異世界スキルガチャラー
(900連目) A.M.0時 戦闘開始
「ルカーっ!?ルカーっ!?」
ゼーテは、魔法陣に飛び込んだ先の世界をルカを探して歩き回っていた。
魔法陣の中はどうにも不思議な空間だった。
最初に着地したのは、鏡合わせのように左右が反転したユーリの部屋だったのだが、ドアを開けて外に出ると、何故か公園に出た。
公園をくまなく探した後にトイレも調べようと公園のトイレに入ったら突然屋敷の別館に飛ばされた。
別館を探索していると、適当な部屋に入った瞬間に街中の大通りに放り出された。
しかし、全てに共通しているのは、「寂れていない」ということ。
どうやら、ゴーストタウン化する前の街並みが再現されているらしい。
だが、空間が捻じ曲げられているのか、ドアを開けると一定の確率で「公園」、「本館」、「別館」、「街中」のどこかに飛ばされるようになってしまっている。
「これじゃあまともに捜索できない……」
4回目の公園を歩きながら、ゼーテは悩んでいた。
ふと立ち止まり、数分間考えて、決心した。
「私の眼を使えば、この歪みを取り払って普通に移動できるかも」
ゼーテの【破呪の銀眼】を使えば、この世界の至る所に感じる怨念を一時的に追い払って探索しやすくなるかもしれない。
一刻も早くルカを見つけなければならない。これ以上時間をかけることは出来ない。
ゼーテは、眼帯を外した。
銀色に輝く左目が露わとなり、眩い閃光を放つ。
世界に蔓延していた邪気が一時的に消え去る。
ゼーテは、もういちいち歩いていられないと、飛行魔法を発動して街を見下ろす。
すると、現実でマッドバーサーカーに襲われたと思わしき大通りに2つの人影を見つけた。
1つは全力疾走しており、もう1つはそれよりほんの少し遅い速度で前の人影を追っている。
ゼーテは、そこに向かって急降下した。
「……ここが、地下室の入口だな」
「はい、この中に生前の僕達が作った聖水があります」
だが、地下室の扉は崩壊しており、ガレキが積み上がってしまっている。
啓斗はガレキの一部を「ストーンゴーレム」に作り替え、ゴーレムにそのまま残りのガレキを片付けさせた。
そのまま地下室に飛び込む。
地下室の中は、おどろどろしい雰囲気だった。魔神降臨の儀式に使っていたのであろう祭壇、魔法陣、そして、子供二人分と見える全身白骨が転がっていた。
「……………」
ジョンはあからさまにそれから目を逸らしていたので、啓斗も口に出さないことにした。
「……ゴホッ、うっ、ホコリがすごいな。えーっと、棚の硫酸……これか」
啓斗は棚から「硫酸」のラベルが貼ってある瓶を取り出す。
「ああ、それです。特殊な調合をしたので腐ってはいないはずです」
顔を見合わせ、頷きあった啓斗とジョンは、地下室から出ようとした。
だが、その瞬間、石が崩れるような音が響いた。
冷や汗をかきながら地下室を出ると、この状況で最もいて欲しくない者が立っていた。
「やあ、異世界人君。ここなら邪魔が入らないからね。抵抗はしてほしくないなぁ」
ゴーレムを粉々に砕いた張本人、ベルフェゴールは笑顔でそう告げる。
「まってよおねえちゃーん。かくれんぼは見つかったらにげちゃダメなんだよー?」
ルカは、全力で大通りを駆け抜けていた。
魔法陣の中に連れ込まれた後もずっと逃げ続けていたので、体力ももう限界に近い。
「あっ!」
遂にバランスが取れなくなったルカは、道路に倒れ込んでしまった。
「つーかーまーえーたー!」
怨念を体中にまとわりつかせたマリーが歩み寄ってくる。
「あ……えあ……」
マリーの顔はもはや人間ではない。ゴーストとゾンビを足して2で割ったような形相をしている。
へたりこんだままジリジリ後ずさりするルカをマリーは追い詰めていく。
そしてあと数センチでルカにマリーの手が届く、という所で、彼女は間に合った。
「させるかぁぁぁぁぁぁ!!」
ゼーテはルカを抱き抱えるとそのまま飛んだ。
「良かった……間一髪ね」
そのままマリーから離れた場所に降り立つ。
「ゼーテざん……ごわがったぁぁ」
ルカの顔は涙でグシャグシャになっている。
「ほら、泣かない。まだ脱出してないんだから」
そんなルカを笑顔でなだめ、ルカがずっと背中に背負ったまま使っていない弓を持たせる。
「ここからはあの子と戦わなきゃならない。あなたの力が必要よ。できる?」
ルカは、弓とゼーテをずっと交互に見ているが、中々決心がつかない。
すると、すぐ近くの地面からマリーが突然出現した。
「おねえちゃんたち、あーそーぼー!」
怨念の密度が明らかに上がっている。
「……まずいわね。ルカ、早めに覚悟決めて! アレは小さな女の子の皮をかぶった怪物よ。人間じゃない」
ゼーテは剣を抜く。銀眼は発動したままだ。
怨念に取り憑かれた少女と、呪文を破壊する力を持った騎士が衝突する。
ルカは、マリーが本当に完全な怪物なのか、という疑問に囚われ、一歩が踏み出せなかった。
「くっ……!」
啓斗は、ベルフェゴールの攻撃を間一髪で回避するのに精一杯になっていた。
「いいねいいね、けっこう反射神経凄いじゃん。まあ、意味無いけ、ど!!」
ベルフェゴールは啓斗の回避速度が追いつかないレベルの速度で拳を繰り出してくる。
更に、啓斗が放った魔法が全てベルフェゴールのすぐ手前で消滅するのだ。
「無・意・味〜!! 僕相手にそんなカスみたいな攻撃が効くとか思ってんの?」
啓斗が攻撃をする前に蹴りを入れながらベルフェゴールは笑う。
ジョンは亡霊なため、何も出来ずに歯噛みしてベルフェゴールを睨みつけている。
(くそっ、なんだこの能力!)
