戦力より戦略。

haruhi8128

誘拐の防衛方法なんて知るか

「……という訳なんだけど」
「そりゃあ大変じゃな。しかし、わかっておるんじゃろう?」
「あぁ。現段階では何も出来ないな」

もう俺的には果てしなく黒なのだが、かといって今から捕まえるという訳にもいかない。
なぜなら、彼らが結局何もしない可能性があるからだ。
カイルさんがその未来を予知したならまだしも、俺の場合は実行できる全てが揃っているだけで、結局実行に移せないかもしれないのだ。

更に言えば、カイルさんが予知していたとしても、「あなたは今から誘拐するので、する前に捕まえます」とは出来ないだろう。
シンプルに無茶苦茶だ。
そもそも、日本と違ってここでは剣を持っているなんざ当たり前だからな。
治安が良すぎるまであるのだ。
それは普段の衛兵さんたちの努力の賜物だろうが、いなくなればなんてことはないって話だな。

「俺が見てみようか?」
「いや、カイルさん。そんなことに能力使ってられないぞ。まぁ、気を付けておいてくれってことだ」

一応、囮のことは黙っておこう。
いや、別にわざわざ囮に出す訳じゃないから囮捜査とは言えないか?

偶々、確証がないから放っておいた結果。
残念ながら、誘拐の被害者が出てしまい。
偶々、異変に感づいていた俺たちが。
華麗に救って差し上げると。
よし、これでいこう。

謁見の間を後にしながら、適当な予定を立てる。
いや、まぁ予定とも言えないようなもんだけど。

「リブレさん、僕は納得してませんよ?」
「いや、俺だってそりゃ未然に防げるなら防ぎたいけどさ。俺にはそんなノウハウはないんだよ」

一般人が誘拐から他人を未然に防ぐ方法なんざ知っててたまるか。
そりゃ俺の能力で1日位守ってれば安全なんだろうけど。
そもそもエルフは友好的じゃないし、俺に関しては嫌われてるきらいが強いからな。
守るとか言っても、信用されるわけがない。

よって、俺に思い付く防衛方法は却下だ。
無理。


「……もう、つかまえちゃえば……?」
「いや、それはダメだろ……」

プリンセはもはや考えるのが面倒になったようで、放棄している。

「……つかまえてたら、だれも連れ去られないよ……?」
「いや、正解だよ? 正解なんだけどさ」

やれないんだよなぁ。

「まぁ、実行は明日だろうからな。今日のところは帰ってゆっくりするとしようや」

慣れてきたとはいえ、戦闘訓練をした後だ。
運動した後はゆっくり休むに限る。
特にこの世界なら、寝ることはMP回復にも直結するんだ。
あまり消費してないから、回復しなくてもなんとかなるのだろうが、ストックはあって困ることはない。
むしろ、あればあるほどいい。

ここまで考えて思ったが、そもそもプリンセはあまり魔法を使わない。
で、レインはMPリジェネがあるからそこに関しては問題ない。
オーシリアは俺のMP使って魔法使ってるからなんの問題もない。
1番寝てるまであるけど。

あ、もしかしなくても寝てMP回復しないといけないの俺だけか。

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