのでやりがいを感じ始めている。
今の自分の順位は、1895位。
日本順番の従業員で150位以内に入ると月に200万のボーナスが入るので、日々精進している。
テーテンを行う様になってからは順位が上がりやすくなるらしいので少し楽しみな気持ちがある。
石田社長に報告を終えた直後に、携帯が鳴った。
宮本健。よく喋る茶髪でお馴染みのあいつだ。
健とは性格も対照的だし、健を「陽キャ」とするならば自分は「隠キャ」といった見た目なのだが入社直後から不思議と仲良くなった。
この時間での電話は珍しい。きっといつもの様にすごく小さな仕事の相談なのだろうと思って受話したが、一言目を聞いた瞬間絶句した。


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