壁に叩きつけられながら啓斗はベルフェゴールを見る。
啓斗は腕時計を確認した。
時刻は午前0時を回ったようだ。
思い切り廊下を走って距離を取りながら、ガチャを起動して急いで100連ガチャを回す。
1つだけ虹色の光球が排出されるのが見えた。
URスキル【透過】
スキル発動から1分間、壁や物質をすり抜けることが出来るようになる。
他にもSRスキルがいくつか見えたが、調べている暇がない。
啓斗は【透過】を発動し、壁をすり抜けながらユーリの部屋を目指す。
「……だからさ、逃げないでって言ってるんだけど」
ベルフェゴールはトコトコと啓斗を追う。ただし、壁や家具を破壊しながらだ。
その時、窓から何者かが飛び込んできた。
「よ、ようやく辿り着いた……くそ、あのコープスドラゴンめ!手間をかけさせてくれた!」
体の所々に傷を負ったシーヴァだった。
シーヴァとベルフェゴールが鉢合わせする。
「げ、折角足止めしといたのに」
ベルフェゴールが嫌な顔をしてそう言う。
「貴様……その顔、見覚えがある。」
シーヴァはベルフェゴールの道を塞ぎ、睨みつける。
「そうだ、貴様……父と母を殺したあの男の隣にいたな!」
恨みのこもった目でベルフェゴールを更に睨む。
「あ、気づいた?まあいいや、邪魔だからどいて?」
ベルフェゴールはあくまでも笑顔で言う。
「誰がどくか。奴の居場所を吐いてもらう!」
シーヴァは剣を握り直す。
ベルフェゴールは面倒くさそうにシーヴァを見た。
ゼーテは、魔法陣に飛び込んだ先の世界をルカを探して歩き回っていた。
魔法陣の中はどうにも不思議な空間だった。
最初に着地したのは、鏡合わせのように左右が反転したユーリの部屋だったのだが、ドアを開けて外に出ると、何故か公園に出た。
公園をくまなく探した後にトイレも調べようと公園のトイレに入ったら突然屋敷の別館に飛ばされた。
別館を探索していると、適当な部屋に入った瞬間に街中の大通りに放り出された。
しかし、全てに共通しているのは、「寂れていない」ということ。
どうやら、ゴーストタウン化する前の街並みが再現されているらしい。
だが、空間が捻じ曲げられているのか、ドアを開けると一定の確率で「公園」、「本館」、「別館」、「街中」のどこかに飛ばされるようになってしまっている。
「これじゃあまともに捜索できない……」
4回目の公園を歩きながら、ゼーテは悩んでいた。
ふと立ち止まり、数分間考えて、決心した。
「私の眼を使えば、この歪みを取り払って普通に移動できるかも」
ゼーテの【破呪の銀眼】を使えば、この世界の至る所に感じる怨念を一時的に追い払って探索しやすくなるかもしれない。
一刻も早くルカを見つけなければならない。これ以上時間をかけることは出来ない。
ゼーテは、眼帯を外した。
銀色に輝く左目が露わとなり、眩い閃光を放つ。
世界に蔓延していた邪気が一時的に消え去る。
ゼーテは、もういちいち歩いていられないと、飛行魔法を発動して街を見下ろす。
すると、現実でマッドバーサーカーに襲われたと思わしき大通りに2つの人影を見つけた。
1つは全力疾走しており、もう1つはそれよりほんの少し遅い速度で前の人影を追っている。
ゼーテは、そこに向かって急降下した。
「……ここが、地下室の入口だな」
「はい、この中に生前の僕達が作った聖水があります」
だが、地下室の扉は崩壊しており、ガレキが積み上がってしまっている。
啓斗はガレキの一部を「ストーンゴーレム」に作り替え、ゴーレムにそのまま残りのガレキを片付けさせた。
そのまま地下室に飛び込む。
地下室の中は、おどろどろしい雰囲気だった。魔神降臨の儀式に使っていたのであろう祭壇、魔法陣、そして、子供二人分と見える全身白骨が転がっていた。
「……………」
ジョンはあからさまにそれから目を逸らしていたので、啓斗も口に出さないことにした。
「……ゴホッ、うっ、ホコリがすごいな。えーっと、棚の硫酸……これか」
啓斗は棚から「硫酸」のラベルが貼ってある瓶を取り出す。
「ああ、それです。特殊な調合をしたので腐ってはいないはずです」
顔を見合わせ、頷きあった啓斗とジョンは、地下室から出ようとした。
だが、その瞬間、石が崩れるような音が響いた。
冷や汗をかきながら地下室を出ると、この状況で最もいて欲しくない者が立っていた。
