異世界スキルガチャラー
2400連目 ヴァーリュオン出発前夜 side啓斗&ルカ
「ルカの奴、明らかに体調不良な顔しといて……どこ行った?」
啓斗は現在、ルカにあてがわれている部屋の中に立っていた。ノックしても返事がなかったために入ったのだが、もぬけの殻だったのだ。
「おい、ナビゲーター!」
『はーい、こんばんはー。ご用件は何でしょー?』
「ナビゲーター、どうにかしてルカの現在位置を調べられるか?」
『今いる場所ですね。えーっと……少々お待ちを』
ナビゲーターは懐からスマホ型の端末を素早く取り出すと、何やら画面をタップしたりスクロールさせたりし始める。
『あ、いましたいました。この座標は……ああ、この前啓斗様たちがマリーさんと一緒に行ったバルコニーにいるみたいですね』
「あそこか! よし、今すぐ行くぞ!」
啓斗はドアを破壊しかねない勢いで開き、そのまま猛ダッシュで階段を駆け上がる。
廊下で追いつくだろうと考えていた啓斗が部屋まで着いてもルカに出会わなかったのは、ルカの部屋に行く途中にあるこの階段を上ったからだと推理できた。
数十秒後、啓斗はバルコニーの入り口から、奥で手すりの傍に座り込んで息を切らしているルカを発見した。
「おい、ルカ。大丈夫か!?」
「あ、ケイト……君。ごめんね、心配かけた?」
「当たり前だろ、一体全体どうしたんだ? 顔が真っ青だぞ」
「な、何でもないよ。ただ疲れたから風に当たろうと思っただけで……あはは」
笑顔で手をヒラヒラ振って「何でもない」というように訴えるルカだったが、その顔色は以前として相当悪い。
啓斗は、どうにもこのルカの言葉を信じることができなかった。
額に触れてみると、少し熱っぽい気もする。
「ナビゲーター、ルカの体調を分析してくれ」
「イエッサー。啓斗様、ルカさんが動かないように抑えててくださいねー」
「だ、大丈夫だって。何でもな……」
「いいから動くな」
焦ったようにルカは立ち上がろうとしたが、啓斗が力づくで両肩を掴んで抑え込んだため、その場にとどまらざるを得なかった。
なにやら端末をかざしてルカの体をスキャンしていたナビゲーターだったが、スキャンを終わらせて何か操作をしていると、その顔から笑顔が消えた。
『……啓斗様、あまり良くない報告があります』
「なんだ、早く言え」
『いえ、やはり私から言うより実際に状況を見た方が早いでしょう。啓斗様、ルカさんの背中をどうにかして見て下さい』
「え!? だ、ダメダメダメ! 絶対ダメだから!!」
真っ青だった顔を更に青白くして首を横に振る彼女を強引に回して後ろを向かせる。
「ヤダヤダヤダヤダ! ケイト君の変態!」
「バカ、暴れるなって! 別に裸体を拝もうなんてそういう考えじゃ無いんだっての!」
16歳の少女とは思えない物凄い力で暴れるルカを全力で抑え、服の背中をめくる。
露わになったその背中には、緑色の龍鱗がびっしりと生えていた。
「こ……れは……」
「み、見ないで……こんなの見ないでよぉ……」
言葉を失う啓斗と、すすり泣き始めるルカ。膠着した状態がしばらく続いた後、脇から2人を眺めていたナビゲーターが口を開いた。
『これは【暴龍の呪術】の副作用のようなものです。少しづつ人間としての姿と理性を奪っていき、暴走に誘う悪質な、ね』
「…………」
『背中に龍鱗が生えるのはまだ初期の症状です。騒ぐ必要はまだありませんが、侵食速度にはご注意を』
「ああ……分かった」
啓斗はルカを抱き上げると、そのまま彼女の部屋に向かって歩き出した。
「だ、大丈夫だってば。1人で歩けるから!」
「黙って抱えられててくれ。こんな状態のお前を歩かせるのは、俺の気が済まない」
ルカが黙ったのを見て、啓斗は再び歩き出す。すると、後ろからナビゲーターが
『今日があと30分で終わってしまうので、ガチャを引くのをお忘れなくー!』
と言ったのが聞こえた。
夜中の一仕事を終えたナビゲーターは、何やらアイスクリームのようなものを食べながら端末をいじっていた。
「うーん、やはり啓斗様の人間的な感情の起伏が大きくなってますね。人間味が出るってことは〈ソウルコネクト〉のレベル上げもスムーズになりますし、いい兆候かも」
「………さて、次に呼ばれるまでゲームでもしますか。あ、この食べ物冷たくて美味しい」
端末を懐にしまうと、アイスを舐めながら白い空間の中を歩いていった。
ガチャ結果
URスキル【波動弾】
無属性の魔力の玉を手の平に生成して飛ばす。
