異世界スキルガチャラー

黒烏(クロウ)

1500連目 UR【分析】&【ジャスト・カウンター】

第1部 終章 「双子騎士の記憶」




『おっはよぉぉぉぉございまぁぁぁす!!!』

いきなり耳元に響いたナビゲーターの叫び声で、啓斗は飛び起きた。

「………っ!!!おい、もっと静かに起こせ。鼓膜が破れるかと思ったぞ」
『あ、失礼しました。なるべく大きい方が確実に目を覚ますかと思いまして、つい張り切っちゃいました』
「張り切っちゃいました、で済むか。脳に響いたぞ?」
『あっはは、すいません。じゃ、早速始めますか』
「始める? 何をだ?」
『やだなぁ、昨日言ったじゃないですか。「チュートリアル」やるって!』
「いや、まだ朝だぞ?飯すら食べてない」
『問答無用! というわけではい、ワープ!!』

瞬間、啓斗の視界は真っ暗になった。
が、またその次の瞬間に視界が開ける。
そこは一面草原だった。
どうやら、ヴァーリュオン付近の草地に飛ばされたらしい。

『意外と私、なんでも出来るんですよ?凄いでしょ』
「………草原のド真ん中に移動させて何をするつもりだ」
『あ、あと少々お待ちを。今、特製フィールド張ってますんで』
「おい、人の質問に答えろ。何をする気だ」
『えーっと……この隠密呪文も練り込んで、ここをこうしてアレをああして……』
「おい、人の話を……」
『あ!これやればもっと良いかも!!』

啓斗の言葉は一切ナビゲーターの耳に入っていないようだ。
啓斗は大きなため息をつくと、ポケットに手を突っ込んだ状態で突っ立ってナビゲーターを待った。
2分ほど経つと、ようやくナビゲーターは啓斗に視線を向けた。

『では、チュートリアル始めますね。まずは今日の分のガチャ引いてください。正真正銘、詐欺じゃない本物の「チュートリアルガチャ」です』

自動的にガチャ画面が呼び出され、「TAP」の文字が目の前にデカデカと主張するように光った。

「「強力UR確定」か。本当だろうな?」
『う、嘘なんてもうつきませんよ! ほらほら、引いて引いて。チュートリアル用に調節したガチャですから、確実なパワーアップを約束します!』

目を異様なまでに輝かせながら急かすようにこちらを見つめるナビゲーターの視線を浴びながらガチャを引く。
いつも通り銅と銀の光球が8割強排出され、そして金が9個、虹が2つ排出された。

『スキル図鑑オープン!はい、こちらが啓斗様が手に入れた強力スキルです。まあ、ちょっとパンチが足りないですけど文句は言わないでくださいよ?』

URスキル【分析アナライズ
解析対象に指定した「モノ」の情報を事細かに全て表示する。
名称はもちろん、料理ならば材料から調理過程の全てを、機械なら部品や役割、耐久度などの情報を、魔物や人間ならばレベルとステータス、弱点、特殊スキルと固有スキル、そして現在の状態など。
これらを瞬時に把握できる。

『これに合わせて、図鑑やら解析時に出てくる画面やらをアップグレードしました。戦闘時に知っておきたい情報をピックアップして表示するようにしましたので、その解析スキルは使い勝手めっちゃ良いと思いますよ。試しに、今から弱いモンスター出しますんで解析してみて下さい』

それだけ言うとナビゲーター(のホログラム)は1度フッと消えた。






「えーっとそうだなぁ、コイツでいいですかね」

ナビゲーターは手元のスマホ型端末を操作する。
「モンスター召喚」と表示された画面に並ぶ無数の数字の羅列をなぞり、新たな画面を呼び出した。

「召喚プロセス作動、モンスターNo.025「タウロス」。座標入力、X19780、Y08530。スペシャルセッティング無し」
「出現まで、3、2、1……」

ナビゲーターのカウントダウンが終わると同時に、啓斗の目の前にモンスターが出現した。
がっちりとした筋肉質の体格で、身長は目算で約2メートル。
それだけでも中々の迫力なのだが、最も目立つのはその頭部だろう。
一言で言い表すならば、その怪物の頭は紛れもない「牛」なのだ。
しかも、乳牛や肉用牛のようなものではない、闘牛の顔なのだ。