「やあ、異世界人君。ここなら邪魔が入らないからね。抵抗はしてほしくないなぁ」
ゴーレムを粉々に砕いた張本人、ベルフェゴールは笑顔でそう告げる。
「まってよおねえちゃーん。かくれんぼは見つかったらにげちゃダメなんだよー?」
ルカは、全力で大通りを駆け抜けていた。
魔法陣の中に連れ込まれた後もずっと逃げ続けていたので、体力ももう限界に近い。
「あっ!」
遂にバランスが取れなくなったルカは、道路に倒れ込んでしまった。
「つーかーまーえーたー!」
怨念を体中にまとわりつかせたマリーが歩み寄ってくる。
「あ……えあ……」
マリーの顔はもはや人間ではない。ゴーストとゾンビを足して2で割ったような形相をしている。
へたりこんだままジリジリ後ずさりするルカをマリーは追い詰めていく。
そしてあと数センチでルカにマリーの手が届く、という所で、彼女は間に合った。
「させるかぁぁぁぁぁぁ!!」
ゼーテはルカを抱き抱えるとそのまま飛んだ。
「良かった……間一髪ね」
そのままマリーから離れた場所に降り立つ。
「ゼーテざん……ごわがったぁぁ」
ルカの顔は涙でグシャグシャになっている。
「ほら、泣かない。まだ脱出してないんだから」
そんなルカを笑顔でなだめ、ルカがずっと背中に背負ったまま使っていない弓を持たせる。
「ここからはあの子と戦わなきゃならない。あなたの力が必要よ。できる?」
ルカは、弓とゼーテをずっと交互に見ているが、中々決心がつかない。
すると、すぐ近くの地面からマリーが突然出現した。
「おねえちゃんたち、あーそーぼー!」
怨念の密度が明らかに上がっている。
「……まずいわね。ルカ、早めに覚悟決めて! アレは小さな女の子の皮をかぶった怪物よ。人間じゃない」
ゼーテは剣を抜く。銀眼は発動したままだ。
怨念に取り憑かれた少女と、呪文を破壊する力を持った騎士が衝突する。
ルカは、マリーが本当に完全な怪物なのか、という疑問に囚われ、一歩が踏み出せなかった。
「くっ……!」
啓斗は、ベルフェゴールの攻撃を間一髪で回避するのに精一杯になっていた。
「いいねいいね、けっこう反射神経凄いじゃん。まあ、意味無いけ、ど!!」
ベルフェゴールは啓斗の回避速度が追いつかないレベルの速度で拳を繰り出してくる。
更に、啓斗が放った魔法が全てベルフェゴールのすぐ手前で消滅するのだ。
「無・意・味〜!! 僕相手にそんなカスみたいな攻撃が効くとか思ってんの?」
啓斗が攻撃をする前に蹴りを入れながらベルフェゴールは笑う。
ジョンは亡霊なため、何も出来ずに歯噛みしてベルフェゴールを睨みつけている。
(くそっ、なんだこの能力!)
壁に叩きつけられながら啓斗はベルフェゴールを見る。
啓斗は腕時計を確認した。
時刻は午前0時を回ったようだ。
思い切り廊下を走って距離を取りながら、ガチャを起動して急いで100連ガチャを回す。
1つだけ虹色の光球が排出されるのが見えた。
URスキル【透過】
スキル発動から1分間、壁や物質をすり抜けることが出来るようになる。
他にもSRスキルがいくつか見えたが、調べている暇がない。
啓斗は【透過】を発動し、壁をすり抜けながらユーリの部屋を目指す。
「……だからさ、逃げないでって言ってるんだけど」
ベルフェゴールはトコトコと啓斗を追う。ただし、壁や家具を破壊しながらだ。
その時、窓から何者かが飛び込んできた。
「よ、ようやく辿り着いた……くそ、あのコープスドラゴンめ!手間をかけさせてくれた!」
体の所々に傷を負ったシーヴァだった。
シーヴァとベルフェゴールが鉢合わせする。
「げ、折角足止めしといたのに」
ベルフェゴールが嫌な顔をしてそう言う。
「貴様……その顔、見覚えがある。」
シーヴァはベルフェゴールの道を塞ぎ、睨みつける。
「そうだ、貴様……父と母を殺したあの男の隣にいたな!」
恨みのこもった目でベルフェゴールを更に睨む。
「あ、気づいた?まあいいや、邪魔だからどいて?」
ベルフェゴールはあくまでも笑顔で言う。
「誰がどくか。奴の居場所を吐いてもらう!」
シーヴァは剣を握り直す。
ベルフェゴールは面倒くさそうにシーヴァを見た。
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