異世界スキルガチャラー
究極合体技【異体同心】
「はぁ……はぁ……ようやく撒いたな」
「おにいちゃん、もうこわいのおってこない?」
「ああ、大丈夫だ。安心していい」
植物の追跡を振り切ったシーヴァは、抱えていたマリーをそっと地面に降ろす。
「さてと。チラッと見えたが、ゼーテは無計画に攻撃したらしいな。全く、向こう見ずなのは変わらないか」
シーヴァは一つ溜め息をつくと、辺りを見回す。
すると、高台に見覚えのある人影を発見した。
「ようやく合流か。おーい、ケイト君! こっちだ、下だ!」
もう聞き慣れたシーヴァの声に応じ、啓斗は高台からシーヴァのいる家屋の屋根に飛び降りた。
「ふっ……と。シーヴァ、状況の説明を頼む」
「あ、ああ。今、ゼーテとマリーに戦闘能力の把握をしてもらった所だ」
「どうやら、あの龍鱗が非常に強固らしく、並大抵の攻撃じゃ効果が無いらしい。ほら、見てみろ」
そう言われて啓斗は地龍に目を凝らす。
何やら小型の軍団が地龍を取り囲んで多種多様の攻撃を仕掛けている。
「何となくダメージを与えている感じがあるにはあるんだが、どうにも決め手に欠ける」
「ああ、俺もそこが一番心配なんだ。あの見るからに硬質な鱗と、異常な体力」
「そういえば、彼女を元に戻す具体的な方法はなんだ?」
そこで啓斗もそういえばと思い、ナビゲーターを呼び出す。
『はいはいー!では、ここでルカさんを元に戻す方法をレクチャー致しましょう!』
『まず、現在のルカさんの体力を確認しましょうか!えーっと…………70%ですね。つまり、21000!』
『さて、ここでルカさんが龍に変貌した理由をお教えします。こちら!』
【龍力暴走】
人がドラゴンに変身するということは、内に爆発的な野生を住まわせるということ。
能力の持ち主が扱いきれないほどの野生が溜まると、暴走状態に陥る。
暴走状態では完全に理性を失い、敵とみなした全てを攻撃する。
『これが影響しているんです。どうやら裏で色々細工されてるみたいなんですが、今はこの情報までしか分かりません』
『しかし、解除法は独自に調べがつきました。私が親切で調べたんですから感謝してくださいね!』
『実は、暴走状態になる変身だと段階があるようなんです。まず、HPが80%以下になると、体は人型の「龍人」になります』
『更にHPを削って50%以下になると、あの「真龍」状態になります。今70%なのは、回復しちゃったせいでしょうねー』
『それで、ここから本題です。暴走状態は、一定まで体力を削ると「元の人間に戻る」んです』
しかし、そこでナビゲーターが少し表情を曇らせる。
「で、どれくらいだ?」
『はい。えー……「5%」まで減らすと元に戻ります』
5%……つまり、最大HP30000の今のルカの場合、1500。
現在のHPは21000だから、あと19500削らなければならない計算になる。
『しかも、地龍由来の超回復スキルのせいで、少しでも手を緩めたら勝機はどんどん遠のきます』
「しかし、あの巨体と尋常じゃない防御力を突破できるスキルは、今の俺には……」
『はい。はっきり言って、無いです』
本当にはっきり告げられ、奥歯を噛み締める啓斗。
だが、シーヴァの顔は笑っていた。
「ならば、僕とゼーテに任せてはもらえないか?」
「……と言うと?」
「ああ、とっておきの奥の手がある。使えば、5%まで削るのも可能だ」
「本当か?」
「この名にかけて嘘はつかない。だから、このお嬢さんを預かってて貰えないか?」
そうして優しくマリーの背中を押すシーヴァ。
「それともう1つ頼みがある」
「なんだ?」
「僕がゼーテのところに到着したら、1分……いや、40秒だけ時間をくれ。発動にほんの少しかかる」
「分かった。注意をこっちに向けるように誘導する」
「やはり君は話が早い。「どうして削れると断言出来るんだ?」と普通なら聞き返すはずだ」
「そんなこと聞いても時間の無駄だ。俺ができないから、できる人間に託す。それだけの話だ」
「潔いのか、見切りが早いのか……と、言っていてもしょうがない。僕は直ぐにゼーテの元に向かう」
「ああ、陽動は任せろ」
シーヴァは、飛行魔法を使用してゼーテの元へと急ぐ。
『それで、陽動ってどうやるんです?』
