戦力より戦略。
壁画ってよくわかりません
「3枚別々のことが描かれてるみたいだな」
ハンネに借りたカメラみたいなやつで壁画を撮りながら絵を見る。
「全部エルフが何かと戦っているのを描いてるみたいだな。こっちのは絶対ドラゴンだ。エルフ達がブレスで薙ぎ払われてる」
「こっちは巨大な蜘蛛みたいだね。蜘蛛の糸に多くの人が捕らわれてる様子が描かれてるみたいだ」
「こっちは……、なんじゃ?」
オーシリアが見ていた面はわかりにくかったようだ。
「これは……、牙か?」
そこに描かれていたのは人間の大きさだが、犬歯の辺りが大きく強調されている生き物だった。
「こんな獣人族いないよな?」
「僕の記憶の限りではいないね」
キラがいないと言うならいないんだろう。
これはオーシリアが詰まるのもしょうがないな。
俺にもなんなのかわからない。
敢えて言うなら、
「鬼、かな」
まぁ、角はないけど。
牙が大きいといったらそういうイメージがある。
「まぁ、ここは俺たちにはわかんないわ。帰ってハンネに見せてから考えよう」
ちゃんと3面分撮ってから引き返す。
「こっちが行き止まりってことはもう片方はそのままあの館につながってるのかな」
「どうだろうね。とりあえずこっちに来ただけだし、向こう側には他に何かあるかもしれないよ」
何もないに越したことはないんだけどな。
「とは言ったものの……」
何もなさ過ぎて拍子抜けなんだが。
落ちてきたシェルターに戻って逆側の道に進んでみたはいいものの、さっきの道のように狭い一本道というわけでもなく、それなりに広いしっかりした道が続いてるだけだ。
特にこれといった変化はない。
「主、わしもう疲れたぞ」
「とことんまで足引っ張りやがるなお前……」
「いざとなったら働くのじゃ。じゃから、おぶって?」
「断る」
「頼むのじゃー。ほれ、体も鍛えられて一石二鳥じゃろ?」
「既に鎧のせいで鍛えられてるんだよ! こら、引っ付くなって!」
「お願いじゃー」
俺に引っ付いて離れないオーシリアをズルズルと引きずりながら歩く。
「くそ、歩きにくい……」
「良ければ僕が背負おうか?」
「いや、キラ殿に迷惑をかけるわけにはいかん。わしは主におぶって欲しいのじゃ」
「なんだそのこだわり!? キラに迷惑をかけるのはダメだってのには同意だけども!」
まだ諦めないオーシリアを引きずりながら歩く。
「主ー。わしがこうやってくっついているより、諦めておぶったほうが楽じゃと思うぞー」
「お前が離れればそれが一番なんだよ!」
あ、そうだ。
「お前が杖になってたらいいんじゃないか?」
「それじゃといざとなった時に主が小太刀抜けんぞ?」
「そうだった……」
「あー! もう! これでいいか!?」
「うむ! ありがとうなのじゃ!」
結局引きずるのが面倒になって背負う。
「リブレ君って冷たいように見えて、けっこう甘いよね」
「何を言ってる。俺はいつでも誰にでも優しいだろ」
「……」
「その沈黙やめてくれる!? せめてつっこんでくれよ!?」
俺今めちゃくちゃ変なやつだったじゃん!
ハンネに借りたカメラみたいなやつで壁画を撮りながら絵を見る。
「全部エルフが何かと戦っているのを描いてるみたいだな。こっちのは絶対ドラゴンだ。エルフ達がブレスで薙ぎ払われてる」
「こっちは巨大な蜘蛛みたいだね。蜘蛛の糸に多くの人が捕らわれてる様子が描かれてるみたいだ」
「こっちは……、なんじゃ?」
オーシリアが見ていた面はわかりにくかったようだ。
「これは……、牙か?」
そこに描かれていたのは人間の大きさだが、犬歯の辺りが大きく強調されている生き物だった。
「こんな獣人族いないよな?」
「僕の記憶の限りではいないね」
キラがいないと言うならいないんだろう。
これはオーシリアが詰まるのもしょうがないな。
俺にもなんなのかわからない。
敢えて言うなら、
「鬼、かな」
まぁ、角はないけど。
牙が大きいといったらそういうイメージがある。
「まぁ、ここは俺たちにはわかんないわ。帰ってハンネに見せてから考えよう」
ちゃんと3面分撮ってから引き返す。
「こっちが行き止まりってことはもう片方はそのままあの館につながってるのかな」
「どうだろうね。とりあえずこっちに来ただけだし、向こう側には他に何かあるかもしれないよ」
何もないに越したことはないんだけどな。
「とは言ったものの……」
何もなさ過ぎて拍子抜けなんだが。
落ちてきたシェルターに戻って逆側の道に進んでみたはいいものの、さっきの道のように狭い一本道というわけでもなく、それなりに広いしっかりした道が続いてるだけだ。
特にこれといった変化はない。
「主、わしもう疲れたぞ」
「とことんまで足引っ張りやがるなお前……」
「いざとなったら働くのじゃ。じゃから、おぶって?」
「断る」
「頼むのじゃー。ほれ、体も鍛えられて一石二鳥じゃろ?」
「既に鎧のせいで鍛えられてるんだよ! こら、引っ付くなって!」
「お願いじゃー」
俺に引っ付いて離れないオーシリアをズルズルと引きずりながら歩く。
「くそ、歩きにくい……」
「良ければ僕が背負おうか?」
「いや、キラ殿に迷惑をかけるわけにはいかん。わしは主におぶって欲しいのじゃ」
「なんだそのこだわり!? キラに迷惑をかけるのはダメだってのには同意だけども!」
まだ諦めないオーシリアを引きずりながら歩く。
「主ー。わしがこうやってくっついているより、諦めておぶったほうが楽じゃと思うぞー」
「お前が離れればそれが一番なんだよ!」
あ、そうだ。
「お前が杖になってたらいいんじゃないか?」
「それじゃといざとなった時に主が小太刀抜けんぞ?」
「そうだった……」
「あー! もう! これでいいか!?」
「うむ! ありがとうなのじゃ!」
結局引きずるのが面倒になって背負う。
「リブレ君って冷たいように見えて、けっこう甘いよね」
「何を言ってる。俺はいつでも誰にでも優しいだろ」
「……」
「その沈黙やめてくれる!? せめてつっこんでくれよ!?」
俺今めちゃくちゃ変なやつだったじゃん!
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