平凡な私が異世界で生きていくにはチート主人公に媚びるしかない!

tomayu

クエスト

「ちょっと何で効かないのー!!」

ブコォオオオオオ ︎!

森の中には、少女の叫び声と、獣のうなり声が響く。

先程から戦闘とは呼べないほどに稚拙だが、それに近いものが行われている。

魔法を放ちながら逃げているメイド服の少女に、それを追いかけているどう猛な牙をもつ二足歩行の猪。

木の上にはその光景を傍観している、着物を着た少年と、黒装束の少女がいる。

「しつこーい!」

もう体力も限界に近い。

先程から私は、拡散する氷を放つ氷魔法、アイスバレットを使用し、目標を攻撃し続けているのだが、明らかに無理ゲーだ。


ちなみに現在受けているクエストで、ちょうど10個目となる。

クエストの内容は、

危険度3クエスト
オークキング1頭の狩猟。

危険度とは5段階で区切られており、危険度ごとに適性ランクがある。

危険度1 ランク F〜E
危険度2 ランク E〜D
危険度3 ランク D〜C
危険度4 ランク C〜B
危険度5 ランク B〜A


ちなみに私が今まで受けていたクエストは、
薬草採取に、小型モンスターの狩猟などで、
危険度は一のものばかりだ。

それも当然だろう。

何故なら私はランクFなのだから。

その簡単なクエストをこなしながら、並行して上田君には基礎を教えて貰っていた。


しかし何故か現在のクエストの危険度は3。

ちょっと急にレベル上がりすぎじゃないですか?……。

ランクFの私にとって、適性ランクから2つも3つも離れている、危険度の3クエストは受けられない筈なのだが……。


時は遡り、冒険者登録をしたその日の夜、急にギルドマスターに呼び出された上田君と、ゆあちゃん。

帰ってきたらなんと、上田君はいきなりAランク、ゆあちゃんもCランクになっていた。

上田君に尋ねてみても、少しギルマスと話たら上がったらしい。

何を話したらそんな簡単に上がるの?

Aランクって、現在この大陸に数える程しか居ないって言ってなかった?

こうして、適性ランク以上である2人がクエストを受け、代わりに私が倒していると言う訳なんですよ…。

現在目標めがけ、氷魔法を連発しているのだけど、まったくはなしになっていない。

どう考えても無理ゲーです。


「楓様!止まってでも的確に、弱点を狙うんです!」

ゆあちゃんからのアドバイスが入った。

なるほど、弱点か!

ってどこ⁈

私オークキングの弱点知らないんだけど!

いや考えろ、普通の動物なら頭だよね? 

でも先程から効いてないし、柔らかそうな首とか目を狙う?

走りながら、手の平に魔力を出来るだけ貯める。
 
よし今!

急ストップして振り返り、オークキングの
目をめがけて魔法を発動する。

「アイススピア!」

オークキングの顔に氷で出来た槍が迫る。

バンッ

やったか??

ブコォオオオオオ ︎!

オークキングは一瞬足を止めるも、何事も無かったかの様に私に急接近し、左腕を振り上げる。

これは、やばい!

え?

オークキングの腕が私を捉える前に、
いつの間にか私の前に立っていた、上田君の指によって止められていた。

「…上出来だ。」

オーヌクキングが次の動作に移る前に、上田君はオークキングの避退の前に指を構え、放つ。

ドォン ︎

上田君のデコピンによって、オークキングの頭部の一部が弾け飛んだ。

今のは怖かった……。

本当に怖かった……。

やっぱり、命の危機に慣れるなんて無理だよ。

「…上田君遅いよ……助けに来てくれないのかと思ったよ…?」

涙目になりながら上田君に訴える。

確かに少しでも戦闘時間が長かったり、
ダメージを与えてから倒した方が、
振り分けられる経験値は美味しいとは言ってたけど。

ギリギリ過ぎだよ…。

「…それはな…いや何でもない、悪かった。」

「楓様には甘々ですね、殿!しかし問題無いですよ楓様!多分殿は今の一連の動作の間に、楓様の服を脱がしきるぐらいの余裕はありましたから!」

「えっ…上田君そんな事しようとしてたの…?」

「た、確かにそれくらい出来たが、
って、違う!ゆあも例えが悪いぞ。」

「申し訳ありません…。殿……。」

「そんな事より、柊…さん。
 レベルはどうなった?」

「呼びにくいなら楓で良いよ、上田君」

前々から呼びにくそうだったしね。
でもそんなに柊って呼びにくいかな?

「それだともっと呼びにくく、いや何でもない。分かった、か、かえ、かえで、楓!」

「そ、そんなに呼ばなくても…。」

そう何回も呼ばれると少し恥ずかしい…

「す、すまん。」

「たったら楓様も、上田君何て変なあだ名では無く、月神様、もしくは帝様と呼ばれた方が良いんじゃないですか?」

「それもそうだね!分かったよ帝様!」

上田君がまた赤面している。

ゆあちゃん天然であれだがら、やるねぇ。

っと、上田君いじりはこの辺にしておいて、
レベルの確認だったね。

ステータスオープン

ヒイラギ  カエデ

lv14
HP  980
MP    2200
AKT  275
DEF  260
MAD 2100
MDE 650
AGI   290
魔法適正:氷(lv 2)
スキル :⁇?、魅惑の魔眼lv 1
フェロモンlv 1

うーん、魔法方面は伸びてるね!

物理方面はひどいけど……。

あと俊敏性も酷いな、足の遅いオークキング相手にギリだったからね……。

あっでも、魅惑の魔眼が使える様になってるし、新しいスキル増えてる!

えっとなになに、

魅惑の魔眼lv1

効果

対象の意識レベル、脳の活動を僅かに低下させる。

ふむふむ、自白剤的な感じかな?

フェロモンlv1

効果

対象のヘイト値を僅かに上げる。

私後方だから、使えなさそう…。

まあ一応ステータスは順調なのかな?
 
「レベルは14、スキルは魅惑の魔眼と
フェロモンがレベル1、氷魔法はレベル2って感じだよ。」

「…ふむ、ではスキルについても説明しておくか、スキルとはな…」

********************

「疲れたぁ〜」

宿のベッドにダイブする。

「お疲れの様ですね楓様。」

「お疲れだよ〜」

だって凄いハードなんだもん。

「でも全ては楓様の為ですよ」

まあ分かってるけどさ。

今時のjkにこの仕打ちはキツキツだよ〜。

「ちなみに明日はお休みです。」

ようやく休みか〜。

「明日は一日中ねてるね。」


「何を言ってるんですか楓様!明日は街でお買い物ですよ!」

えーでもお金殆ど宿代で消えてるから、何も買えないんだよね……。

「ちなみに何買いに行くの?」

「それは内緒です!」

「えー内緒?」

「明日のお楽しみです!」

凄い気になるんだけど。

「それより楓様!お風呂行きましょう!」

まあ明日のことより、今入る風呂の方が大事だよね!

お風呂♪お風呂♪〜


********************

「ふわぁ〜」

やっぱり日本人たるもの、お風呂に限るよね。

この世界にお風呂あって良かったよ〜。

「生き返るわ〜」

「ですね〜楓様〜」

まったくゆあちゃんは可愛いな〜、

まるで妹が出来たみたいだよ。

まあ、この世界じゃ私のほうが弱いし、
ダメダメ系お姉ちゃんだけど………。

「そう言えば、上田君は?」

「殿なら今日も出掛けられてますね。」

何か毎日出掛けてるね。

朝起きるといつの間にか帰ってきてるし、
夜遅くまで何やってるんだろ。


それにしてもお風呂気持ちいね〜。











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