命の物語

ふみゅうひぅ

回想「スリー」

スリー「ご指名ありがとうございます」

いつも同じ笑顔で、全く異なったお客さんを接客する

僕だけが、何も変わらず、変えず……

そんな僕でも、特別に変える人がいた

女「ねえ……くん…私…大変なの…」

スリー「…?どうしたの?リサちゃん」

彼女はリサ
有名な大企業の社長令嬢らしい
僕がここまで上り詰められたのは彼女のおかげでもある

リサ「……帰り、送って?」

スリー「……?………ああ、いいよ」


よくある話さ…

リサ「……」

スリー「…どうしたの?元気ないじゃん」

リサ「……」

うしろから僕達は引っ張られ、路地裏に連れていかれる

3人の男が彼女を掴む
2人の男が僕を踏みつける

?「なんだぁ?男連れなら勘弁してもらえるとでも思ったかぁ?」

女「や、やめて!…くん!」

スリー「てめぇら何もんだ…!彼女を離せ…!」

?「すいませんねぇ、彼女、今日連れてく約束なんですよ」

?「彼女ねぇ、本当は「あんた」の所で飲み食いする金なんて無いはずなんですよ」

スリー「なんで…知ってんだ…」

?「全く関係ないあんたを巻き込むのは気が引けますがねぇ、恨むなら彼女とホストとしての自分の才能を恨んでください」

バンッ

リサ「…くん!…くんっ!!」

薄れていく意識の中、彼女が呼び続ける

スリー「……どう……した…の…?リサ…ちゃん……」

彼女の声が小さくなっていく
彼女が離れていくせいだろうか
僕が離れて死んでいってるせいだろうか



彼女の親は失敗し、多額の借金だけが残った
上がりに上がった生活水準を下げることなんて出来ず、増えていくばかり
黒い金に手でもつけたんだろう
きっと彼らリサの親からしたら僕は娘を奪った悪い男か、もしくは娘と逃げてくれた良い男になるんだろうな……






よくある話さ……




回想「スリー」
END

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