戦力より戦略。

haruhi8128

宴会は豪勢に

「皆の者、用意ご苦労じゃった。今日は思う存分楽しんでくれ!」
「「おぉー!!」」

王様の乾杯で宴会が始まる。
まぁ、明日が決戦という事もあり、1人が飲むことのできるアルコールの量は制限されてるが。
俺たちはそもそも飲めないので関係ない。
この国では18から飲酒できるらしいが、俺もまだなってないしな。

ただ、俺が魔界にいた時間はどうなるんだろう。
第七界まかいにいた時間は2週間くらいだが、第六界こっちでは8か月くらい経ってたからな。
こっちの暦の上で言えば、俺はもう18歳になってることになる。
あまりアルコールの匂いが好きではないのでどうせ飲まないのだが。
俺は自己紹介の時に何歳だと言えばいいのだろうか。

「! リブレさん、これおいしいですよ!」
「……こっちも」

2人は冒険者のお姉さん方が作った料理に興味津々だ。
冒険者の料理は栄養を補給できる実用的なものが多いのだが、味は申し分ない。
普段は一般的な家庭料理を作っている2人にとっては珍しく感じるようだ。

「あの、これどうやって作るんですか?」
「あぁ、これはね……」

情報収集にも余念がない。
これはいずれ2人のバージョンのこの料理が食べられるってことだな。
楽しみにしておこう。

「リブレよ、楽しんでおるか?」
「まぁ、そこそこには。王様は……。お楽しみのようで」

顔が真っ赤になった王様が声をかけてきた。
そのなりでお酒弱いのかよ。
今日のアルコール制限は絶対こいつのために設けられてるな。

「どうじゃ、一杯飲まんか」
「折角だけど、遠慮しておくよ。まだ17だからな」
「なに、どうという事はないわ。それともなんじゃ。わしの酒が飲めんというのか?」

うわー、いるわ、こういう酔っ払い。
フィクションの中でだけかと思ってたけど、本当にいるんだな。

「いや、俺は……」
「ほれ、ほれ、がっ!?」

後ろから忍び寄っていたマレイユさんの手刀がキレイに入り、崩れ落ちる体をキラが支える。
なんだその連係プレイ。

「すみませんね。この人は昔からお酒に弱いところがありますから。何か粗相をしたら止めるつもりではありましたけど、絡まれたのがあなたで僥倖といったところでしょうか」
「そもそも飲ませなきゃ良かったんじゃないか?」

一般の兵士さんとかに絡んでたら一大事だろうに。

「それはそれで機嫌が悪くなるんですよ。わたくしはこの人についていますから、これで」

会釈をして去っていくマレイユさんと王様を担いでいるキラ。
うーん、王様としてその姿は見られて大丈夫なのだろうか。

「あれ? 今、王様が来ていませんでしたか?」
「気のせいだろ」

料理のレシピを聞いていたレインとプリンセもちょうど戻ってきた。
俺は皆から少し離れたところで黙々と食べているので、話しかけられることもなく落ち着いて食事が出来る。
遠くからエルフの少年が歯を食いしばってこちらを見ているのが視界に入って面倒なのを除けばだが。
本来ならここに割って入りたいのだろうが、エルメが監視しているのでそうもいかないのだ。
グッジョブである。

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