命の物語

ふみゅうひぅ

第63話



……

なんだか実感わかないなぁ……

自分が死んだってこと……

…今まで生きているような感覚もなかった人生だったけど


少年「……入ってもいいかな」


ワンだ……
どうしたんだろう

少女「…うん」

少年「…………その……大丈夫…?」

少女「………?」

何のことだろう

少年「……もう…本当に普通の人間じゃなくなった……でしょ…?」


遠回しに「死んじゃったでしょ?」って聞いてくる
まだ彼も自分が分かってないんだ……
自分の体だけど、死んでいることがどういう事なのか

少女「………うん」

少年「…………」

少女「そんな気を使わないでよ、どの道、死んでたようなもの………」

少女「……それに、ああするしか無かった。…皆を守るには」

少年「………」

少女「……理不尽」

少年「え?」

少女「人に笑顔になれって言う割には自分は暗い顔」

少年「で、でも……」

少女「でも……何?」

少女「自分は死んでもいい、でもあなたは死んじゃダメっておかしいでしょ」

少年「………でも、僕は君が大切だから…」

少女「言い訳にしないでよね、それ。あなたが悲しいから心配してるだけじゃない」

少年「……ごめんなさい」

泣き出してしまった

少女「ちょ…そんなつもりで言ったんじゃ…」

少女「はぁ……つまり、その……、私も同じだったってことよ……。あなたの死を悲しんで、それなのに笑顔でいいって言われて……」

少女「……私だってあなたには笑顔でいてほしいの」


うまく説明出来ない



少年「………」

そういえば……
初めてワンの泣き顔を見るな……


少女「………よしよし」

少年「……うう」



少女「……でもさ、どうしよっか…これで私も年取れなくなったなぁ……」

少年「……あ……あれか………」

少女「……まあ今すればいいか」

少年「だめだよ!」


少女「ふふっ」

少年「ふぅ……」

少女「…?冗談なんて言ってないけど」

少年「ぎゃあああああ!」





確かにもう普通に戻れる可能性は消えた
でもいい
彼と一緒にいられるなら



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