「簡単だ。森を燃やしてやればいい。辺り一帯の森林を焼き尽くされれば、嫌でも俺を狙うだろう」
『なるほどー。ああそうそう、啓斗様だけにお話します。体力を削った後にもしなければならないことが』
「何?まだあるのか?」
「遅い」
「いや、これでも大分飛ばしたんだぞ?」
「まあいいわ。で、準備出来てる?」
「もちろんだ。ケイト君、頼んだ!」
『了解だ』
通信が終わった瞬間、地龍の目の前に広がっていた森林が炎上した。
マリーの「玩具」と戦っていた地龍が、森林に意識を向ける。
「よし、今だ!始めるぞ!」
「……………」
「ゼーテ、今更渋るな!」
「……………ああ、もう!分かったわよ!」
ゼーテとシーヴァは覚悟を決めると、お互いに目を閉じ、握手の手を交差させるようにして相手の手を掴んだ。
「我、深淵より昏き漆黒を抱きし者」
「我、太陽より眩き白銀を抱きし者」
「「今、我が前に立つは此の世で唯一無二の縁者なり」」
「我が名、シーヴァ・ナイトブライト」
「我が名、ゼーテ・ナイトブライト」
「「今宵、この場所に、二人の永遠の契りを交わす!!」」
「「この契りの名は、死が互いを分かつまで、決して切れぬ〈兄妹愛〉!!」」
「「この世界の森羅万象を司りし全能神よ、今ここに!」」
「「この愛を示す一時の絆を与え、我らが身に力を与えよ!」」
「「【異体同心】!!!」」
瞬間、天空から巨大な稲妻が落ち、双子の全身を貫いた。
「さて、ここからは本気のコンビネーションだ。張り切っていこうじゃないか!」
「兄妹愛……って言い切っちゃった……はぁ……」
「さあ、行くぞゼーテ! 見せてやろう、僕達の真の力を!!」
双子は、様相が変化していた。
二人とも眼帯を取り去っているが、「眼」は発動していない。
シーヴァは、右目が鮮やかなマリンブルーで左目が黄金色のオッドアイ。
ゼーテは、左目が黄金色で右目がマリンブルーのオッドアイになっている。
更に、シーヴァは頭髪の右半分が白銀色に染まり、逆にゼーテは頭髪の左半分が漆黒に染まっている。
精神合体魔法【異体同心】。
シーヴァとゼーテが王立魔法図書館の古い倉庫の奥深くで見つけ、独自に修練して習得した魔法である。
「おにいちゃん、もうこわいのおってこない?」
「ああ、大丈夫だ。安心していい」
植物の追跡を振り切ったシーヴァは、抱えていたマリーをそっと地面に降ろす。
「さてと。チラッと見えたが、ゼーテは無計画に攻撃したらしいな。全く、向こう見ずなのは変わらないか」
シーヴァは一つ溜め息をつくと、辺りを見回す。
すると、高台に見覚えのある人影を発見した。
「ようやく合流か。おーい、ケイト君! こっちだ、下だ!」
もう聞き慣れたシーヴァの声に応じ、啓斗は高台からシーヴァのいる家屋の屋根に飛び降りた。
「ふっ……と。シーヴァ、状況の説明を頼む」
「あ、ああ。今、ゼーテとマリーに戦闘能力の把握をしてもらった所だ」
「どうやら、あの龍鱗が非常に強固らしく、並大抵の攻撃じゃ効果が無いらしい。ほら、見てみろ」
そう言われて啓斗は地龍に目を凝らす。
何やら小型の軍団が地龍を取り囲んで多種多様の攻撃を仕掛けている。
「何となくダメージを与えている感じがあるにはあるんだが、どうにも決め手に欠ける」
「ああ、俺もそこが一番心配なんだ。あの見るからに硬質な鱗と、異常な体力」
「そういえば、彼女を元に戻す具体的な方法はなんだ?」
そこで啓斗もそういえばと思い、ナビゲーターを呼び出す。
『はいはいー!では、ここでルカさんを元に戻す方法をレクチャー致しましょう!』
『まず、現在のルカさんの体力を確認しましょうか!えーっと…………70%ですね。つまり、21000!』
『さて、ここでルカさんが龍に変貌した理由をお教えします。こちら!』
【龍力暴走】
人がドラゴンに変身するということは、内に爆発的な野生を住まわせるということ。
能力の持ち主が扱いきれないほどの野生が溜まると、暴走状態に陥る。
暴走状態では完全に理性を失い、敵とみなした全てを攻撃する。
『これが影響しているんです。どうやら裏で色々細工されてるみたいなんですが、今はこの情報までしか分かりません』
『しかし、解除法は独自に調べがつきました。私が親切で調べたんですから感謝してくださいね!』
