戦力より戦略。
8日目前半 迎撃
幻想級撃退から1週間後。
王様から正式に今回の件について発表がありました。
多くの人は幻想級に勝ったというその1点にだけ意識が向いていて、ケインさんが片眼を失ったことや、リブレさんが寝たきりになってしまっているということには大して興味も無いようでした。
「おい」
「はい?」
「……あのクソガキは大丈夫なのか」
しかし、私と買い物の行くたびにリブレさんと口喧嘩をしていた店主のおじさんは気にかけてくれたみたいです。
「一応は、そうですね」
「そうか。なら、いい。どうせまたひょっこり来るだろう」
いつも不愛想な店主さんですが、そう言い残して店の奥に戻っていく姿に優しさがあふれているような気がしました。
「……レインちゃん」
「了解です。全く。こういう時だけ行動が迅速ですね」
予想していた通り、エルフの皆さんがうちの周りを取り囲んでいます。
「僕が出ようか?」
「いえ、キラさんは待機しておいてください。私たちでどうにかできるというのを見せておかないと、ダメだと思うんです」
キラさんに頼れば前回のこともありますし、簡単に片が付くのかもしれませんが、それではキラさんのいない時を狙われるだけです。
ここで、私たちの実力を見せておく必要があります。
「そうか。そうだね。じゃあ、頑張って」
「はい。いこう、プリンセちゃん」
「……ん」
「レイン様! お迎えに上がりました!」
どうやら、私に固執していた長の息子はいないようです。
ですが。
「どういう意味ですか?」
「レイン様をおいて眠りこけたままのあいつなど、そもそもレイン様には不釣り合いだったのです! 支配の解けた今、レイン様がそちらにいる理由もございません! 集落へと戻っていただきます!」
私を気遣っているようで、気遣えていないです。
本音が漏れだしているし、リブレさんへの暴言は聞き捨てなりません。
「私は、私の意思でここにいます。連れ帰れるものなら、やってみなさい」
そして、戦いが始まった。
「レインちゃん、やっちゃっていいよね……?」
「存分に。私もミスしませんから」
「……うん」
私たち2人が組んだら、基本的に戦い方は決まってきます。
前衛のプリンセちゃんと、後衛の私です。
リブレさんがいる時は、防御を心配しなくても良かったのですけど、今回はプリンセちゃんを狙う魔法や、私に直接撃ってくる魔法も警戒しなければいけません。
ただ……。
「あの戦場に比べれば、生ぬるいなんてものじゃないです」
初めて経験した、本気の生死が懸かった戦い。
あれの後にこんなお粗末なものを見せられたら、対処法が見えすぎて逆に困ります。
「プリンセちゃん、私も手を出していいですか?」
当初は私は防御に専念するつもりでしたが、余裕があったので聞いたところ、虎モードになっていたプリンセちゃんは尻尾を振って許可してくれました。
さぁ、後悔してもらいましょうか。
王様から正式に今回の件について発表がありました。
多くの人は幻想級に勝ったというその1点にだけ意識が向いていて、ケインさんが片眼を失ったことや、リブレさんが寝たきりになってしまっているということには大して興味も無いようでした。
「おい」
「はい?」
「……あのクソガキは大丈夫なのか」
しかし、私と買い物の行くたびにリブレさんと口喧嘩をしていた店主のおじさんは気にかけてくれたみたいです。
「一応は、そうですね」
「そうか。なら、いい。どうせまたひょっこり来るだろう」
いつも不愛想な店主さんですが、そう言い残して店の奥に戻っていく姿に優しさがあふれているような気がしました。
「……レインちゃん」
「了解です。全く。こういう時だけ行動が迅速ですね」
予想していた通り、エルフの皆さんがうちの周りを取り囲んでいます。
「僕が出ようか?」
「いえ、キラさんは待機しておいてください。私たちでどうにかできるというのを見せておかないと、ダメだと思うんです」
キラさんに頼れば前回のこともありますし、簡単に片が付くのかもしれませんが、それではキラさんのいない時を狙われるだけです。
ここで、私たちの実力を見せておく必要があります。
「そうか。そうだね。じゃあ、頑張って」
「はい。いこう、プリンセちゃん」
「……ん」
「レイン様! お迎えに上がりました!」
どうやら、私に固執していた長の息子はいないようです。
ですが。
「どういう意味ですか?」
「レイン様をおいて眠りこけたままのあいつなど、そもそもレイン様には不釣り合いだったのです! 支配の解けた今、レイン様がそちらにいる理由もございません! 集落へと戻っていただきます!」
私を気遣っているようで、気遣えていないです。
本音が漏れだしているし、リブレさんへの暴言は聞き捨てなりません。
「私は、私の意思でここにいます。連れ帰れるものなら、やってみなさい」
そして、戦いが始まった。
「レインちゃん、やっちゃっていいよね……?」
「存分に。私もミスしませんから」
「……うん」
私たち2人が組んだら、基本的に戦い方は決まってきます。
前衛のプリンセちゃんと、後衛の私です。
リブレさんがいる時は、防御を心配しなくても良かったのですけど、今回はプリンセちゃんを狙う魔法や、私に直接撃ってくる魔法も警戒しなければいけません。
ただ……。
「あの戦場に比べれば、生ぬるいなんてものじゃないです」
初めて経験した、本気の生死が懸かった戦い。
あれの後にこんなお粗末なものを見せられたら、対処法が見えすぎて逆に困ります。
「プリンセちゃん、私も手を出していいですか?」
当初は私は防御に専念するつもりでしたが、余裕があったので聞いたところ、虎モードになっていたプリンセちゃんは尻尾を振って許可してくれました。
さぁ、後悔してもらいましょうか。
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