異世界スキルガチャラー
『嫉妬の海竜』レヴィアタン 2
「クヒャハハッ! さあ、これで邪魔は無いね! 安心してよ、一瞬でぶち殺してあげるからさ!」
『啓斗様、まずいですよ。今の体力とMPの状況からして、七柱レベルの敵と戦うのは完璧に死亡フラグです』
「分かってる。分かってるが、逃げることすら無理だろこの状況」
『……ごもっとも』
レヴィアタンが右前脚を叩き付けるのを間一髪で啓斗は回避したが、叩き付けの衝撃で床が壊れ、破片が飛び散ったのを見て背筋が寒くなった。
(今まで何だかんだ言って死なずに済んでは来たが、今回だけは突破口が見つからないぞ)
『あー、この状況どうやって打開すりゃいいんですかね? 私、正直なにも思いつかないんですけども』
ちょうど思っていたことと似たような内容をナビゲーターに言われて更に苦い顔をする啓斗だが、だからと言って何も閃くことは無い。
いや、あった。下手をすれば巻き込まれて死ぬのに変わりないが、この竜を打倒する方法が、たった一つ。
「ナビゲーター、残MPはどれくらいだ?」
『えーっと、数字で言う必要もないですね、あとURスキル2回分ですね。あ、1回は回復に使うとして、実質あと1回です』
「そうか、ラスト1回……賭けだな」
『賭け?』
まず【ゼノ・ヒール】を使用して両腕と内臓のダメージを完全回復させる。
そのタイミングでレヴィアタンが左前脚で再び叩き付けを仕掛けてきたため、死ぬ気で避ける。
「ナビゲーター、例えばこのレヴィアタンと同じサイズの怪物がこの場に出現して暴れ出したとして、俺の負傷率はどれくらいだと思う?」
『へ? そ、そうですね。無傷は2%以下で、軽傷だと10%くらい、重傷が60%超え、死ぬ可能性も20%強くらいあります』
「マジか。だが、やるしか……なさそうだな」
『やるしかないって……あっ!? まさか啓斗様、あのスキルを使う気ですか!? まだ1回も使ったことないのに、この切羽詰まった状況で!?』
「ああ、そうだ。ここでこのバケモノに一泡吹かせるには、このスキルが一番可能性が高いと見た」
『その思い切りの良さ……ほんっと尊敬しますよ。そんな度胸さえあれば、私も……いえ、何でもありません。じゃあ、さっさとやってくださいよ、【敵対鏡像】を!』
「ああ、言われなくてもやってやるさ。頼むぞ、ここで死ねないからな!」
同刻、巨大樹と化したホテル「スターアライヴ」の入り口だった場所に、この国にはそぐわない服装をした銀髪の少女が立っていた。
「私がいない間に一体なにが……?」
巨木を見上げて愕然としている少女に、制服の警官が話しかけてきた。
「貴女が、ゼーテ・ナイトブライトさんですね?」
「……アンタは?」
「そうですね、先に私から名乗るのが筋でしょう。私はミューズ・ブルーワース。マギクニカ警察……簡単に言えば治安維持団体の1人です」
「へぇ、で、その刑事さんが外国人の私に何の用? それに、そういう警察の人はもうすぐ到着する予定のヴァーリュオンの一行を迎え入れるために人員を割いているのではなかったかしら?」
「ほう、刑事という言葉を知っているあたり、他国の事情をあまり重要視しないヴァーリュオンの方にしては知的好奇心が豊富ですね」
「そんなことは聞いてないわ。アンタが何の用で私に話しかけてきてて、どうやってこの場所を突き止めたのかを簡潔に答えなさい」
「これですよ、貴女が書いたのでは?」
ミューズは懐から紙切れを1枚取り出すと、ゼーテに投げてよこした。それは、ルカが啓斗を追うことを決めた際にゼーテが渡した、住所の記されたメモであった。
「元々ここはヴァーリュオンの皆様に宿泊していただく予定でしたが、今ではこんなことになってましてね。既に別の宿は手配済みですが、わざわざス案内されるはずのターアライヴ入り口の場所を書いたメモがある……それはつまり、別の意図があるか、もしくは緊急の場合の待ち合わせ場所か。そう思ったわけですね」
「そういうこと。……私から言うことは何もないわ。貴様、ルカとケイトをどこにやった!?」
「ゼーテさん、落ち着いてください。私たちが彼らを同行したわけじゃないんですから」