MPを多く込め、時間をかけてチャージすることによって威力が上昇する。
ヴァーリュオン出発まで:あと6時間10分
啓斗は現在、ルカにあてがわれている部屋の中に立っていた。ノックしても返事がなかったために入ったのだが、もぬけの殻だったのだ。
「おい、ナビゲーター!」
『はーい、こんばんはー。ご用件は何でしょー?』
「ナビゲーター、どうにかしてルカの現在位置を調べられるか?」
『今いる場所ですね。えーっと……少々お待ちを』
ナビゲーターは懐からスマホ型の端末を素早く取り出すと、何やら画面をタップしたりスクロールさせたりし始める。
『あ、いましたいました。この座標は……ああ、この前啓斗様たちがマリーさんと一緒に行ったバルコニーにいるみたいですね』
「あそこか! よし、今すぐ行くぞ!」
啓斗はドアを破壊しかねない勢いで開き、そのまま猛ダッシュで階段を駆け上がる。
廊下で追いつくだろうと考えていた啓斗が部屋まで着いてもルカに出会わなかったのは、ルカの部屋に行く途中にあるこの階段を上ったからだと推理できた。
数十秒後、啓斗はバルコニーの入り口から、奥で手すりの傍に座り込んで息を切らしているルカを発見した。
「おい、ルカ。大丈夫か!?」
「あ、ケイト……君。ごめんね、心配かけた?」
「当たり前だろ、一体全体どうしたんだ? 顔が真っ青だぞ」
「な、何でもないよ。ただ疲れたから風に当たろうと思っただけで……あはは」
笑顔で手をヒラヒラ振って「何でもない」というように訴えるルカだったが、その顔色は以前として相当悪い。
啓斗は、どうにもこのルカの言葉を信じることができなかった。
額に触れてみると、少し熱っぽい気もする。
「ナビゲーター、ルカの体調を分析してくれ」
「イエッサー。啓斗様、ルカさんが動かないように抑えててくださいねー」
「だ、大丈夫だって。何でもな……」
「いいから動くな」
焦ったようにルカは立ち上がろうとしたが、啓斗が力づくで両肩を掴んで抑え込んだため、その場にとどまらざるを得なかった。
なにやら端末をかざしてルカの体をスキャンしていたナビゲーターだったが、スキャンを終わらせて何か操作をしていると、その顔から笑顔が消えた。
『……啓斗様、あまり良くない報告があります』
「なんだ、早く言え」
『いえ、やはり私から言うより実際に状況を見た方が早いでしょう。啓斗様、ルカさんの背中をどうにかして見て下さい』
「え!? だ、ダメダメダメ! 絶対ダメだから!!」
真っ青だった顔を更に青白くして首を横に振る彼女を強引に回して後ろを向かせる。
「ヤダヤダヤダヤダ! ケイト君の変態!」
「バカ、暴れるなって! 別に裸体を拝もうなんてそういう考えじゃ無いんだっての!」
16歳の少女とは思えない物凄い力で暴れるルカを全力で抑え、服の背中をめくる。
露わになったその背中には、緑色の龍鱗がびっしりと生えていた。
「こ……れは……」
「み、見ないで……こんなの見ないでよぉ……」
言葉を失う啓斗と、すすり泣き始めるルカ。膠着した状態がしばらく続いた後、脇から2人を眺めていたナビゲーターが口を開いた。
『これは【暴龍の呪術】の副作用のようなものです。少しづつ人間としての姿と理性を奪っていき、暴走に誘う悪質な、ね』
「…………」
『背中に龍鱗が生えるのはまだ初期の症状です。騒ぐ必要はまだありませんが、侵食速度にはご注意を』
「ああ……分かった」
啓斗はルカを抱き上げると、そのまま彼女の部屋に向かって歩き出した。
「だ、大丈夫だってば。1人で歩けるから!」
「黙って抱えられててくれ。こんな状態のお前を歩かせるのは、俺の気が済まない」
ルカが黙ったのを見て、啓斗は再び歩き出す。すると、後ろからナビゲーターが
『今日があと30分で終わってしまうので、ガチャを引くのをお忘れなくー!』
と言ったのが聞こえた。
夜中の一仕事を終えたナビゲーターは、何やらアイスクリームのようなものを食べながら端末をいじっていた。
「うーん、やはり啓斗様の人間的な感情の起伏が大きくなってますね。人間味が出るってことは〈ソウルコネクト〉のレベル上げもスムーズになりますし、いい兆候かも」
「………さて、次に呼ばれるまでゲームでもしますか。あ、この食べ物冷たくて美味しい」
端末を懐にしまうと、アイスを舐めながら白い空間の中を歩いていった。
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