「牛面の怪物か……しかし、ナビゲーターがこいつを出現させたのか?アイツ、やはり……」
『なに1人でブツブツ言ってるんですかー?』
「うおっ!?」

啓斗は、いきなり戻ってきたナビゲーターに少し仰天してしまい、思わず声を上げてしまった。

『いや、「うおっ」て。何かやましいことでも考えてたんですかー?』
「……そんなわけないだろ」
『ですよね。啓斗様がいかがわしい事なんて考えませんよね』

どうやら啓斗の独り言は聞こえていなかったようだ。

『ほらほら、アレを解析してみて下さい。【分析】って一言呟くだけでOKです』

ナビゲーターはいつも通り楽しそうな笑顔を浮かべて牛の怪物を指さす。

「ああ、分かった。【分析】発動」

啓斗が発動のキーとなる言葉をつぶやくと、彼の目の前に巨大な画面が出現した。


モンスターNo.025「タウロス」ランクD
HP:400
MP:50
P・ATK:C
M・ATK:F
DEF:C
DEX:E
SPD:D
LUK:G

魔法属性適正
火:G 水:G 風:G 土:G 光:G 闇:G 無:F

状態:正常

特殊スキル:無し

固有スキル:無し


『まあ、こんな感じですね。今日出たもう1つのURの確認がてら倒してみてください。アルファベットの意味は倒してから解説します』
「了解した。まずは確認からだな」

啓斗はスキル図鑑を開くと、一覧を下にスクロールする。
どうやら、こちらも「アップグレード」で見やすくなっているらしい。
ほとんどが【???】になっており、【融解灼熱メルトフレア】や【サウザンドダガー】などがポツポツと見える。
そのままスクロールしていると、右上に「NEW!」とついたスキルを見つけた。


URスキル【ジャスト・カウンター】
敵の攻撃をギリギリまで引き付けてから回避すると自動的に発動する。
時間の流れが一瞬だけ急激に遅くなり、その間に敵に攻撃すると、回避した相手の攻撃の5倍の威力のカウンターになる。


「ブモオォォォォォ!!!」

啓斗が確認し終わったと同時にタウロスが雄叫びを上げて突進を仕掛けてきた。

「要するに………」

数メートル先から迫り来る牛の怪物をじっと睨みつける啓斗。
その角先が啓斗に触れようとした瞬間、啓斗は必要最低限の動きでタウロスの攻撃を躱した。

『【ダッシュアップ】で移動速度を上昇させて難なく回避、そしてぇ……?』

啓斗は一瞬、世界の全てが停止したような感覚に襲われた。
タウロスが振り返って攻撃して来ようとしているのが分かる。

(こういうこと、だろ!)

啓斗は、そのままタウロスの背中にキックを浴びせた。
啓斗の攻撃がヒットした瞬間に時間の流れは元に戻り、タウロスは10数メートル吹き飛んだ。

『はい、400ダメージオーバー!即・死亡!』

ナビゲーターが高らかに宣言する。
確かにタウロスは背中から流血してピクリとも動かなくなった。
しかしその3秒後、タウロスの全身がプログラミング言語のような無数の数字の羅列となって消滅した。

「………?」
『私が召喚した、言うなればダミーですからね。死んだら実体は消え失せます』
「なるほどな。実体が一時的にプログラミングされた情報体ということか」
『その通り。さて、ここまでで「前置き」です。ここから本格的な「説明」ですよ。じっくりみっちりこの世界の基礎を叩き込んで差し上げますから覚悟してください!』

そう言うと、ナビゲーターの笑顔が一層ニンマリとしたものとなった。















「ご報告いたします。ナビゲーターが最低限の役割を越えて行動しているようです」
「やれやれ、あの小娘が、また余計なことを」
「どうなさいますか?何か罰則を与えましょうか?「上様」」
「ふん、既に追放という重い刑に処しているのだ。今更罰則なぞいらん」
「では、如何なさいましょう」
「「ミカエル」に忠告に行かせろ。尋問した後にどうするかは奴の自由にさせて良い」
「承知致しました」

天界、その中央に聳え立つ神の城。
「上様」と呼ばれた巨体の男は、配下の天使を「ミカエル」への使いにやると、頭を掻いた。

「異世界から来た救世主が世界を救うだと?そんなもの、夢物語に過ぎん」
「あの小娘、何度希望を抱いて落胆すれば気が済むのだ?奴こそ、この世界のバランスを破壊する危険因子」
「だが、もう少し今回持ってきたあの人間を観察するのも悪くない。何やら面白そうな余興を披露してくれそうだからな」

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