異世界スキルガチャラー

黒烏(クロイズク)

降りしきる雨の中で 3

「私の弓の腕、あんまり舐めないでもらっていい!?」

矢筒から矢を次々と取り出しながらルカはモンスター達の頭を射抜いていく。
命中精度は百発百中と言っていいほどで、的確かつスピーディだ。

「……ルカ、一体どこからあの弓矢を出したんだ?」
『そうですねぇ、地龍の力の影響でしょう。恐らく無意識に植物プラント共鳴レゾナンスを使用している可能性が』

ルカの能力に驚いている啓斗だったが、彼のほうもなかなか派手に攻撃を行っている。
右手の剣であっさりと敵を斬り伏せつつ、左手から交互に火炎の魔法や、SR【ブラスト・カノン】、同じくSR【ブリッツ・ストライク】などを次々に発射している。


SRスキル【フレアバースト】
手のひらより一回りほど大きな火球を生成して放つ上級魔法。
人間相手に使えば火傷では済まされない重傷を負う。

SRスキル【切断強化】
自身の持つ武器の切断力を三倍に強化する。
一度の使用で効果は3分間持続する。

Rスキル【ダメージカット・初級】
敵からの攻撃ダメージを30%カットする。
MP消費が持続型のスキルの一つで、消費量は1分あたり50MP。


フレアバーストは魔法攻撃のコンボの中に織り交ぜ、他二つは既に使用して戦闘を行っている。
特にフレアバーストなど、魔法系統のスキルの使い勝手が良い。
理由としては2つ。
1つ目は、SRの魔法スキルは全てかなり威力が高く、かつ発動スピードが早いので使い勝手がいいこと。
もう1つは、SRスキルである故にMP消費量が一発150という少なさにある。
啓斗のMP最大値は10000なので、何発か外そうがMP消費には問題なく戦闘を続けることが可能。
そんな高性能魔法スキルを次々と繰り出し、その攻撃の隙間を通り抜けてきたモンスターは切断力を強化した鉄剣で一閃する。
大体一発で一体のペースで倒せることから、敵モンスターの戦闘力はそこまで高くないことも啓斗は理解した。

(火事場に乗じて人をさらったり金品を奪ったりするのが目的のゲスな奴らなのだろう)
(しかし、倒しても倒しても無数に現れるな。やはりどこかにこの大群を率いるボスがいるに違いないが、俺の索敵スキル精度では今この場所から敵のリーダーを探し出すのは不可能に近い。いや、無理だと一旦決めつけておこう)
『啓斗様、もし敵リーダーが自力で見つけ出せないのでしたら「仲間」を有効活用するのも大事ですよ?』
『せっかく自分だけじゃなくてパーティメンバーがいるんですから、その特徴と用途も把握しておく必要はあると思いますが』
「ナビゲーター、お前、俺の心読んでるだろ」
『さあ? どーでしょうねぇ?』

あっけらかんとした顔で口笛を吹くナビゲーター。啓斗は、彼女がおそらく自分の思考を何らかの方法で読んでアドバイスを投げてくると考えているのだが、いかんせん方法が謎なのだ。

『ほらほら、突っ立ってないで行動に移す移す!今は制御できてますけど、ほっといたらルカさん、まーた野生化しちゃうかもしれませんよ?』
『ああ、事後処理はウチのスナっちにお任せください! 骨の髄まで喰らい尽くして跡形もなく消し去りますから!!』
「……そうだな。よし」
「ルカーッ!!ちょっと来てくれー!!」

啓斗は激しくなってきた雨音に負けないよう、相当の大声を出してルカを呼んだ。
ルカはその声に過敏に反応すると、ものすごいバク宙を披露して一跳びに啓斗の前まで移動してきた。

「どしたの? ケガしてない?」
「ああ、別に怪我はしてない。それより、頼みたいことがある」
「うん、何でも言って!」
「俺は、街のどこかにこのモンスターの大群のボスがいると思っている。しかし、俺の能力だけじゃ見つけられない」
「うーんと……じゃあ、どうすれば?」
『えーっとですねルカさん、貴女が「龍人」になって空を飛べば見つけられると私は思ってます』
「おいナビゲーター、何を言ってる。暴走したらどうする気だ?」
『それはそうなんですけど、他の手が見つからないのも事実ですからね?』

ナビゲーターの言葉に、啓斗は反論が出なかった。
口ごもってしまった啓斗と、お手上げだと言うように首を横に振るナビゲーターを交互に見て、ルカは力強く頷いた。

「……分かった。私、やってみる」
「な、おい! やめろ!」
『いえいえ、やらせて差し上げないと! この状況の唯一の打開策になり得るかもしれないんですから!』
「ナビゲーター! お前、何を言い出す!」
『シャラーップ! 慎重すぎるのは駄目なんですよ! 啓斗様はビクビクし過ぎなんですよ!!』

戦いをそっちのけにして大声で言い合いを始めた啓斗とナビゲーターを横目に、ルカは目を閉じて集中する。

(……? 何だろう、体の奥から湧き上がってくるものがあるような気がする)

ルカは、奥底から何かが湧き上がってくるんを感じる。
同時に、自分の心臓の鼓動が加速していくのも感じた。

「……う、ああ……あああああぁぁぁぁァァァァァァ!!!」
「なっ、ルカ!?」
『おおおっ、これは!!』

ルカが頭を抱えてうずくまると、その体が光に包まれる。


その光が消え去った時、そこに立っていたのは……

『えーっと、形容するなら……そうですね、「半龍人」でしょうか』
「……確かに、その例え方が1番合ってる気がするな」

そこに立っていたのは確かにルカであった。が、所々に明らかな「変貌箇所」がある。
まず、両腕両脚に深緑の龍鱗がビッシリと生えていること。
次に、手と爪先が鉤爪となっており、歯が牙になっていること。
また、背中に一対の翼が生えており、更に完全な龍人状態だった時より少し小さいが尾も生えている。

「じゃあ私、探してみる!」

ルカは翼を大きく広げると、雨の降る空へと飛翔した。


「おい、ナビゲーター」
『なんでしょうかー?』
「龍人になるにはHPが80%以下になることが条件だったはずだが、何故変身できた?」
『んーとですね、アレは完全な変貌じゃ無いからでしょうね。ある程度の意志の力があれば、真の力の3割くらいは引き出せるでしょう』

ナビゲーターはさも全てを知っているかのようにそう言った。

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