戦力より戦略。

haruhi8128

社会的に敵

説明している余裕もないので、テントの外側を見張っているように言って、テントの裏側から侵入する。

「主、どうするのじゃ?」
「まぁ、俺の役目は戦うことじゃないからな。3人救った上で、とっとと退散させてもらうことにするよ」
「うむ、外に行けばあの2人もおるしの。それが良いじゃろうな」

よし。

「はい、そこまででーす。見るに堪えないものを早くしまって下さーい」
「な、なに!?」

エルフの少女たちを連れてくると同時に、男どもはブツを放り出して速攻行為に及ぼうとしたのだ。
少女たちは服を脱がされ、身に着けるのは肌着1枚という様子。
裏から入ったのは、彼女らに着せる布をどこかから拝借するため。

「はい、ちょっと失礼しますよー」

鍵の場所も先に把握しておいたため、とりあえず鎖を繋いでいる部分の鍵を開け、とりあえず布を被せる。

「んー! んー!」

喋りたいのか、エルフの少女が騒ぐ。

「はいはい、今取ってやるから」

順番に猿ぐつわをとる。

「私たちに何をするつもりですか!? 人間ごときが私たちをどうにかできると思わないことで……」
「ちょっと一回静かにしてて」
「何ももう一度それを噛ませることはなかろうよ」
「いや、これが手っ取り早いかなって」

「オーシリア、どうだ?」
「まぁ、こやつらごときに破られることはないのじゃな」
「よし、じゃあ入ってきたとこから撤退だ」

予想通り、こんなやつらに破られるほどステッド・ファストは弱くないので、簡単に脱出に成功する。

「すぐって言ってたのに、遅かったですね」
「いや、予想外の妨害にあってさ」

まさか自分たちをさらった奴と明らかに敵対してる俺にも噛みついてくるとは思わないじゃん?
いや、俺だったってのが悪いのかも知れないけども。

「で、あいつらは全員敵ですか?」
「うん、まぁ、敵っていうか。社会の敵だな」
「まぁ、なんでもいいです。プリンセちゃん」
「……やっちゃおー」
「ほどほどになー」

2人が怒りに燃えているので、任せることにする。
勢い余って殺さないかだけが心配だ。


「ぷはっ。レインちゃん……」
「あなたは、リブレですよね」

いや、呼び捨て!?
改めて猿ぐつわを解くと、理解が追い付いてない様子で周りを見渡す。

「うん、まぁ、俺のことは嫌いだろうが、一回それは置いといてくれ」

悲しいけど。

「状況としては、あいつらの欲望の捌け口として拐われたお前らを助けに来たって感じだな」
「……なぜ、敵である私たちを助けるのです……」
「ん?」
「エルフと人間は敵対しています。あなたに私たちを助ける理由はないはずです」
「俺としては別に敵視してる訳じゃないんだけどな……」

印象はそんなもんか。

「っていうか、理由っている?」
「はい?」
「あぁ、悪を見過ごせないとかそういうやつではなく。単純に、おっさんがよってたかって少女を虐めてるのを放っておく理由がないよな?」

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