異世界スキルガチャラー
SRスキル 【緋色ノ銃弾】
ディーラに案内してもらった家は、他の家と外観は変わりなく、雰囲気もいいものだった。
「隣は、さっき会ったルカの家だ。多分積極的に交流を持とうとしてくるから、気をつけなよ」
「積極的」を嫌に強調した言い方に何となく不安を感じながらも、啓斗はディーラに一礼して玄関の扉を閉めた。
「あ、そうそう。今夜はちょっとした祭りがあるんだ。ルカのテンションが高かったのもそのせいさ。詳しくは後で絶対に来るルカに聞いてくれ」
ディーラはドア越しにそう言って去っていった。
「嫌な予感しかしない……」
啓斗は先程の元気すぎる少女の顔を思い出してそう呟いた。
だが、恐らくルカが来るまでには時間がまだあるはずだ。
腕時計からスキル一覧画面を起動。
とにかく自分がどんなスキルを持っているか把握しなければ元も子もない。
啓斗は200連引いた結果の、N70種、R21種、SR1種についてじっくり理解することに時間を使うことにした。
約1時間後、スキル説明を読むことに没頭していた啓斗の耳に、派手なノック音が響く。
「ケイトくーん!ルカだよー!開ーけーてー!」
予想はしていたが来て欲しくなかった来客者にため息をつきながら応答する。
素早くドアの前まで行き、ドアを開ける。
「……いらっしゃ
「おっ邪魔しまっす!」
いらっしゃい、まで全て言う前にルカは家(仮宿)に上がり込んできた。
恐らく、今までの人生全てを森の中で自由に過ごしてきたのだろう彼女は、デリカシーというものを知らないのだろう。
「これからお隣さんだね。宜しく!」
そう言ってルカは啓斗の手を握り、ブンブンと振る。
「あ、ああ。こちらこそ宜しく」
なるほど、確かにこれは積極的だ。
改めてルカを見る。
顔立ちはかなり整っていて、美少女の中でも上位に入るだろう。瞳は鮮やかな青で、長い金髪をポニーテールに結びんでいる。
服装はディーラと同じ濃い緑と薄い緑が混ざったマント付きのものだ。
まさに「森の奥の里の住人」という感じがすごい。
少し固まりながらもどうにか会話に応答していった啓斗だったが(会話の内容は「今日は晴れて良かった」とか「ディーラお姉さんってカッコイイよね」などだ)、6番目に発されたワードに啓斗は心底驚いた。
「ねぇ、ちょっと一緒に森に行かない?」
「……へ?」
突然の申し出に、啓斗は今までにないレベルで驚いた。
「お祭りまでまだ2時間はあるし、皆に私の料理の上達具合を見せたいの!だから素材探しに付き合って!ね!お願い!」
ここまで必死に頼まれ、しかも拝むように手まで合わせられては、断ることもできない。
他人のこういう姿を見て断り切れないのが彼の性格なのだ。
かなりゆっくり頷くと、ルカの表情はパッと明るくなり、
「ありがとう!じゃ、行こう!」
と言いつつ啓斗の腕を引っ掴んで走り始めた。
啓斗はグイグイ引っ張られながら走って着いていった。
その2分後、ディーラがもぬけの殻になった家を通りかかる。
「……ルカめ、ケイト君をどこに連れていったんだ!?もし、これ以上森の奥に行ったら、今は危険だぞ!?」
ディーラは急いで追いかけようとして弓と矢筒を自分の家に置いてきてしまっていたことを思い出し、急いで取りに向かった。
「あ、この野草いい感じ!お、このキノコも使えそう!」
ルカは手当り次第に恐らく食べられそうな野草やキノコ、葉っぱなどを啓斗が背負ったカゴにヒョイヒョイと入れていく。
自分よりルカの方が(恐らく)森について詳しいはずなので余計な口出しはしなかったが(カゴを渡されて当たり前のように「背負ってて」と言われた時は少しイラッときた)、赤と白の斑点があるキノコをさも当然のようにカゴに入れた時は流石に不安になった。
しかもルカはズンズンと既に深い森の奥深くまで進んでいく。
「なぁ、ルカ。本当に大丈夫なんだよな?」
啓斗は恐る恐る聞いてみた。
「え?大丈夫ダイジョーブ!道は覚えてるから!…………多分」
「え?今なんて?」
最後の方に聞き捨てならないワードがあった気がする。
「なんでもなーい。……あ!あっちに珍しい花が!」
なんて言ってルカはドンドン先に進んでいく。
引き返す提案をしようと本気で思ったが、魔物か何かが出ない限りディーラか他のエルフの誰かが見つけに来て怒られるくらいだろう、と考えた。
