戦力より戦略。
母性本能をくすぐっていく!
次の目的地に向かうにあたって、リオンとアンリさんの間で壮絶な親子喧嘩があったのは想像に難くない。
ってか、凄かった。
「パパ、もう監視なんかしないでよね!」
「し、しかしだな、今回のようなこともあるわけで……」
「もう油断しないから。それに、今回もリブレが助けてくれたじゃない!」
「いや、だが、あいつは一度逃げたような奴だぞ?」
「あの場面で逃げないわけないでしょ! 娘を監視してる閻魔大王とか、格好悪いよ!」
まぁ、そんなやり取りがかれこれ2時間にもわたって行われたのである。
見ている俺としてもどちらに味方するわけにもいかないので存在感を消すのに必死だった。
それぞれに言い分があってどっちも正しいと思ったからな。
俺が逃げたどうこうはともかく、助けてもらったのは確かなんだし。
過保護を嫌うというのもわかるし。
で、結果。
「もうニッコニコだな」
「そりゃそうだよー。あ、次にパパを見かけたらすぐに報告してねー」
「善処するよ」
リオンが勝った。
まぁ、結果自体は薄々わかってたが、アンリさんも中々に食い下がった。
あそこまで粘るとは思ってなかったが、逆に言えばあそこまで粘ったからにはこれが最後の仕掛けだったのだろう。
監視システムがあったからリオンを割とあっさり送り出したんだな。
次からはミスが命に関わるな。
リオンを殺してもアンリさんの怒りを煽るだけで意味ないから悪くても捕まるだけだろうが、俺たちは捕まえてもなんの利用価値もないからすぐに殺されるだろうからな。
既に目一杯閉めていた兜の緒を確認する。
プチっと切れないように補強もしとこう。
メンタルの話だけども。
さて、と。
「ここ辺りはまぁまぁ治安がいいらしいな?」
少なくともいきなり襲われるようなことはなさそうだ。
「ここの領主は穏やかな方だよー。でも、隙あらばパパに成り代わろうとしている油断できない人かなー」
「へぇー」
自分からは何もせず、相手のミス待ちって感じなのかな。
「けっこうお爺さんなんだけど、なんかキレモノって感じがするよー」
経験ゆえのものか。
もはや誰に対しても安心できないがな。
その点から言えば、リオンの最初にあそこに向かうという判断は正しかっただろう。
信用できるメイド3人がいるというのはかなりデカい。
もしこのタイミングであそこに行っていたらメイドたちも簡単には受け入れられなかっただろう。
で、
「なんだこの状況は」
「ご主人様は病み上がりなのですから、甘やかされなければいけないのです」
「その通りです。私たちがお世話できなかった分、存分に甘えて下さいませ」
珍しく、トロワに膝枕され、アンに撫で撫でされているのだ。
ドゥは手綱を握っている。
こんな感じだとなんか言ってきそうなリオンは少し離れてこちらをじとっと見ている。
なんだよ……。
「私たちはご主人様が年に似合った反応をされていて嬉しかったのです」
「弱い部分を見させていただき、やはりお世話が必要だと確信いたしました」
なんか俺が泣いてた件で異性としてだけでなく、母性をくすぐってしまったらしい。
ややこしいな……。
ってか、凄かった。
「パパ、もう監視なんかしないでよね!」
「し、しかしだな、今回のようなこともあるわけで……」
「もう油断しないから。それに、今回もリブレが助けてくれたじゃない!」
「いや、だが、あいつは一度逃げたような奴だぞ?」
「あの場面で逃げないわけないでしょ! 娘を監視してる閻魔大王とか、格好悪いよ!」
まぁ、そんなやり取りがかれこれ2時間にもわたって行われたのである。
見ている俺としてもどちらに味方するわけにもいかないので存在感を消すのに必死だった。
それぞれに言い分があってどっちも正しいと思ったからな。
俺が逃げたどうこうはともかく、助けてもらったのは確かなんだし。
過保護を嫌うというのもわかるし。
で、結果。
「もうニッコニコだな」
「そりゃそうだよー。あ、次にパパを見かけたらすぐに報告してねー」
「善処するよ」
リオンが勝った。
まぁ、結果自体は薄々わかってたが、アンリさんも中々に食い下がった。
あそこまで粘るとは思ってなかったが、逆に言えばあそこまで粘ったからにはこれが最後の仕掛けだったのだろう。
監視システムがあったからリオンを割とあっさり送り出したんだな。
次からはミスが命に関わるな。
リオンを殺してもアンリさんの怒りを煽るだけで意味ないから悪くても捕まるだけだろうが、俺たちは捕まえてもなんの利用価値もないからすぐに殺されるだろうからな。
既に目一杯閉めていた兜の緒を確認する。
プチっと切れないように補強もしとこう。
メンタルの話だけども。
さて、と。
「ここ辺りはまぁまぁ治安がいいらしいな?」
少なくともいきなり襲われるようなことはなさそうだ。
「ここの領主は穏やかな方だよー。でも、隙あらばパパに成り代わろうとしている油断できない人かなー」
「へぇー」
自分からは何もせず、相手のミス待ちって感じなのかな。
「けっこうお爺さんなんだけど、なんかキレモノって感じがするよー」
経験ゆえのものか。
もはや誰に対しても安心できないがな。
その点から言えば、リオンの最初にあそこに向かうという判断は正しかっただろう。
信用できるメイド3人がいるというのはかなりデカい。
もしこのタイミングであそこに行っていたらメイドたちも簡単には受け入れられなかっただろう。
で、
「なんだこの状況は」
「ご主人様は病み上がりなのですから、甘やかされなければいけないのです」
「その通りです。私たちがお世話できなかった分、存分に甘えて下さいませ」
珍しく、トロワに膝枕され、アンに撫で撫でされているのだ。
ドゥは手綱を握っている。
こんな感じだとなんか言ってきそうなリオンは少し離れてこちらをじとっと見ている。
なんだよ……。
「私たちはご主人様が年に似合った反応をされていて嬉しかったのです」
「弱い部分を見させていただき、やはりお世話が必要だと確信いたしました」
なんか俺が泣いてた件で異性としてだけでなく、母性をくすぐってしまったらしい。
ややこしいな……。
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