気合いと口調は比例する

「お帰りなさい！」

家の前に降り立つと、留守番をしていたプリンセが飛び出てきてレインに抱きつく。

「ただいま、お家を守ってくれてありがとう」
「ううん、レインさんが元気に帰ってきてくれただけでいいんだよ」

お互いに涙を堪えながら言葉を交わす二人。
眼福。


「リブレ君」
「わかってる。プリンセとレインは家の中に入っててくれ」
「僕たちも戦いますよ！」
「そうだよ……」
「いや、ここは年上二人に格好つけさせてくれよ」

キラと俺はすでに気付いていたが、レインとプリンセは俺が家に入るように指示したことで気付く。
エルフの部隊がこの家に迫っているということに。

「僕とプリンセちゃんは凄い戦力になるじゃないですか」
「それは認める。俺より遥かに上だ」
「だったら……」
「ただ、必要ない」

俺は周りを取り囲むように展開しているエルフの部隊を見やる。

「あの程度の奴らに、俺たち4人は過剰だろ」

むしろキラ1人でもいいくらいだ。
この家は丘の上に建っているので近づくためにはどうしても姿を現さなければならない。
そうなるとキラの餌食なわけだ。
しかし、それだけでは遠距離から家を狙う魔法に対応できないが、これには俺が最適と言える。
つまり、俺とキラがベストだ。


「……わかりました。無茶はしないで下さいよ？」
「これ頑張ったら許してくれるとかは……」
「許しません」
「はい……」
「頑張ってねー」

レインは気遣いながらも辛辣な一言、プリンセはなにも脅威を感じていないのほほんとしたエールをくれてから家に入っていった。

「相変わらず、幼女の扱いが上手いね」
「それは表現に問題しかないよな！？」

100歩譲っても子供の扱いが上手いで、十分だろ？


「そこの人間2人！　そこを立ち去り、レインを差し出せ！　私は寛大なため、それで先ほどの無礼は水に流してやろうではないか！」

近づいている時からわかっていたことだが、部隊を率いていたのはエルフの長の息子ガキだった。
よくこいつはさっきあんだけやられといてこんな口が利けるものだ。

「あいにくだが、それはできない相談だな？　思春期真っただ中のクソガキが」
「まだ疑っているのか？　私は嘘はついておらん！」

マジ？
さっきは{虚偽}だったのが今は{本心}だ。

「レイーン、これ本当？」
「そんなわけないじゃないですか！」

窓からこちらを伺っていたレインが窓をバーンとあけ放ち、猛烈な抗議をする。

「そいつが狙ってきたのは確かですけど、僕も多少は抵抗してましたからね。来たところを倒してそいつが僕の部屋の床で気を失って一晩過ごしたのを多分曲解してます！」

これを聞きながらでも息子クソガキの態度は変わらない。
あー、こいつあれか。
自分が言ったことに後からなんやかんや理由くっつけて、それが真実だって信じ込んでしまうタイプか。
道理で堂々としてるわけだわ。


「リブレさん！　そいつに遠慮はいりませんから、存分にやっちゃってください！」
「こいつとついでに周りをコテンパンにしたら許すのを考えてくれちゃったり？」
「……考えてあげます」
「っしゃあ、こらかかってこんかい！　ボロカスにしてやるわ！」

俺のやる気がアップ！
ついでに口の悪さもアップ！