しかし、こういう場面でこういう考えに至る時に限って、現れるのだ。
そう、魔物が。
「キャアアアアアアアア!!!」
自分でも何となく野草を探していると、ルカの悲鳴が上がる。
急いで駆け付けると、腕から血を流し、力無く座り込んでいるルカがいた。
「おい、どうした!?何があった!?」
カゴを下ろしながら啓斗が聞くと、
「あ、うう……お、狼が……」
「狼……?」
その「狼」の正体はすぐに分かった。
啓斗とルカの前方、約5m先に、「それ」はいた。
啓斗は狼に目を凝らす。
[フォレストウルフ Lv7]
と狼の頭上に見えた。
Rスキル  【エネミーサーチ】
相対する魔物の名称とレベルを使用者のみ見えるように表示するスキル。
「ゴルルルルル……」
狼はこちらをジッと見据えている。
その爪には少量の血が付着していた。
その血がルカから出たものだと啓斗が理解した次の瞬間、
「ウガアアアアアア!!!」
目にも止まらぬ速さで狼が突進してくる。
狙いは、恐怖で動けなくなっているルカだ。
狼が爪を突き立てる。鮮血が吹き出した。
ただし、啓斗のものだ。
啓斗は自身の両腕でそれを受け止めていた。
「ケイト、君……?」
啓斗の両腕からは血がダラダラと流れている。
狼が更に追撃を加えようとした瞬間、狼は啓斗の血に貫かれ、即死した。
「ハァ……ハァ……クソッ、やっぱハズレだな、このスキル」
啓斗は腕から流れ出る血と、狼を貫いた血を見比べながら言う。
SRスキル  【緋色ノ銃弾】
自身から流れ出た血を弾とし、相手を撃ち抜くカウンター技。
自分の血液でなければ意味が無いので、必然的に相手からダメージを受けるか自分で出血する必要がある危険なものだ。
ただし、ダメージからのカウンターであるため威力は絶大。
「なぁ、ルカ……」
啓斗は腕時計でマップを表示しながらルカに話しかける。
「ケイト君……だ、大丈夫……なの?」
ルカは今にも泣き出しそうだ。
「ああ、大丈夫だ。それより、ほら。ここに地図がある。急いでディーラさんか誰か呼んできてくれ。折角集めた材料、無駄にしたくないだろ?今、俺は腕が痛くて担げないから……」
「……!!う、うん!待ってて!すぐに助けを呼んでくるから!」
ルカは腕時計を受け取ると、全力疾走で里の方へ駆けていった。
「さて、まだ居るな…。狼共」
カゴの側に座り込み、自分の血に意識を集中させる。
「一匹残らず始末してやる。かかってこい!」
啓斗は木々の間に光る目にそう叫んだ。
「隣は、さっき会ったルカの家だ。多分積極的に交流を持とうとしてくるから、気をつけなよ」
「積極的」を嫌に強調した言い方に何となく不安を感じながらも、啓斗はディーラに一礼して玄関の扉を閉めた。
「あ、そうそう。今夜はちょっとした祭りがあるんだ。ルカのテンションが高かったのもそのせいさ。詳しくは後で絶対に来るルカに聞いてくれ」
ディーラはドア越しにそう言って去っていった。
「嫌な予感しかしない……」
啓斗は先程の元気すぎる少女の顔を思い出してそう呟いた。
だが、恐らくルカが来るまでには時間がまだあるはずだ。
腕時計からスキル一覧画面を起動。
とにかく自分がどんなスキルを持っているか把握しなければ元も子もない。
啓斗は200連引いた結果の、N70種、R21種、SR1種についてじっくり理解することに時間を使うことにした。
約1時間後、スキル説明を読むことに没頭していた啓斗の耳に、派手なノック音が響く。
「ケイトくーん!ルカだよー!開ーけーてー!」
予想はしていたが来て欲しくなかった来客者にため息をつきながら応答する。
素早くドアの前まで行き、ドアを開ける。
「……いらっしゃ
「おっ邪魔しまっす!」
いらっしゃい、まで全て言う前にルカは家(仮宿)に上がり込んできた。
恐らく、今までの人生全てを森の中で自由に過ごしてきたのだろう彼女は、デリカシーというものを知らないのだろう。
「これからお隣さんだね。宜しく!」
そう言ってルカは啓斗の手を握り、ブンブンと振る。
「あ、ああ。こちらこそ宜しく」
なるほど、確かにこれは積極的だ。
改めてルカを見る。
顔立ちはかなり整っていて、美少女の中でも上位に入るだろう。瞳は鮮やかな青で、長い金髪をポニーテールに結びんでいる。
