異世界スキルガチャラー
クレイジー・ジャンキーズ 2
階段を下に降りていくにつれ、錆のような酷い匂いが鼻に漂ってくる。
別にベネットはこの匂いに嫌悪感も抱かないし、むしろ戦いの中で嗅げば気分が高揚するものなのだが。
「まあ、自分でそういう風に体にプログラミングしただけなんだけどニャー」
独り言を言いながらさらに階段を降りると、またチェーンソーを起動させる「ブゥゥゥン!!」という巨大な音が聞こえてきた。
「……あっちも相変わらずの感じニャね」
一番下まで降りると、この錆の匂いのする場所には合わない真っ白なドアが目に入る。そこにはドアノブが無い代わりに、センサーのようなものがついていた。
「ミリアー、久しぶりに来たよー」
『スキャン開始…………登録番号02、ベネット・レッドクルーと認識。開錠します』
白いドアは横に静かにスライドして開き、中に入る。
中では、ベネットの感覚では見慣れた光景が映っていた。
所々、いや、赤く染まっている部分の方が多いかつては清潔な白衣だったであろう服装に身を包み、防護眼鏡をして、刃に赤い液体と何かの破片らしきものが付着したチェーンソーを持った緑髪の女性がこちらを向いて立っていた。
彼女の前には大きな「作業台」が置いてあり、そこには見たこともないような気色の悪い生物が乗っていた。
「あら、ベネットじゃない! 用事ならちょっと待ってね、このコの始末を終わらせてから話聞くからさ!」
「あ、お構いなくニャー」
「火炎の耐性は無く作ってあるから、こんがり焼いてあげちゃおうかしら!!」
そう言うと女性、ミリアはおもむろに作業台の陰から巨大なバーナーを取り出すと、謎の生物に向かって勢い良く炎を噴射した。
数秒の間燃やし続けると、謎の生物は跡形もなく消し炭になっていた。
「終わった?」
「うん、終わった終わった。ってベネット、ひどい顔してるわね! じゃあ、来た理由は〈皮貼り〉かしら?」
「そうなのニャ。ちょっとドジっちゃって、さっきローグに中身を直してもらったばっかりなのニャ」
「ふーん、でも見た感じ髪の毛は大丈夫そう。私が作った防火防刃特殊繊維が役立ったみたいね。嬉しいわぁ」
「まあ、それはそれとして、剥がれちゃった部分を貼りなおせないかニャ?」
「分かったわ、ちょっと待っててねー」
そう言うとミリアは奥にある2つのドアのうちの右側に入っていき、そして何枚かの肌色をした布のようなものを持ってきた。
「ゴメンねー、今ちょっとナマの奴切らしちゃっててさー。少しだけゴワつくけど、私特製の合成皮でいい?」
「んー、合成だと検査に引っかかったりするから嫌なんだけど、それしかないなら仕方ないニャ」
「お詫びにさ、ちょっと値段安くするからー」
「ホントかニャ!? じゃあ、これ以上文句は言わないニャー♪」
「じゃ、新しいの貼るからその辛うじて一部だけ残ってるみたいな服脱いでねー」
しばらくして、完璧に皮膚を貼り替えて服も着替えたベネットは、ミリアが提示した20000ルーンをきちっと支払った。
「ベネットって本当にこだわり強いよねー、やっぱりブレインの出来が違うと普通のアンドロイドより頭がいい代わりに癖も強くなるのかしら」
「さあ、自分以外のアンドロイドには興味湧かないしどうでもいいニャー」
「ふふ、それじゃあまた依頼があったら連絡するから、今後ともよろしくね」
ヒラヒラと手を振るミリアに背を向けて、ベネットは階段を昇って行った。
「ミリアも本当に変な趣味もってるニャ。なんでわざわざマギクニカのジャンクヤードに地下実験場作って、生物実験してるのかニャー。ま、アタシが社会に溶け込むのに必要な皮膚を売ってくれるから別にいいけどニャ」
新しい皮膚を手に入れて気持ちよく活動が再開できる、というふうにベネットは楽しそうに微笑んだ。
「ルカ、お前本当についてきたのか……」
「うん、当たり前でしょ! ねぇ、後ろに乗っていい?」
勘だけで運転しているバイクの後ろから、ルカがそれより速く飛んできたのに啓斗はとても驚いたが、恐らく飛ばせ続ければ彼女の魔力が尽きそうだと判断したため、後部座席に乗せることにした。
「いいかルカ、マギクニカに着いたら最優先であのベネットとかいう獣人もどきを捜すぞ。あの腕時計だけは必ず取り戻さないとならない」
「分かった、頑張るよ!」
鬼気迫る表情で前を見据える啓斗は、内心で非常に焦っている。
万が一にもマギクニカで分解か転売されでもしたら、取り戻すのが限りなく不可能に近くなる。彼は無意識に、バイクをさらに加速させるのだった。
