平凡な私が異世界で生きていくにはチート主人公に媚びるしかない!

tomayu

出来る男達

現在、迷宮のような洞窟の通路を、
壁に書かれている矢印を目印に、
上田君を追っている。

伊藤君にお姫様抱っこされながら……

伊藤君も山田君、田中君と仲の良いオタク君だ。

しかし何故だろう、一度はされたかったお姫様抱っこなのに、こう複雑な気持ちなのは。

その原因と思わしき胸元を見る。
伊藤君の右手……
完全に私の胸に触っているんだけど、

わざとじゃ無いよね?

顔を上げ伊藤君の顔をジト目で見る。

あっ、目を逸らした。
これは確信犯だな!

「…変態(ボソッ)」

「ご、ごめんなさい!」

伊藤君は慌てて右手の位置を下げる。

一瞬ニヤついた気がするのは、気のせいだと思いたい……。

それにしても、あの場所から私を連れ出して、既にかなりの距離を走っている気がする。

連れ出すって言うか、アレは攫われたような感じあるけど…


「伊藤君さっきからずっと走ってるけど、疲れないの?」

「うん、スキルのおかげで大丈夫みたいです。」

なら良いんだけど、どんなスキルなんだろ…

人を運ぶ時に筋力が上昇するとか?

いやいや、たとしたら
君ら3人のスキル、犯罪に寄り過ぎでしょ!

前の世界で何やってたの ︎

完全に紛いのことやってたでしょ!

っと言うかそもそもそ、

「ねえ伊藤君、私を連れていく必要ってあるの?」

確かに私も上田君を追いかけようと思ってはいたけど、先程から無駄に優秀なオタクトリオ(山田、田中、伊藤)だけで良い気がする。

私行っても何出来ないよ?

「リーダーが言っていました。
上田とて1人の男!美少女が交渉すれば何とでもなる!って」

「えぇ…」

リーダーって山田君だよね?

何適当なこと言ってるのあの人…


「柊さん飛びます!しっかり掴まっていて!」

え?今何て?

既に目の前には既に断崖絶壁。
しかし迷うことなく、伊藤君は崖の下にに飛び込む。
その瞬間、浮遊感が私の体を襲った。

「うそぉおおおおおおお!」

少女を抱えた少年の影は、叫び声と共に
暗闇の中に消えていった。




……




「伊藤君…
次飛ぶときは、予め教えて…ね?」

涙目になりながら伊藤君に訴える。

「はい…」


かなり下まで落ちたと思う。
それにしても良く着地できたね。
そのスキル中々すごいくない?

私は伊藤君の腕の中から降り、
辺りを見渡す。

「すごい、きれい…」

眼前に広がるのは、白銀の砂浜にエメラルドグリーンの湖。
幻想的なそれに思わずうっとりとしてしまい、思わず感嘆の声が漏れる。

「目印はここまで、見たいですね。」

「うん…。」

引き寄せられるように湖に近づき、水をすくう。

まるで絵本の中みたい…

ずっとこの空間に居れそうな気さえしてくる…。
 

「柊さん!こっちへ来てください!」

砂浜の端から伊藤君が呼んでいる。

折角浸っていたのに…。

トボトボと伊藤君に近寄る。

「何があったの?って田中君 ︎」

田中君が浜辺で倒れていた。
伊藤君が田中君の首元に手を当て、脈を確認している。

「気絶しているみたいですね。」

一体何が…。

田中君が驚愕の表情をして立ち上がる。

「柊さん!湖を見てください!」

伊藤君がさす指の方向を見る。

 ︎

なに…あれ…

湖に巨大な複数の影が浮かんでいて、こちらにゆっくりと接近している。

「ひとまずあそこに逃げます!」

伊藤君は私を素早く担ぎ、洞穴に向けて走り出す。

しかし、洞穴に入る前に湖から勢いよく水飛沫が上がると、8つの頭が私たちを囲む。

「そんな…」

首を辿って行くとその頭全ては、湖の上にある一つの巨大な胴体から伸びていた、

「これは八岐大蛇ですね…。」

「なんでそんな神話の生物がここに?」

「ここは仮にも異世界の迷宮の中、居てもおかしくは無いかと…」

「そうだったね…」

「しかしどちらにせよこれは…」

異世界に急に飛ばされて最初のモンスターがあれなの ︎

完全にゲームオーバー。

「何で、こんな目に会わなければ行けないのよ!」

足元にあった小さな石を、八岐大蛇に投げつける。

この理不尽な異常事態に、脳は正常に機能していない。

石が顔の一つに当たるのを合図にして、
8つの頭が急接近する。

私は目を閉じ、体に力を入れ覚悟を決める。

くそっ!こんな所で終わりなんて!



ザンッ ︎


突如目の前で鳴った、轟音に驚き目を開ける。

「うそ⁈」

その八つの頭全てが首の根元で切られ、
地面に転がっていた。
継ぎ目からは血が吹き出している。

「一体なにが?
しかしどうやら…助かったみたいですね」

張り詰めていた緊張が糸の様に切れ、
膝から崩れ落ちる。

「うん…良かった…」

体を地面に預け横目で湖の上を見る。

あれは誰?

八岐大蛇胴体の上に、和服で狐の仮面をした男が佇んでいた。
その腰元には刀が刺さっており、柄に手を預けてるいる。

あの人が助けてくれたのかな?

お礼を言いたいけど、目を開けているのも辛くなってきた…。


ゆっくりと目を瞑ると、意識が遠くなっていっいく…。













「平凡な私が異世界で生きていくにはチート主人公に媚びるしかない!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く