戦力より戦略。
示談は有利な条件で
「えっと、まとめるよ?」
事の顛末を話し終えた俺にキラが確認を取ってくる。
「まず、リブレ君たちは帰ろうとはしたもののこっちに来る途中のことを思い出して、夜まで散歩でもしようかとふらふら歩いていた。そして、このあたりに差し掛かったところでプリンセ君が異変を察知。声をかけると襲い掛かってきたと」
「そうなるな」
「そんな!」
俺としてはあったことをありのままに話しただけなのだが、エイグには受け入れ難いようだ。
「彼らはそんなことをする人たちじゃありません!」
「でもね、エイグ君。この状況を鑑みるに、その方が説明がつくんだよ」
「ですが……!」
実際に起こったことが捻じ曲げられて他のことが事実とされるようなことはそうそうない。
大抵、その場の状況を見て事実だと思われることが真実だ。
現場検証の結果が基本違うのなんてコ〇ン君がいる世界だけで十分だ。
「信じたくないのはわかるが、信じてくれ。もしこの状況が俺が意図したものならなんでその4人が生きているうちにエイグたちを呼んだのかって話になるだろ?」
「そ、それは……、そうだけど……」
「う……」
「あ」
気が付いたようだ。
「気が付いた? 私のこと、わかる?」
「あぁ……。エイグ様……。そうか、我々は負けたのですね……」
「! では……!」
「えぇ、我々が、仕掛けました……。リブレ様に、落ち度はございません……」
あ、良かった。そこは認めるんだ。
てっきりしらばっくれるものかと思ってた。
「なぜこのようなことを!?」
「それは……」
「まぁいいって、そんなことは」
言葉に詰まったリーダーの代わりに俺が答える。
「このようなことをしておいて責任を問わないとでも!?」
「そんなことは言ってないさ。責任は取ってもらう。でも、その理由はどうでもいいだろう? 俺は既に知ってるしな」
「じゃああなたが教えてくれるのですか?」
「? 教えないけど?」
「な! 何を考えているのですか!」
ここで俺はチラッと床の4人を見る。
「こういう時に人の弱みを握っておくのはいいことだ」
周りのキラとオーシリア以外の全員が固まる。
「まぁ、この事実がある限り、俺に逆らうことはないだろ? 俺を殺すのなら話は別だけど。何かしたらこれをばらすだけだからな」
「リブレさん、すっごく悪い顔してるよ……?」
プリンセが恐る恐るそんなことを言う。
「ま、しょうがないだろ。なんてったって俺を殺しに来たのはそいつらが悪いんだし。殺されなかっただけましと思ってもらわなきゃな」
「はぁ……」
オーシリアが俺の前にトコトコ歩いてきて俺を見上げる。
「わざわざ自分が暗殺されるような口実を作らんでもよかろう。守らなくてはならんのはわしなんじゃぞ?」
「はは、そこは任せるよ。ちゃんと守れよ?」
「……まぁ、無茶ぶりは今に始まったことではないからのう」
俺とオーシリアのやりとりによって場が少し和む。
「じゃ、そういうことだからそいつらはしっかり体を治させた後にみっちり鍛えてあげて」
「え、あ……」
エイグがあっけにとられているうちに勝手に話を進める。
「幻想級との戦いの時に役に立ってもらうから。オーシリア」
「うむ。シェイド・ハイド」
日が落ちたので影に紛れて俺たちは姿を消す。
「な、なによそれー!!」
エイグの叫びが夜の城に響き渡った。
事の顛末を話し終えた俺にキラが確認を取ってくる。
「まず、リブレ君たちは帰ろうとはしたもののこっちに来る途中のことを思い出して、夜まで散歩でもしようかとふらふら歩いていた。そして、このあたりに差し掛かったところでプリンセ君が異変を察知。声をかけると襲い掛かってきたと」
「そうなるな」
「そんな!」
俺としてはあったことをありのままに話しただけなのだが、エイグには受け入れ難いようだ。
「彼らはそんなことをする人たちじゃありません!」
「でもね、エイグ君。この状況を鑑みるに、その方が説明がつくんだよ」
「ですが……!」
実際に起こったことが捻じ曲げられて他のことが事実とされるようなことはそうそうない。
大抵、その場の状況を見て事実だと思われることが真実だ。
現場検証の結果が基本違うのなんてコ〇ン君がいる世界だけで十分だ。
「信じたくないのはわかるが、信じてくれ。もしこの状況が俺が意図したものならなんでその4人が生きているうちにエイグたちを呼んだのかって話になるだろ?」
「そ、それは……、そうだけど……」
「う……」
「あ」
気が付いたようだ。
「気が付いた? 私のこと、わかる?」
「あぁ……。エイグ様……。そうか、我々は負けたのですね……」
「! では……!」
「えぇ、我々が、仕掛けました……。リブレ様に、落ち度はございません……」
あ、良かった。そこは認めるんだ。
てっきりしらばっくれるものかと思ってた。
「なぜこのようなことを!?」
「それは……」
「まぁいいって、そんなことは」
言葉に詰まったリーダーの代わりに俺が答える。
「このようなことをしておいて責任を問わないとでも!?」
「そんなことは言ってないさ。責任は取ってもらう。でも、その理由はどうでもいいだろう? 俺は既に知ってるしな」
「じゃああなたが教えてくれるのですか?」
「? 教えないけど?」
「な! 何を考えているのですか!」
ここで俺はチラッと床の4人を見る。
「こういう時に人の弱みを握っておくのはいいことだ」
周りのキラとオーシリア以外の全員が固まる。
「まぁ、この事実がある限り、俺に逆らうことはないだろ? 俺を殺すのなら話は別だけど。何かしたらこれをばらすだけだからな」
「リブレさん、すっごく悪い顔してるよ……?」
プリンセが恐る恐るそんなことを言う。
「ま、しょうがないだろ。なんてったって俺を殺しに来たのはそいつらが悪いんだし。殺されなかっただけましと思ってもらわなきゃな」
「はぁ……」
オーシリアが俺の前にトコトコ歩いてきて俺を見上げる。
「わざわざ自分が暗殺されるような口実を作らんでもよかろう。守らなくてはならんのはわしなんじゃぞ?」
「はは、そこは任せるよ。ちゃんと守れよ?」
「……まぁ、無茶ぶりは今に始まったことではないからのう」
俺とオーシリアのやりとりによって場が少し和む。
「じゃ、そういうことだからそいつらはしっかり体を治させた後にみっちり鍛えてあげて」
「え、あ……」
エイグがあっけにとられているうちに勝手に話を進める。
「幻想級との戦いの時に役に立ってもらうから。オーシリア」
「うむ。シェイド・ハイド」
日が落ちたので影に紛れて俺たちは姿を消す。
「な、なによそれー!!」
エイグの叫びが夜の城に響き渡った。
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