「……?」
「もちろん説明しますが、貴女にも説明していただきたい。なぜ、あの2人を先に送り込んできたのか、そして同じく、なぜ、貴女1人でこんなところをうろついているのかをね」
『啓斗様、まずいですよ。今の体力とMPの状況からして、七柱レベルの敵と戦うのは完璧に死亡フラグです』
「分かってる。分かってるが、逃げることすら無理だろこの状況」
『……ごもっとも』
レヴィアタンが右前脚を叩き付けるのを間一髪で啓斗は回避したが、叩き付けの衝撃で床が壊れ、破片が飛び散ったのを見て背筋が寒くなった。
(今まで何だかんだ言って死なずに済んでは来たが、今回だけは突破口が見つからないぞ)
『あー、この状況どうやって打開すりゃいいんですかね? 私、正直なにも思いつかないんですけども』
ちょうど思っていたことと似たような内容をナビゲーターに言われて更に苦い顔をする啓斗だが、だからと言って何も閃くことは無い。
いや、あった。下手をすれば巻き込まれて死ぬのに変わりないが、この竜を打倒する方法が、たった一つ。
「ナビゲーター、残MPはどれくらいだ?」
『えーっと、数字で言う必要もないですね、あとURスキル2回分ですね。あ、1回は回復に使うとして、実質あと1回です』
「そうか、ラスト1回……賭けだな」
『賭け?』
まず【ゼノ・ヒール】を使用して両腕と内臓のダメージを完全回復させる。
そのタイミングでレヴィアタンが左前脚で再び叩き付けを仕掛けてきたため、死ぬ気で避ける。
「ナビゲーター、例えばこのレヴィアタンと同じサイズの怪物がこの場に出現して暴れ出したとして、俺の負傷率はどれくらいだと思う?」
『へ? そ、そうですね。無傷は2%以下で、軽傷だと10%くらい、重傷が60%超え、死ぬ可能性も20%強くらいあります』
「マジか。だが、やるしか……なさそうだな」
『やるしかないって……あっ!? まさか啓斗様、あのスキルを使う気ですか!? まだ1回も使ったことないのに、この切羽詰まった状況で!?』
「ああ、そうだ。ここでこのバケモノに一泡吹かせるには、このスキルが一番可能性が高いと見た」
『その思い切りの良さ……ほんっと尊敬しますよ。そんな度胸さえあれば、私も……いえ、何でもありません。じゃあ、さっさとやってくださいよ、【敵対鏡像】を!』
「ああ、言われなくてもやってやるさ。頼むぞ、ここで死ねないからな!」
同刻、巨大樹と化したホテル「スターアライヴ」の入り口だった場所に、この国にはそぐわない服装をした銀髪の少女が立っていた。
「私がいない間に一体なにが……?」
巨木を見上げて愕然としている少女に、制服の警官が話しかけてきた。
「貴女が、ゼーテ・ナイトブライトさんですね?」
「……アンタは?」
「そうですね、先に私から名乗るのが筋でしょう。私はミューズ・ブルーワース。マギクニカ警察……簡単に言えば治安維持団体の1人です」
「へぇ、で、その刑事さんが外国人の私に何の用? それに、そういう警察の人はもうすぐ到着する予定のヴァーリュオンの一行を迎え入れるために人員を割いているのではなかったかしら?」
「ほう、刑事という言葉を知っているあたり、他国の事情をあまり重要視しないヴァーリュオンの方にしては知的好奇心が豊富ですね」
「そんなことは聞いてないわ。アンタが何の用で私に話しかけてきてて、どうやってこの場所を突き止めたのかを簡潔に答えなさい」
「これですよ、貴女が書いたのでは?」
ミューズは懐から紙切れを1枚取り出すと、ゼーテに投げてよこした。それは、ルカが啓斗を追うことを決めた際にゼーテが渡した、住所の記されたメモであった。
「元々ここはヴァーリュオンの皆様に宿泊していただく予定でしたが、今ではこんなことになってましてね。既に別の宿は手配済みですが、わざわざス案内されるはずのターアライヴ入り口の場所を書いたメモがある……それはつまり、別の意図があるか、もしくは緊急の場合の待ち合わせ場所か。そう思ったわけですね」
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