別にベネットはこの匂いに嫌悪感も抱かないし、むしろ戦いの中で嗅げば気分が高揚するものなのだが。
「まあ、自分でそういう風に体にプログラミングしただけなんだけどニャー」
独り言を言いながらさらに階段を降りると、またチェーンソーを起動させる「ブゥゥゥン!!」という巨大な音が聞こえてきた。
「……あっちも相変わらずの感じニャね」
一番下まで降りると、この錆の匂いのする場所には合わない真っ白なドアが目に入る。そこにはドアノブが無い代わりに、センサーのようなものがついていた。
「ミリアー、久しぶりに来たよー」
『スキャン開始…………登録番号02、ベネット・レッドクルーと認識。開錠します』
白いドアは横に静かにスライドして開き、中に入る。
中では、ベネットの感覚では見慣れた光景が映っていた。
所々、いや、赤く染まっている部分の方が多いかつては清潔な白衣だったであろう服装に身を包み、防護眼鏡をして、刃に赤い液体と何かの破片らしきものが付着したチェーンソーを持った緑髪の女性がこちらを向いて立っていた。
彼女の前には大きな「作業台」が置いてあり、そこには見たこともないような気色の悪い生物が乗っていた。
「あら、ベネットじゃない! 用事ならちょっと待ってね、このコの始末を終わらせてから話聞くからさ!」
「あ、お構いなくニャー」
「火炎の耐性は無く作ってあるから、こんがり焼いてあげちゃおうかしら!!」
そう言うと女性、ミリアはおもむろに作業台の陰から巨大なバーナーを取り出すと、謎の生物に向かって勢い良く炎を噴射した。
数秒の間燃やし続けると、謎の生物は跡形もなく消し炭になっていた。
「終わった?」
「うん、終わった終わった。ってベネット、ひどい顔してるわね! じゃあ、来た理由は〈皮貼り〉かしら?」
「そうなのニャ。ちょっとドジっちゃって、さっきローグに中身を直してもらったばっかりなのニャ」
「ふーん、でも見た感じ髪の毛は大丈夫そう。私が作った防火防刃特殊繊維が役立ったみたいね。嬉しいわぁ」
「まあ、それはそれとして、剥がれちゃった部分を貼りなおせないかニャ?」
「分かったわ、ちょっと待っててねー」
そう言うとミリアは奥にある2つのドアのうちの右側に入っていき、そして何枚かの肌色をした布のようなものを持ってきた。
「ゴメンねー、今ちょっとナマの奴切らしちゃっててさー。少しだけゴワつくけど、私特製の合成皮でいい?」
「んー、合成だと検査に引っかかったりするから嫌なんだけど、それしかないなら仕方ないニャ」
「お詫びにさ、ちょっと値段安くするからー」
「ホントかニャ!? じゃあ、これ以上文句は言わないニャー♪」
「じゃ、新しいの貼るからその辛うじて一部だけ残ってるみたいな服脱いでねー」
しばらくして、完璧に皮膚を貼り替えて服も着替えたベネットは、ミリアが提示した20000ルーンをきちっと支払った。
「ベネットって本当にこだわり強いよねー、やっぱりブレインの出来が違うと普通のアンドロイドより頭がいい代わりに癖も強くなるのかしら」
「さあ、自分以外のアンドロイドには興味湧かないしどうでもいいニャー」
「ふふ、それじゃあまた依頼があったら連絡するから、今後ともよろしくね」
ヒラヒラと手を振るミリアに背を向けて、ベネットは階段を昇って行った。
「ミリアも本当に変な趣味もってるニャ。なんでわざわざマギクニカのジャンクヤードに地下実験場作って、生物実験してるのかニャー。ま、アタシが社会に溶け込むのに必要な皮膚を売ってくれるから別にいいけどニャ」
新しい皮膚を手に入れて気持ちよく活動が再開できる、というふうにベネットは楽しそうに微笑んだ。
「ルカ、お前本当についてきたのか……」
「うん、当たり前でしょ! ねぇ、後ろに乗っていい?」
勘だけで運転しているバイクの後ろから、ルカがそれより速く飛んできたのに啓斗はとても驚いたが、恐らく飛ばせ続ければ彼女の魔力が尽きそうだと判断したため、後部座席に乗せることにした。
「いいかルカ、マギクニカに着いたら最優先であのベネットとかいう獣人もどきを捜すぞ。あの腕時計だけは必ず取り戻さないとならない」
「分かった、頑張るよ!」
鬼気迫る表情で前を見据える啓斗は、内心で非常に焦っている。
万が一にもマギクニカで分解か転売されでもしたら、取り戻すのが限りなく不可能に近くなる。彼は無意識に、バイクをさらに加速させるのだった。
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