異世界スキルガチャラー

黒烏(クロイズク)

(1800連目) ナビゲーターの「セカイ」

「あーやれやれ、まさかいきなり発生したバグ潰しで1日潰すなんて、笑えないですよ……よし、あとはもう私が直接やらなくてもジュスティツィアがオートでやってくれるはず。ダイジョブだよね?」
『はい、問題ありません。そして、啓斗様にメッセージをお伝えしたとともにガチャでロベリーURが排出されたことを報告致します』
「うんうんりょーかーい。あ、ちゃんとセキュリティバリアと迎撃レーザーの点検もしといてね。私はこれから他の仕事しないといけないから」
『かしこまりました。では「迎撃対象」が出現した場合はいかがなさいますか?ここ数日はほとんど毎日攻めてきておられますので』
「んー、いつも通り適当に撃ち落とすか弾き飛ばして帰らせてあげて。あ、下級天使より位が上のはできれば捕獲。以上」
『了解しました。では、メインコンピューターのメンテナンスを再開します。進捗は随時、携帯用デバイスに送信しますのでご確認をお願いします』
「おっけー、それじゃよろしくー」

ナビゲーターはそう言って、手に持っていたスマートフォンと思わしき機器の画面をタップした。
すると、周囲に展開されていた無数の映像画面や数字の羅列の群が消えていく。

「さてと……スナっちー!! どこー!?」

息を全力で吸い込んで力いっぱい叫ぶ。その声は目の前に広がる超広大な真っ白の空間に響いたが、どこからも反応が無かった。
人差し指で頭をポリポリと掻き、大きなため息をついた。

「まったくもー、無視なんてひどいよー!? 聞こえてるでしょ、どこー!?」

しかし、どこからも一切反応がない。
ナビゲーターはさらに大きなため息をつくと、右足のつま先で軽くトントンと2回床を蹴った。
するとそこから、まるでレーダー探知のように半球状の波動が広がる。

「お、発見……って、なんちゅー奥まで走ってんの! エリア37とか普通に生活してたら絶対行かないスペースじゃん!」
「はーあ、活きがいいのは大歓迎だけど元気すぎるのも困りものですよねー……」

そう言うやいなや高速で屈伸と伸脚をし始め、終わると短距離走のクラウチングスタートの構えを取った。

「超絶軽めに走って、3秒くらいで着くようにしますか。じゃ、よーい……ドン!」

そしてナビゲーターは物凄いスピードで疾走していった。
この時のナビゲーターの速さについて軽く説明すると、まず彼女がいた場所はエリア4。現在スナっちがいると特定されたエリア37は大体エリア4から268km離れている。
ここから計算すれば、今の彼女の走行速度は秒速約90kmとなる。
そして宣言通り、ナビゲーターはほぼ3秒ぴったりで目的地「エリア37」に到着した。

「お、いたいたー。スナっちー、なにしてるのー?」
「………?」

最後に喰らった少年の姿をしているスナっちは、衣服のポケットに両手を突っ込んだまま上を見上げていた。
感情の読めない顔をしてボケーッと突っ立っている。

「もしもーし、返事できるでしょー? 本当はめっちゃ知能レベル高いんだからいい加減喋ってよー」
「……んにゃ、しょうがないナー」

スナっちは悪戯っぽい笑みを浮かべてナビゲーターに向かって振り返った。

「……えーっと?」
「ちょっとちょっとゴシュジン、テンションいつもより低くなイ?」
「いや、スナっちが予想外に高いんでしょに」
「そうかナ? ゴシュジンを参考にしてこういう感じにしてみたんだけド」

スナっちは本当に人間の少年であるかのようにニシシ、と笑ってナビゲーターを見る。

「てゆーか、ここ本当につまんないネ。一面真っ白でなーんにも無いシ」
「けっこう当たってるから何も言い返せない……」
「ゴシュジン、こんな場所にいて精神病んだりしないノ? 」
「あー、その話すると長くなるよ? てか病む病まないの話だったら、究極的に病みすぎてもうこれ以上変わらないレベル」
「え、ホント? ちょっと覗いて見てもいイ?」
「……効率的なエサ探しのために他の生物の「魂を覗く」ことが出来る能力を手に入れた生物とか、マジ危険だよね」
「ヒヒ、ごもっとモ」

スナっちの目が妖しく光り、ナビゲーターを凝視する。
しばらくそのままナビゲーターを見ていたが、いきなり目を戻したかと思うと思い切り身を引いた。

「んー? どしたのー?」
「……ゴシュジン、怖すぎるっテ。心の中じゃもう世界滅んでるとか、笑えないヨ」
「あはは、そこまで見えるんだ。やっぱり奪魂魔スナッチャーって凄いねぇ」
「でも何人かは生きてたネ。全員が誰かまでは分かんなかったけど、確実にあの啓斗とかいう人はいたネ」
「ちょっとスナっち、啓斗「様」だからね。私達のあるじなんだから」
「えー、天界の施設から引き取ってくれたのはゴシュジンだし、ゴシュジン以外にそういう呼び方はムリー」
「……じゃあもう、啓斗様達の前で喋んないでよ? 啓斗様に不信感を持たせちゃダメなんですから」
「オッケーだけど、ゴシュジンちょっと喋り方に安定感無さすギ。敬語が混ざりすぎだヨ」
「それくらい分かってんだって! でも、治んないんだよねぇ……」

そんな事を喋りながら、ナビゲーターとスナっちは(今度はゆっくり歩いて)エリア4まで戻って行った。





『定期連絡:啓斗様が本日入手されたURスキルを記録します』


URスキル【エクスプロージョン】
指定範囲を爆破する戦術級魔法。
消費MP量によって爆発範囲と威力が変わる。
10000MP全てを消費して使用するようなことがあった場合、街一つが吹き飛ぶほどの威力を持たせることも出来る。


『以上。定期連絡を終了し、メンテナンスに戻ります 』


ヴァーリュオン出発まで:あと6日

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