戦力より戦略。

haruhi8128

プライドってあんまいい方向に働かないよね

「相手が獣人種けも耳っ娘とあれば話は別だ! 殲滅などもってのほか! 和解の方向で進めるしかない!」
「一気にリブレさんのテンションがあがってて怖いです……」

これがテンション上がらないわけがあるか!?

「とはいってもリブレさん。相手の方たちも強いんですよ? それに今まで和解できてないってことはけっこう難しいってことですよ?」
「その通りです。彼らは身体能力は高いのですが、そこに絶対性を見出しており、弱肉強食、計画性のない暮らしを送っています。そのせいで食料危機のようなことが起こってしまうのです」

レインとマレイユさんも苦言を呈してくる。


「それはそうなんだけどな。別に相手は国家の侵略が目的じゃなくて、あくまで食料が問題なんだろ? 国そのものを滅ぼそうという気がないならそこに解決の糸口がありそうな気がするんだけどな……」
「あ、でもそういう思想なのは皇帝派の人たちだよ。反皇帝派には自分たち以外は能力的に劣り、下等種なのだから自分たちが支配すべきだっていう意見の人たちもいるよ?」

キラが補足してくる。

「そうなのか……」

どこにでも同じようなのはいるんだな。
それより……。

「お前その情報はどこから仕入れてきたんだ?」
「昔、助けたことがある娘がいてね。彼女から情報が送られてくるんだ」

なるほど。
昔からタラシだったんだな。

「人聞きの悪いこと言わないでくれよ。他に誰をその気にさせたと言うんだい?」
いや、そこら辺の女中さんとか、町の娘さんたちとか、エイグだっているし……。
まさかほんとにこいつ気づいてないのか?

「? どうしたんだい? 誰か浮かんだかい?」

こいつガチか……。

「まぁ今はいいや……」


「で、相手はどんな感じで攻めてくるつもりなんだ?」

折角だから情報は有効活用させてもらおう。

「えっとね、今回攻めてくるのは獣人皇国ドルガバ。我が国うちみたいに一つの街が国なわけじゃなく、複数の国を皇帝がとりまとめてるって感じかな」

つまり、規模はなかなかってことか。

「でもその国全部が攻めてくるわけじゃないよ。他の国と国交を開いてるところはあるしね。彼らはそれほど食料に困ってないし」

「? ならそこから食料を分けてもらえばいいんじゃないか?」


「そういうところは大抵、草食の種が多くてね。肉食の種からすると、価値のある食べ物はほとんどないんだ。一番の理由はプライドだろうけどね」

めんどくさっ。
国家の危機にプライド優先かよ。

「これまでは皇帝が諸国に話をつけてきてたんだけど、遂に交渉材料が無くなってきたらしくてね。食料供給が滞った折に、諸侯が暴走したっていうのが今回の発端らしいよ」

これまで国をうまくまとめてたやつがこちらに交渉無く、いきなり戦争っていうのは考えにくいしな……。


「待て。今って言ったか?」

引っかかった点を追求する。

「さすがだね。その通り、暴走だよ。諸侯が皇帝を捕えて牢にいれ、皇帝の命と言う体で民衆を動かしているらしいんだ」

それはまじで話し合いの余地ないじゃん……。

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