作者ネタ切れにより「俺、幼なじみ(男の娘)と同棲します」は思いついた日常を季節関係なく書きます

煮干

4月1日 (3)

「失礼します…。」

恐る恐るドアを開ける。

大原大樹おおはらたいき君…だね?」

「そうです。」

「分かってるよね?呼ばれた理由は?」

頭に思い出される限りだと今朝の激戦…鮮明に一言一句違わず思い出される…。

「はい...あの時の事が思い出されます...我ながら素晴らしい試合展開...」

「素晴らしくないからね!?君自覚してる?本当なら停学かもしれないんだよ!?」

自分でもあり得ないと思うほど高い声がでる。

停学...?なぜ?

「とりあえず反省文。」


校長室を出ると明希が外で待っていた。俺を見つけると駆けつけてくる。

「ごめんね…。」

明希が申し訳なさそうに頭を下げると、なぜか胸が締め付けられるかのように苦しくなる。

「気にすんな!俺は俺がしたいことをしただけだ!教室戻るぞ!」


教室の扉を開けるとクラスのみんなは一斉に俺らを見る。

多分今朝の事件がネットにあがっているのだろう。

「おい!カップルが来たぞ!今朝はお盛んでしたか?」

「いえ!今日が…痛っ!」

腕に鋭い痛みがする。

「ち、違います!カップルじゃないです!そ…それにエッチはしてません……。」

顔を赤らめて明希は否定する。明希が恥らないながら言うエッチを録音して百回再生したいくらい可愛い…。

「ならさ明希、俺と付き合わない?」

「おい!横島よこしま!明希は俺の専属メイドだ!」

執事だろと言うツッコミが教室のあちこちから聞こえる。

「え?メイドってことは同棲?」

「ち…」

「同棲だぜ!毎日起こしてくれ、ご飯も作ってくれる…。」

「結婚しろ!」

竜岡たつおかがそう叫ぶとクラスから賛同の声が聞こえる。

「でもさ、同性は結婚できなくね?」

横島がそう言うとクラスはとたんに大きなため息をついた。

「バカヤロー!つまらないこと言うな!同性は同棲すればいいだろ!どうせいだけに!」

竜岡はやりきった顔をする。クラスはしらける。だが、そんな時に明希の笑い声が響く。

「結婚式はあげれますよ…。」

「ならさ、するとき呼んでくれよ。俺は一万出すぜ!」

横島は指を一本立てる。

「なら俺は三万!」

「甘い!俺は三万五千!」

「おい!これはせりじゃないからな!」

俺が怒鳴ってもクラスはやめない。

「おい!お前ら騒がしいぞ!そういえば大樹と明希が結婚するのか?」

いかつい体育会系の担任が教室に入ってくる。

「そうすよ!先生はいくら払いますか?」

「お前らと稼ぎが違うからな!十万は出せるぞ!」

担任が豪語するとクラスの皆は手を叩いて歓声をあげる。

「先生ものらないでください!結婚はまだしません!」

明希の声は無情にも歓声に溶けて消えてしまった。


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