戦力より戦略。
レインの決断
レインの誘いで話すことになり、ここじゃなんだからと外に出ることにしたのだが、プリンセとオーシリアが邪魔過ぎた。
オーシリアはまだいい。
足の上に転がって寝ているだけなので少し足をずらせば転がり落ちてくれる。
起きないし。
問題はプリンセだ。
こっちも眠りの深さは相当なものだが、如何せん俺の懐に潜り込んで寝る癖がある。
今回も例に違わず引っ付いており、パジャマ用のシャツみたいなやつの裾を掴んでいた。
しかも爪を出して。
この爪を取り外すのに難儀したが無事成功し、起こさないように慎重に外へと出かける。
「この辺でもういいですかね。時間経って歩く気分でもなくなりましたし」
そう言ってレインは家の裏手の草の上に腰を下ろす。
俺もそれを見て隣に腰を下ろした。
「で、話っていうのは?」
「いい話と悪い話がありますけど。どうします?」
「……じゃあいい方から」
普段は好物はあとにとっておくタイプなのだが、ご飯と話では先が見えてるという点が違いすぎる。
ご飯は次にくるものがわかっているからそういう選択ができるのだ。
悪い話が悪すぎた場合、先にあるとどうしても喜べないからな。
「そうですね。では……。私はエルフを守って戦いたいと思います」
「それはいい話なのかな?」
俺が戦う可能性がグンと上がるだけだよね?
「リブレさんもわかっていたでしょう? 守ろうと思わなければわざわざあいつらのとこになんて戻りませんって」
そうだよな。
レインは城にも知り合いはいっぱいいたし、街道建設の際にけっこうな人数に顔が知れてる。
こっちにいても不都合なことはなかっただろう。
「私にはやっぱり、両親の思いを継ぎたいという意思があるんです。両親はエルフを見限って人間といたわけではなく、エルフの未来を想って戦っていたわけですから。その結果、命を落とすとしても後悔はしなかったはずです」
私のことは後悔していて欲しいですけどね、とレインが付け足す。
「どれだけ長の息子が気に食わなくても! 昔からの顔なじみもいますし、見捨てるという気にはなりませんでした。巻き込んでしまい、すみません」
「気にすんなって。俺がやりたくてするんだから」
実際俺の意思どうこうだからな。
レインに強制されたわけでもないし。
しかし、あいつで伝わるってのも凄いな……。
「それでいい話終わり? じゃあ次いこうぜ」
「軽いですね……。まぁ、いいです。そういうとこも含めて、ですから」
「何の話だ? で、さっきから気になってたんだけど、『私』?」
「はい」
レインは正座してこちらへと向き直り、まっすぐに俺の目を見る。
「リブレさん、『私』はあなたが好きです」
オーシリアはまだいい。
足の上に転がって寝ているだけなので少し足をずらせば転がり落ちてくれる。
起きないし。
問題はプリンセだ。
こっちも眠りの深さは相当なものだが、如何せん俺の懐に潜り込んで寝る癖がある。
今回も例に違わず引っ付いており、パジャマ用のシャツみたいなやつの裾を掴んでいた。
しかも爪を出して。
この爪を取り外すのに難儀したが無事成功し、起こさないように慎重に外へと出かける。
「この辺でもういいですかね。時間経って歩く気分でもなくなりましたし」
そう言ってレインは家の裏手の草の上に腰を下ろす。
俺もそれを見て隣に腰を下ろした。
「で、話っていうのは?」
「いい話と悪い話がありますけど。どうします?」
「……じゃあいい方から」
普段は好物はあとにとっておくタイプなのだが、ご飯と話では先が見えてるという点が違いすぎる。
ご飯は次にくるものがわかっているからそういう選択ができるのだ。
悪い話が悪すぎた場合、先にあるとどうしても喜べないからな。
「そうですね。では……。私はエルフを守って戦いたいと思います」
「それはいい話なのかな?」
俺が戦う可能性がグンと上がるだけだよね?
「リブレさんもわかっていたでしょう? 守ろうと思わなければわざわざあいつらのとこになんて戻りませんって」
そうだよな。
レインは城にも知り合いはいっぱいいたし、街道建設の際にけっこうな人数に顔が知れてる。
こっちにいても不都合なことはなかっただろう。
「私にはやっぱり、両親の思いを継ぎたいという意思があるんです。両親はエルフを見限って人間といたわけではなく、エルフの未来を想って戦っていたわけですから。その結果、命を落とすとしても後悔はしなかったはずです」
私のことは後悔していて欲しいですけどね、とレインが付け足す。
「どれだけ長の息子が気に食わなくても! 昔からの顔なじみもいますし、見捨てるという気にはなりませんでした。巻き込んでしまい、すみません」
「気にすんなって。俺がやりたくてするんだから」
実際俺の意思どうこうだからな。
レインに強制されたわけでもないし。
しかし、あいつで伝わるってのも凄いな……。
「それでいい話終わり? じゃあ次いこうぜ」
「軽いですね……。まぁ、いいです。そういうとこも含めて、ですから」
「何の話だ? で、さっきから気になってたんだけど、『私』?」
「はい」
レインは正座してこちらへと向き直り、まっすぐに俺の目を見る。
「リブレさん、『私』はあなたが好きです」
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