戦力より戦略。
無知とは罪だ
「他の人に見てもらえれば、僕だって上にいけるって判断してもらえると思います!」
「うーん……」
キラはこれはダメだ、とか断言することがほとんどない。
今回もその例に違わず、言うことはないようだ。
なら俺が言おうか。
「自分より強い奴の言うことは聞いた方がいいぞ」
「そんなことわかんないじゃないですか!」
うん。
予想通り。
俺が口を出せば突っかかってくると思ってたよ。
「なら、証明すればいい。なぁ、エルメ」
「そうね。そこまで言うなら、証明してもらいましょう」
エルメは笑顔だが、無言のオーラを発している。
例の如く、エルフの少年はそういった機微に気づけないので、呑気である。
「もちろんですよ! エルメさん! よろしくお願いします!」
「えぇ、もちろんよ! さっそく演習場に行きましょう!」
もう一刻も早く少年をぶちのめしたいといった様子のエルメはノリノリで先頭を歩き始める。
もうだめだ。
彼女は止まらない。
そもそも穏やかにいるというのがあまり得意ではないエルメがここまで言われてまだ手を出していないというのは驚異的だ。
ケインとならもう周囲を巻き込んだ大喧嘩になっているところだ。
というか被害が出るのは主に周囲だけだ。
「よし、やりましょうか!」
「エルメさん」
「なぁに?」
「僕がもし勝ってしまっても文句は言わないでくださいね?」
「……えぇ」
顔がもう「ぶっ殺す」って言ってる……。
一応、決闘というくくりになっているので演習場を押さえ、キラの立会いの下行う。
演習場は立ち入り自由なのでエルメが受け持っている冒険者や兵士、俺たちが相手をしている皆も見学に来た。
「どっちが勝つと思う?」
「そりゃ、エルメ様だろう。案の人が負けるのは想像できないな」
「確かに。キラ様と戦ったと仮定してもあまり想像できないな」
「それほどに強いのか?」
「「それはもう」」
獣人族とも仲良くなったようでなによりだ。
エルメの武勇伝を聞かせてやっている。
俺も後で聞きたい。
【炎の巫女】っていう格好いい二つ名だからな。
さぞ格好いい逸話とかあるのだろう。
「そうだな、あれは20年前の話か……」
20年前……。
チラッとエルメを見ると、20年前って言ったやつを凄い目で睨んでいた。
「口を慎め」
「すみませんでした……」
少なくともそれをしたのは20年前ってことだから年齢の手掛かりになるしな。
怖すぎる。
「えっと、じゃあ、決闘を始めるよ」
気軽な調子でキラが言う。
気軽に決闘していいのか。
「相手を殺すのは禁止。明らかにやりすぎだと感じた場合は僕か、リブレ君、レイン君が止めるからそのつもりでね」
それを聞いて少年の顔が輝く。
レインに止めに入ってもらいたいのだろうか。
その場合、自分がやりすぎなほどボコボコにされているか、やりすぎているということはわかっていないのだろうか。
どちらにしろ格好悪いぞ。
「ルールは、基本なんでもあり。相手が参ったと言ったら即座に攻撃をやめること。いいかな?」
「えぇ」
「もちろんです」
2人ともすでに構えている。
キラの号令を待っている状態だが、ほとほと無知とは恐ろしいものだ。
少年がエルメに勝つ未来が見えない……。
「うーん……」
キラはこれはダメだ、とか断言することがほとんどない。
今回もその例に違わず、言うことはないようだ。
なら俺が言おうか。
「自分より強い奴の言うことは聞いた方がいいぞ」
「そんなことわかんないじゃないですか!」
うん。
予想通り。
俺が口を出せば突っかかってくると思ってたよ。
「なら、証明すればいい。なぁ、エルメ」
「そうね。そこまで言うなら、証明してもらいましょう」
エルメは笑顔だが、無言のオーラを発している。
例の如く、エルフの少年はそういった機微に気づけないので、呑気である。
「もちろんですよ! エルメさん! よろしくお願いします!」
「えぇ、もちろんよ! さっそく演習場に行きましょう!」
もう一刻も早く少年をぶちのめしたいといった様子のエルメはノリノリで先頭を歩き始める。
もうだめだ。
彼女は止まらない。
そもそも穏やかにいるというのがあまり得意ではないエルメがここまで言われてまだ手を出していないというのは驚異的だ。
ケインとならもう周囲を巻き込んだ大喧嘩になっているところだ。
というか被害が出るのは主に周囲だけだ。
「よし、やりましょうか!」
「エルメさん」
「なぁに?」
「僕がもし勝ってしまっても文句は言わないでくださいね?」
「……えぇ」
顔がもう「ぶっ殺す」って言ってる……。
一応、決闘というくくりになっているので演習場を押さえ、キラの立会いの下行う。
演習場は立ち入り自由なのでエルメが受け持っている冒険者や兵士、俺たちが相手をしている皆も見学に来た。
「どっちが勝つと思う?」
「そりゃ、エルメ様だろう。案の人が負けるのは想像できないな」
「確かに。キラ様と戦ったと仮定してもあまり想像できないな」
「それほどに強いのか?」
「「それはもう」」
獣人族とも仲良くなったようでなによりだ。
エルメの武勇伝を聞かせてやっている。
俺も後で聞きたい。
【炎の巫女】っていう格好いい二つ名だからな。
さぞ格好いい逸話とかあるのだろう。
「そうだな、あれは20年前の話か……」
20年前……。
チラッとエルメを見ると、20年前って言ったやつを凄い目で睨んでいた。
「口を慎め」
「すみませんでした……」
少なくともそれをしたのは20年前ってことだから年齢の手掛かりになるしな。
怖すぎる。
「えっと、じゃあ、決闘を始めるよ」
気軽な調子でキラが言う。
気軽に決闘していいのか。
「相手を殺すのは禁止。明らかにやりすぎだと感じた場合は僕か、リブレ君、レイン君が止めるからそのつもりでね」
それを聞いて少年の顔が輝く。
レインに止めに入ってもらいたいのだろうか。
その場合、自分がやりすぎなほどボコボコにされているか、やりすぎているということはわかっていないのだろうか。
どちらにしろ格好悪いぞ。
「ルールは、基本なんでもあり。相手が参ったと言ったら即座に攻撃をやめること。いいかな?」
「えぇ」
「もちろんです」
2人ともすでに構えている。
キラの号令を待っている状態だが、ほとほと無知とは恐ろしいものだ。
少年がエルメに勝つ未来が見えない……。
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