異世界スキルガチャラー

黒烏

VS ベルフェゴール

「だーかーらーさぁ……」

ベルフェゴールは心底腹立たしそうにシーヴァを見る。

「ホンットに邪魔。どうせ僕には勝てないんだからさっさと逃げなって」

手でハエを払うようなジェスチャーをしてシーヴァに促す。

「そうも行かん。お前から奴の情報を吐かせるまではな。それに、騎士が敵を前にして逃げるとでも?」

シーヴァは不敵に笑う。

「はぁぁ……ホントめんどくさい。そういう謎の情熱持ってる奴は嫌いだよ」

ベルフェゴールは渋々と戦闘態勢を取る。

「僕には指一本触れられないってことを知るといい」

瞬間、ベルフェゴールの右手から魔法弾が発射される。

「くっ!……おおおお!!」

すんでのところで魔法弾を避け、シーヴァはベルフェゴールに向かって突撃する。
そのまま剣を振ろうとした、が。

「げぁっ!」

飛び込んだと同時に強烈な膝蹴りを顔面に喰らう。

「大した腕もないくせに、威勢だけは一丁前なガキが」

ベルフェゴールはそのまま思い切りシーヴァの顔面を蹴り飛ばす。

「ガアッ………くそっ!」

数メートル見事に吹っ飛ばされたシーヴァは、廊下を転がってすぐに立ち上がる。
そこで、壁をすり抜けてきた啓斗が現れる。

「シーヴァ、大丈夫か?」
「うおっ、ビックリした!ケイトか、変な所から現れるな!」

啓斗が壁から現れたことに仰天しながらも、シーヴァは廊下の向こうを見据える。

「ケイト、この先に段違いのレベルの魔物がいる。僕一人では分が悪そうだから、協力してくれ」

シーヴァの要請に、啓斗も警戒を強める。

「ベルフェゴールだな。俺も2度遭遇したが、今の俺たちじゃ正面から戦っても勝ち目は薄い」

啓斗は廊下の先に姿を現したベルフェゴールを見据える。

「だから、奇襲をかけようと思う。俺が今やったすり抜けを使って奴の背後に回る」
「なるほど。僕がそれまで時間を稼げばいい訳だな」

シーヴァは納得顔で頷く。

「かなり危険な囮役だが、大丈夫か?」

啓斗は本当に心配そうな顔で言う。

「僕を誰だと思ってるんだ?ヴァーリュオン王国騎士団の副団長だぞ?あんな子供のような小さい魔物にやられる訳が無い」

シーヴァの顔はどこまでも頼もしかった。

「よし、じゃあ俺がこの壁の向こうを通り抜けて後に回る。シーヴァはなるべく奴の注意を引いてくれ」
「分かった」

ベルフェゴールに見つかる前に啓斗は壁の向こうへ消える。

「さて、一騎打ちをなるべく演出しなければ」

シーヴァはベルフェゴールに再び接近していった。






「で……この子どうする?」

ゼーテはマリーの頬をぷにぷにと触りながら言う。

「生きてるんだし、連れて行こうよ」

ルカは、マリーの体をひょいと抱き上げる。

「そうね。よく眠ってるようだから、優しく運んであげて。さあ、ケイト達と合流するわよ」

ゼーテと、マリーを抱いたルカは、啓斗と合流するために薄暗い廊下を進む。




「ぐあああっ!」
「弱い!弱い弱い弱い弱い、弱い!」

ベルフェゴールはシーヴァの攻撃を全て回避して的確にカウンターを合わせてくる。
啓斗は、ベルフェゴールと壁一枚へだててすぐ真横まで移動している。

「君、このまま戦い続けたら……死ぬよ?」

シーヴァの剣撃を余裕で避けて掌底を叩き込みながら言う。

「ガフッ……確かに、このままだったら一方的にやられるだけだな」

何度目かも分からない吐血をしながらシーヴァは言う。

「ならば、これではどうだ!?」

そして、眼帯を外した。
引力を操る眼がベルフェゴールを捉える。

「へぇ……カッコイイね。その色」

だが、彼の顔から笑みは消えない。

「余裕を持っていられるのもここまでだ!喰らえ!我が黒眼を!」

シーヴァの眼が更に深い闇を宿す。
力操グラヴィテイション黒眼ブラックアイ】が発動した。








確かに、発動した感覚はシーヴァの中にはあった。

「しかし、何も起こらなかった……ってね」

だが、黒眼によっての引力操作は、どこにも行われなかった。

「な……んだと……」

シーヴァの顔は驚きに満ちる。

「残念だったねぇ。まあ、僕にこの能力使わせただけ誇れるんじゃない?」

そのまま、硬直したシーヴァの腹を蹴りつける。
シーヴァは吹き飛びながら、肋骨が粉砕される音を聞いた。

「さーて、そろそろトドメだ。君の相手をしてる時間はもうない」

床に倒れたシーヴァに冷たい視線を向ける。

「さよなら。哀れな孤児君」










「いいや、死ぬのはお前の方だな」

ベルフェゴールの背中に、魔法剣が突き刺さる。

「ぐ、え……?」

ベルフェゴールが苦悶の声を上げ、後ろを振り向く。

「異世界人君……やるね……」

腹からボタボタと血を流しながら言う。
次の瞬間、ベルフェゴールは壁を破壊して外に逃げる。

「ちぇっ……楽して勝てないなら一回帰る。本気の戦闘なんてしたくないからね」

魔法の布団を出現させ、座る。

「またね、異世界人君。次は君の場所をきっちり把握しとくことにするよ」

布団はゆっくりと上昇していく。

「ま、待て!貴様には答えてもらうことが……!」

這いずりながらシーヴァがベルフェゴールに向かって叫ぶ。

「あー、作戦だったなら君も結構頑張ってたね。そうだ、ご褒美に彼のプロフィールだけ教えてあげる」
「君のお父さんとお母さんを殺したのは、僕と同じく魔王様に仕える大幹部の1人だ」

そこであからさまに含み笑いをする。

「名前はルシファー。持つ称号は「傲慢」だ。彼は強いからねぇ、僕に勝てないようじゃ1000年経っても勝てやしないよ。それじゃあね」

そのままベルフェゴールは飛び去っていった。

「……シーヴァ、傷の応急手当をするからじっとしてろ」

啓斗はシーヴァの体に触れて【ヒール】を使う。
そこまで強力な治癒効果は無いが、一時的な止血くらいにはなるだろう。
シーヴァは、啓斗が手当をしている間ずっと奥歯を噛み締めていた。

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コメント

  • Kまる

    そんなことより寝ようぜ_(:3 」∠)_

    1
  • 黒烏

    啓斗君の引きが良ければ、一度に多めのレアが出る場合があるので、問題ないです。報告するのはやめてください。

    4
  • ノベルバユーザー233405

    提示されてるレア出現率と実際に排出されるレアが違います。消費者庁に報告します!!

    3
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