戦力より戦略。

haruhi8128

神の名前って誰が決めたんだろうね

「ヘスティアさんがなんでここにいるの!?」
え、だってここ魔界だよね。
「なんでと申されましても…。私はそこの人から連絡を受けただけですよ。こちらの世界に行こうとしてるやつがいるから様子を見に来い、と粗暴な言葉遣いではありましたけどね」
あ、一応連絡はしてくれてたんだ。

少し見直してアンリさんの方を見やる。
「まぁ、娘が気にいっている奴をそう無下に扱うことはできんだろうよ」
俺のことを殺そうとしていたのは『無下に扱う』部類には入らないので!?
「なにを言っている。それは『無下に扱う』などという領域ではないだろう。つまり、無下に扱ってなどいない」
悪い方向に振り切れてただけだからね!?振り切れてたらオッケーっていうその理論なに!?

「なんにせよまたお会いできてうれしいですよ、リブレさん」
「あ、こちらこそですヘスティアさん」
ほんとに。こっちまともな奴誰もいないからな…。前の世界にいるかと聞かれれば結論は「いない」に落ち着くのだけれども。
「いつの間に話せるようになったんですか?」
前回会ったときは心の声みたいなので頭に直接語りかけてくるって感じだったのに。
「おかげさまで姿が安定したのです。私は特にやることもありませんので、練習していたのですよ」
つまり暇だったのね。

「使ったのはこれが初めてになりますが、ちゃんとできているようでよかったです」
母性を感じさせる柔らかな声音で語りかけてくる。
たぶんこの状況って凄いことなんだろうなぁ。

「な!?」
ん?どうした魔王様。
「お前、第六界の神か!?」
「だから、そう言ってるじゃないですか」
ヘスティアさんが呆れてる。
さっきまでアンリさんは誰だと思って応答をしていたのか。

「や、だってよ。お前らは会合の時ももやもやした虚無みたいなので参加してたじゃねーか。実体があるのは俺と第一界のやつだけだっただろ?本当はそんな姿だったのか?」
「彼が私に『名づけ』をしてくれたので存在が安定したのですよ。もともと私たちには名前の概念もありませんでしたからね」
「お前、神に名づけするとかかなり思い切ったことするなぁ」
そうでもないけど。普通なら神なんか俺たちと接点ないし、勝手に呼んでるだけだからな。まさか神が現れて、「あ、自分の名前これなんでよろしく」ってやるわけないからな。

「で、ちなみに第何界ってなに?」
「あぁ、それは俺たちみたいなのがどの世界を司っているかっていうのを示す番号ってだけだ。で、俺たちは7人だ」
「その中で私は6番目の世界の神ということですね。あくまで便宜上の番号に過ぎませんが」
なるほど。妥当だな。そういう呼び方ができないとどうやって相手を指定してたんだって話になるし。
「ちなみにここは?」
「第七界だな。ついの世界とも言われてるが」
うわー地獄にふさわしいな。

「で、結局俺は帰れるんだよな?」
ヘスティアさんも迎えに来てくれてるし。
「あぁ、だが何らかのものはこっちに残してくれないとな」
え?
「俺の仕事を邪魔したのには違いないんだから、誠意を見せてくれよ」
理不尽じゃね。
 

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