命の物語

ふみゅうひぅ

第18話

ついに私に当番が回ってきた
初めてにしては難易度の高い役割だ…

それは「囮」
数人が死神を引き付けているあいだ、残りの何人かが食料や材料を収集する

緊張する…

少年「もしキツくなってきたら僕の方まで来て。僕も倒すから」

少女「うん…ありがとう」


早速奴ら死神が現れる

ツー「……こいつらは俺がやる。お前らは別のところ頼む」

少年「了解、僕はビル伝いに空中から攻める。セブンは地上を警戒して」

私には飛び回る身体能力はない、当然だ

少女「了解」



…と、言ってもなぁ…
殆ど上の人達にやられてるし、暇だなぁ…

その時、嫌なものが目に入る

少女「……あいつら…」

うちの学校の不良グループだ
こうなる少し前、変に馴れ馴れしくて嫌気がさしてたんだ…

不良A「……あれ、よぉ、久しぶりー」

不良B「こんなとこで何やってんだよ、引きこもりー」

少女「……」

不良A「ちょっとこっち来いよ」

少女「やめて、離して」

路地裏に連れてこられる

不良A「…なあ、お前勿体ねぇよ…可愛いんだからよぉ……」

不良B「俺らと遊ぼうぜ、な?」

少女「……」

…ヤろうと思えば、やれる
…いっそのこと殺…

?「そうだな、遊ぼうな」

不良B「うああああっ!ゆ、指がああああああああ!」

見慣れた人影が不良の1人の指を折る

少女「わ、ワン…!?どうして…?」

少年「お迎えに上がりました、お姫様♡」

不良A「お、お前…死んだんじゃねぇのか…」

……え?
なんで…彼が死んだことを知ってるの…?

少年「うるせぇよ」

不良A「わぶっ!」

少年「言ったよな、こいつにだけは手を出すなって……」

少年「……次はお前らが地獄送りな」

不良C「わけわかんねぇこと言ってんじゃねぇよ!」

他の不良が彼に殴りかかる

?「わけわかんねぇなら見てこいよ」

不良C「あ"あ"あ"あ"!」

少年「あれ?ツー…なんで?」

ツー「あ?うるせぇ。楽しそうだから来ただけだよ」

ツー「……手伝ってやるよ」


不良B「や、やめろ…悪かった…もうやめるから……」

少年「……生きることをか?」

不良B「いやあ"あ"あ"あ"」




………



ツー「さあて、1つゲームをしようか。そこのお前とお前」

不良AとCを指さす

ツー「お前らで合計15の骨を折り合え。早くしないとこいつの骨を砕いてく」

そう言うと不良Bの折られた指をグリグリとデタラメに回す


「奇数」という数字を「2人」で達成するのだ。それはどちらかがより多く痛みを負わないといけない。


不良B「ああああっ!み、皆ぁぁ!」


だ、ダメだ…
彼らは殺される…
彼らは足の腱を切られている
逃げることも出来ない
さ、流石に…


少女「ちょ、ちょっと!やりすぎだよっ…!」

ツー「……お前、許せんのか?」

少女「え……?」

ツー「どうやらこいつらはな、ワンに死なないとお前に酷いことするって脅してたらしいぞ。殺したようなもんだな」

少年「……」

………

許せない……

許せないけど……

だからって……

少女「……だからって、こんなにまで……」

少年「……もういい、ツー。ありがとう」

ツー「……だってよ、よかったな」

不良B「ううっ…ヒック……あり…がとう……ごめ…なさい…」

私は……

大嫌いで殺したいほど憎んでた彼らに駆け寄った

不良B「……えぇ……?」

少女「……ほら、じっとして」

ツー「お、おい…!何してんだ、どの道そこまでやったらもう……」

少女「いいの……」

少女「だって……こんなにも泣いて、震えて……」

少年「………」

少年「…なあ、ツー……僕達が…やらなくても……」

ツー「……ああ、そうだ」

少女「え…?何…?」

ツー「お前、自分がなんで俺らと一緒にいるのか……思い出してみろ」

少女「………!?」

ゾッとする

私達と……関わっただけで……

少女「………ごめん…ごめんね…」

不良B「……え……なん…で…謝る……の…?」

不良A「な……なんだこいつら……うがあああっっっ!」

不良C「あ…足が動かねぇよぉぉぉ!ああああああああっ」

不良B「な…にあれ………いや…だ……」

少女「………!」

私は柄に手を伸ばす

ツー「…やめとけ、どの道死ぬ」

ツー「おい、お前はこれから冥界地獄を見ることになる。俺らがお前らをやろうがやるまいが関係ねぇ。お前らが今のこいつセブンに接触した時点で決まってたんだよ」



ツー「……自業自得だな」

不良B「あ"あ"あ"あ"あ"!!?!?!!」



奴の悲鳴を聞きならがら、帰った
死神に魅入られた者の悲鳴は、普通の人には聞こえないのだろうか
誰にも見てもらえず、聞いてもらえず、残せたのは痛々しい残響だけだった




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