平凡な私が異世界で生きていくにはチート主人公に媚びるしかない!

tomayu

パーティー

城壁の入り口に立っている警備兵に、招待状を見せる。

門が開き中に見えるのは、芸術的な石像が並ぶ中庭、中央には塔が立ち並ぶ巨大で立派な城。

入り口までの両脇には兵士が立ち並んで道が出来ている。

門をくぐると燕尾服を着た執事であろう男性が出迎えてくれた。

「私が会場まで案内させていただきます。
どうぞ、こちらへ」

案内の元、城の中へと入る。

天井に彫刻の掘ってあるロビーをこえ、
迷路のような廊下を通り会場へとたどり着いた。

中は赤紫色の豪華な絨毯が敷き詰められており、天井からは巨大なシャンデリアが垂れ下がっている。

会場にはすでに大勢の人が入っており、その中にはこれぞ貴族だと言うような格好をした人物から、野生的な雰囲気の失礼だがこの場所に似合わない人物もいる。


国王主催のパーティーと聞いていた為、王族や貴族だけのパーティーをイメージしていた私からするとありがたいが…。

「…少し待ってろ」

足を踏み入れるなり上田君にそう言われ、入り口から少しずれた邪魔になりなさそうな壁際で待つ。

しかし、すごい視線を集めている気がする。

どこか変だったりするのかな…。

なるべく目立たないように下を向く。

「やあ素敵なレディ。あまり楽しめてない様子だね」

顔を上げると、金髪ショートウルフのすごいイケメンが立っていた。

アイドル系のアニメに出て来そうな感じ。

「…こういったものに出席するのが初めで、少し緊張してしまって……。」

「意外だね。てっきり貴族のご令嬢か何かだと。」

凄い優しい笑顔で語りかけられる。

「いえ、まさか..」

絶対今顔が引きつってる。

「俺の名前はレオン。
  レオン・ハワードだ、一応侯爵家の次男。
 気軽にレオンと呼んでくれればいいよ。
   君は?」

まさかの侯爵様だった……。

確か上から2つ目ぐらいだったよね。

確かに高そうな服着てるし、貴族っぽいかも。

ぽいってか、本物の貴族様か。

まあ気軽にレオンなんて呼べないよね、
レオン様とか?

っと言うかこれ俗に言うナンパってやつ?

…でもこのイケメン、女の人に困らなさそうだしまさかね……。

「私は柊楓です。」

「カエデか、うん、良い名前だね。
 ...よし、決めた。」

そう呟くと一歩前に出て私の手をとった。

「一目惚れだ。結婚しよう」

「えっ!?」

ナンパどころか求婚だったんですけど ︎

「…レオン、楓が混乱している
   冗談もその辺にしてやれ」

横を見るとグラスを2つ持った上田君が戻ってきていた。

「あぁ、これが帝の言っていた例の女性だったのか先に言っておいてくれよ」

「... すまないな楓、こいつは女性を見るといつもこうなんだ。」

「女性なら誰でも良いというわけではないは無い、おれは相当な面食いなんでね」

キリッと効果音つきそうな顔で言った。

えっと、話についていけないんだけど...

つまりさっきのは冗談で、帝って確か上田君の名前だったから…

「…上田君知り合いなの?」

「…まあクエストで少しな。」

「少しなんてものじゃない、Aランク冒険者同士魂で語り合った仲だよ。」

いやどう言うこと?

しかし侯爵家でAランク冒険者でら更にはイケメンとかとかハイスペックすぎでしょ。

「ふむ...」

レオン様が私の頭から足へと視線が移り、再び目まで戻ってきた。

「おい帝耳貸せ」

上田君の耳にレオン様が何かつぶやくと、上田君が急に取り乱した。

何言ったんだろ…

それにしても仲良いなこの二人

ん?

周囲がざわついたのを感じ、辺りを見ると

王冠を被った白髪の男性がにこやかな笑みを浮かべ、数人の従者を連れてこちらに歩いてきていた。

うーん間違いない あの人は王様だな...

王様が近くを通ると、男性は首を曲げ女性は膝を曲げている。

王様が私たちの前まで来たので私も膝を曲げる。

某VRMMOで貴族ロールプレイしてたから
カーテシー練習しててよかった……。

「おやおや」

「これは陛下、此度はお呼びいただき光栄です」

「今日は堅苦しいのは無しにしよう。今回は君達のおかげで助かった様なものだしね。
 私は王国が滅ぶかと思ったよ。」

私はそっとその場から距離を置く。

流石に王様はキツイです…はい。

笑顔で対応しているレオン様に、
笑い方がぎこちない上田君。

何だか顔がつりそうだね。

レオン様が私の方を向き、王様に何やら話している。

なんか凄い嫌な予感してきたんだけも……。

ほら来た

王様に手招きされ近くまで行く。

「君がカエデ君だな。」

「お初にお目にかかります。陛下」

「実はな彼ら含めた冒険者何名かと別室で話し合いたい事があってね、移動するんだが
君も来るかね?」

凄い行きたくないけど、ここに放置されるわけにもいかないし…。

「私が行っても良いのなら」

「では決まりだな。此方へきてくれ。」

私たち3人は陛下の後ろをついて歩いて行く。

********************
ようやく話し合い?が終わり、城の使用人に案内され、今日泊まる部屋まで案内された。

上田君は無理やり飲まされて、
反応がない(ry状態なため、部屋まで担いで運ばれた。

もう疲れた、完全に疲れた。

私は死んでいる上田君の横に腰を下ろす。

それにしても話し合いって何?

ただ飲んでゲラゲラ笑ってただけじゃない!

20人中女の人私だけだったし、
下ネタ半端なかったし!

凄いセクハラされたし!

王様を始め、王子に貴族、トップクラスの冒険者ばっかりだったから、無下にもできなかったし…。

更には何人かに求婚されたし……。

本当に疲れた……。

しかも最近王国内で不穏な動きがあり、何もないと思うが明日ある受勲式は気をつけてくれって…

それあるやつやん!

フラグやん……。

もうさっさとシャワー浴びて寝よ……。

「きゃっ ︎」

ベットから立ち上がろうとする前に、
後ろから手を回され、そのままベットに押し倒される。

「う、上田君?」

抜け出そうとするが肩に手が置いてあり、
ビクともしない。

「どうしたの、かな?」

「…楓、俺にはそんなに魅力がないか?」

なんの…あぁ。

そう言えば先程の席でそんな様なこと言われてたね。

「…そんなことないよ上田君、上田君は凄い強いし、魅力的だと思うよ!」

「やはり強さだけか……。」

「他にもいっ、ひゃん! う、上田君⁈」
 
上田君の手が太ももに触れる。

「上田君!話し合えば分かるって落ち着こ?
  こう言うことは好きな人とやらないと…」

上田君の目を見つめながら訴える。

「…きだ。」

「え?」

「…好きだ。入学式で一目惚れして、
  学校に行っていた時は、ずっと見てたんだ…
   本当に好きだ。」

「…上田君……。」

力んでいた力が体から抜けて行く。

「…んっ」

上田君の手が首に触れ、撫でる様に頰へと行きそのま顎へと降りてきた。
そして顎を少し持ち上げながら、下唇に親指でそっと触れる。

何だか頭がボーとしてきて、何故かそれが心地よい。

上田君の顔がゆっくり近付いてくる。

私は全てを委ねる様に、目を瞑った。





バサッ

上田君の体が私に覆いかぶさってのを感じる…

目を開けると、上田君の顔は私を横切り、ベットに埋まっていた。










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