戦力より戦略。

haruhi8128

隠し事は隠してることも隠しましょう

「プリンセ、あそこにレインがいたというのは間違いないか?」
「う、うん。たぶんちょっと前まではいたと思うよ。あんまり前のにおいまではわからないわたしでもわかったから…」
となると、基本的にレインはやっぱあそこにいるのか。
しかし、これから種族を背負うことになるであろうレインをあそこに出してこなかったのはなんでだ?
あのような外交の場は見せておいて損となるようなものではない。以前からの知り合いと会ってこっちに戻るようなことにならないようにしたのか?
だとしたら成功だな。こちらとしては俺が会うってのがレインを説得する一番の方法だろうしな。

「ですが、レインさんは見つけられなかったのでしょう?」
「そうなんだよ」
ルーリアには俺が多少の距離なら探知ができるってことだけは伝えている。視る時に通す層の場所によって差異はあるが、それほど遠くまでが視えるわけでもないしな。
気配は探れないこともないが、魔法で気配を消されてたり認識阻害がかけられてたら無理だ。俺はともかく、キラでさえ相手の魔法のレベルによっては探れなくなるし、探れても個人の特定などできない。
キラにできないなら俺などに出来るはずがない。

ただ、基本的にはそのような魔法の行使はしたくないのか、一部にしか認識阻害はかかってないようだ。スルー・アイがしっかりと働かなかったのは部屋の間の謎の空間と地下構造のみだった。
むしろそこになにかありますよと言っているようなものだ。
そもそもスルー・アイのような魔法が行使されるのを予想していないのだろう。
あ、そうだ。
「ルーリア。自分のステータスウィンドウってあるだろ?」
「? えぇ」

「その中に魔法名のあとに[ユ]って書いてるやつはあるか?」
「ありませんわ。というか聞いたこともないですわ。リブレさんにはあるのですか?」
「詳細は伏せるが…、ある。これがどういったものか把握しておきたかったんだけどな…」
ルーリアにないってことは大抵の奴にはないだろうな。カイルさんがどうかってとこか。キラあたり隠しててもおかしくないけどな。
今では使用数がステッド・ファストに次いで2番目となっているスルー・アイだが、未だにどうやって習得したのかがわからない。これを他に使ってるやつがいないか地道に探ったりしてみたが、少なくともランガルでは見たことはないようだった。

「リブレさんが突入するようなことになったとして、戦力は確認されましたか?」
「さすがにな。魔法を得意とする種族らしく、全員が遠距離系の戦闘スタイルっぽかったな」
長を守る兵でさえ、明らかに動くのに向かないブーツのようなものをはいていた。あれでは近距離戦闘に向かないだろう。レインが自分はエルフの中で珍しいスタイルだと言ってたのが頷けるな。
さらに兵が魔法に秀でているのはもちろんのことだが、侍従のような立場のものでもいざとなれば戦える程度には魔法を使えそうってのがネックだな。誰が相手でも油断できないってのは精神的にきついものがある。
あまり考えたいことではないな。

「そこで、わたくしがリブレさんの戦闘能力アップにちょうど良い方を紹介して差し上げようと思うのですけどいかがです?」
「そりゃありがたい話ではあるけどな…」
誰が来るかによるな…。


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