戦力より戦略。

haruhi8128

56日目 訪問

ガランガラン!

玄関の外につけた鐘がなる音で目を覚まします。
元々、キラさんが窓から入ってきがちということからリブレさんがちゃんとこれを鳴らさない限り入ってはいけないとしたのが始まりでしたが、結局キラさんはあんまり鳴らしませんでした。
ハンネさんもいつの間にかうちの鍵を持っていて自由に出入りしているので、もはや鳴らす人は皆無と言えます。
なにより、朝早いです。
昨日が遅かったのでちょっと遅く起きようと思っていましたが、そうもいかないみたいですね。

とは言っても、パジャマなのですぐに出るわけにもいきません。

「おはようございます、リブレさん」

そっと、隣で眠る好きな人の頭を撫でる。

「髪は伸びちゃいましたね」

洗ってはいるので不潔ではないですが、元々ぼさっとしていた髪がさらに伸びてます。
……まぁ、このリブレさんもありですかね。

「プリンセちゃん、起きますよー」
「……んゅ……」

丸まっているプリンセちゃんを転がして起こします。


「すみません。準備しているので少々お待ちいただけますか?」

こんなに髪ぼさぼさで、人前に出れるわけもありません。

「あらー、お構いなくー。ゆっくり準備してねー」

外からは聞いたことのない落ち着いた女性の声が聞こえます。

「……おかあさん?」
「……あぁ!」

そういえばうちにくるって言ってました!
本当に来るとは!

「……あけていい?」
「ちょ、ちょっと待ってください! あと1分……、いや30秒でいいので!」

1分と聞いてプリンセちゃんがドアを開けようとしたので更に急ぎます。
プリンセちゃんは親だからいいのかもしれませんが!
私にとっては初対面の相手ですからね!?


「いきなりお邪魔してごめんなさいねー」

入ってきたのはおっとりとした虎族の女性。
プリンセちゃんの親で納得です。
しかし、他の種族は正直あんまり見分けがつきません。
似ていると言われれば、似ていますが……。

問題なのはそこではありませんが。
目下最大の問題はお母様の胸です。
ゆったりとした服ながら、圧倒的存在感を見せるその胸!

自分の断崖絶壁を見下ろす。
なんの抵抗もなく足元まで通る視界。
次いで隣でリンゴジュースを飲んでいるプリンセちゃんを見る。

「……?」

首をかしげていますが、今は小さなままなプリンセちゃんも圧倒的破壊力を持つこうなる可能性があるという事です。

「出来れば連絡は欲しかったのですが……」
「わたしもお忍びで来てるのよー」

確かに、プリンセちゃんのお父様が来た時はもうちょっと騒ぎになったような。

「それで、こちらへはどのようなご用向きで?」
「私の娘を落としたこがいるって聞いてねー? 人目見ておこうかと」

やっぱりリブレさん絡みでしたか。
念のため起こしてませんけど、いざとなったら守らなきゃですね。

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