『実は、暴走状態になる変身だと段階があるようなんです。まず、HPが80%以下になると、体は人型の「龍人」になります』
『更にHPを削って50%以下になると、あの「真龍」状態になります。今70%なのは、回復しちゃったせいでしょうねー』
『それで、ここから本題です。暴走状態は、一定まで体力を削ると「元の人間に戻る」んです』
しかし、そこでナビゲーターが少し表情を曇らせる。
「で、どれくらいだ?」
『はい。えー……「5%」まで減らすと元に戻ります』
5%……つまり、最大HP30000の今のルカの場合、1500。
現在のHPは21000だから、あと19500削らなければならない計算になる。
『しかも、地龍由来の超回復スキルのせいで、少しでも手を緩めたら勝機はどんどん遠のきます』
「しかし、あの巨体と尋常じゃない防御力を突破できるスキルは、今の俺には……」
『はい。はっきり言って、無いです』
本当にはっきり告げられ、奥歯を噛み締める啓斗。
だが、シーヴァの顔は笑っていた。
「ならば、僕とゼーテに任せてはもらえないか?」
「……と言うと?」
「ああ、とっておきの奥の手がある。使えば、5%まで削るのも可能だ」
「本当か?」
「この名にかけて嘘はつかない。だから、このお嬢さんを預かってて貰えないか?」
そうして優しくマリーの背中を押すシーヴァ。
「それともう1つ頼みがある」
「なんだ?」
「僕がゼーテのところに到着したら、1分……いや、40秒だけ時間をくれ。発動にほんの少しかかる」
「分かった。注意をこっちに向けるように誘導する」
「やはり君は話が早い。「どうして削れると断言出来るんだ?」と普通なら聞き返すはずだ」
「そんなこと聞いても時間の無駄だ。俺ができないから、できる人間に託す。それだけの話だ」
「潔いのか、見切りが早いのか……と、言っていてもしょうがない。僕は直ぐにゼーテの元に向かう」
「ああ、陽動は任せろ」
シーヴァは、飛行魔法を使用してゼーテの元へと急ぐ。
『それで、陽動ってどうやるんです?』
「簡単だ。森を燃やしてやればいい。辺り一帯の森林を焼き尽くされれば、嫌でも俺を狙うだろう」
『なるほどー。ああそうそう、啓斗様だけにお話します。体力を削った後にもしなければならないことが』
「何?まだあるのか?」
「遅い」
「いや、これでも大分飛ばしたんだぞ?」
「まあいいわ。で、準備出来てる?」
「もちろんだ。ケイト君、頼んだ!」
『了解だ』
通信が終わった瞬間、地龍の目の前に広がっていた森林が炎上した。
マリーの「玩具」と戦っていた地龍が、森林に意識を向ける。
「よし、今だ!始めるぞ!」
「……………」
「ゼーテ、今更渋るな!」
「……………ああ、もう!分かったわよ!」
ゼーテとシーヴァは覚悟を決めると、お互いに目を閉じ、握手の手を交差させるようにして相手の手を掴んだ。
「我、深淵より昏き漆黒を抱きし者」
「我、太陽より眩き白銀を抱きし者」
「「今、我が前に立つは此の世で唯一無二の縁者なり」」
「我が名、シーヴァ・ナイトブライト」
「我が名、ゼーテ・ナイトブライト」
「「今宵、この場所に、二人の永遠の契りを交わす!!」」
「「この契りの名は、死が互いを分かつまで、決して切れぬ〈兄妹愛〉!!」」
「「この世界の森羅万象を司りし全能神よ、今ここに!」」
「「この愛を示す一時の絆を与え、我らが身に力を与えよ!」」
「「【異体同心】!!!」」
瞬間、天空から巨大な稲妻が落ち、双子の全身を貫いた。
「さて、ここからは本気のコンビネーションだ。張り切っていこうじゃないか!」
「兄妹愛……って言い切っちゃった……はぁ……」
「さあ、行くぞゼーテ! 見せてやろう、僕達の真の力を!!」
双子は、様相が変化していた。
二人とも眼帯を取り去っているが、「眼」は発動していない。
シーヴァは、右目が鮮やかなマリンブルーで左目が黄金色のオッドアイ。
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更に、シーヴァは頭髪の右半分が白銀色に染まり、逆にゼーテは頭髪の左半分が漆黒に染まっている。
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