服装はディーラと同じ濃い緑と薄い緑が混ざったマント付きのものだ。
まさに「森の奥の里の住人」という感じがすごい。
少し固まりながらもどうにか会話に応答していった啓斗だったが(会話の内容は「今日は晴れて良かった」とか「ディーラお姉さんってカッコイイよね」などだ)、6番目に発されたワードに啓斗は心底驚いた。
「ねぇ、ちょっと一緒に森に行かない?」
「……へ?」
突然の申し出に、啓斗は今までにないレベルで驚いた。
「お祭りまでまだ2時間はあるし、皆に私の料理の上達具合を見せたいの!だから素材探しに付き合って!ね!お願い!」
ここまで必死に頼まれ、しかも拝むように手まで合わせられては、断ることもできない。
他人のこういう姿を見て断り切れないのが彼の性格なのだ。
かなりゆっくり頷くと、ルカの表情はパッと明るくなり、
「ありがとう!じゃ、行こう!」
と言いつつ啓斗の腕を引っ掴んで走り始めた。
啓斗はグイグイ引っ張られながら走って着いていった。
その2分後、ディーラがもぬけの殻になった家を通りかかる。
「……ルカめ、ケイト君をどこに連れていったんだ!?もし、これ以上森の奥に行ったら、今は危険だぞ!?」
ディーラは急いで追いかけようとして弓と矢筒を自分の家に置いてきてしまっていたことを思い出し、急いで取りに向かった。
「あ、この野草いい感じ!お、このキノコも使えそう!」
ルカは手当り次第に恐らく食べられそうな野草やキノコ、葉っぱなどを啓斗が背負ったカゴにヒョイヒョイと入れていく。
自分よりルカの方が(恐らく)森について詳しいはずなので余計な口出しはしなかったが(カゴを渡されて当たり前のように「背負ってて」と言われた時は少しイラッときた)、赤と白の斑点があるキノコをさも当然のようにカゴに入れた時は流石に不安になった。
しかもルカはズンズンと既に深い森の奥深くまで進んでいく。
「なぁ、ルカ。本当に大丈夫なんだよな?」
啓斗は恐る恐る聞いてみた。
「え?大丈夫ダイジョーブ!道は覚えてるから!…………多分」
「え?今なんて?」
最後の方に聞き捨てならないワードがあった気がする。
「なんでもなーい。……あ!あっちに珍しい花が!」
なんて言ってルカはドンドン先に進んでいく。
引き返す提案をしようと本気で思ったが、魔物か何かが出ない限りディーラか他のエルフの誰かが見つけに来て怒られるくらいだろう、と考えた。
しかし、こういう場面でこういう考えに至る時に限って、現れるのだ。
そう、魔物が。
「キャアアアアアアアア!!!」
自分でも何となく野草を探していると、ルカの悲鳴が上がる。
急いで駆け付けると、腕から血を流し、力無く座り込んでいるルカがいた。
「おい、どうした!?何があった!?」
カゴを下ろしながら啓斗が聞くと、
「あ、うう……お、狼が……」
「狼……?」
その「狼」の正体はすぐに分かった。
啓斗とルカの前方、約5m先に、「それ」はいた。
啓斗は狼に目を凝らす。
[フォレストウルフ Lv7]
と狼の頭上に見えた。
Rスキル  【エネミーサーチ】
相対する魔物の名称とレベルを使用者のみ見えるように表示するスキル。
「ゴルルルルル……」
狼はこちらをジッと見据えている。
その爪には少量の血が付着していた。
その血がルカから出たものだと啓斗が理解した次の瞬間、
「ウガアアアアアア!!!」
目にも止まらぬ速さで狼が突進してくる。
狙いは、恐怖で動けなくなっているルカだ。
狼が爪を突き立てる。鮮血が吹き出した。
ただし、啓斗のものだ。
啓斗は自身の両腕でそれを受け止めていた。
「ケイト、君……?」
啓斗の両腕からは血がダラダラと流れている。
狼が更に追撃を加えようとした瞬間、狼は啓斗の血に貫かれ、即死した。
「ハァ……ハァ……クソッ、やっぱハズレだな、このスキル」
啓斗は腕から流れ出る血と、狼を貫いた血を見比べながら言う。
SRスキル  【緋色ノ銃弾】
自身から流れ出た血を弾とし、相手を撃ち抜くカウンター技。
自分の血液でなければ意味が無いので、必然的に相手からダメージを受けるか自分で出血する必要がある危険なものだ。
ただし、ダメージからのカウンターであるため威力は絶大。
「なぁ、ルカ……」
啓斗は腕時計でマップを表示しながらルカに話しかける。
「ケイト君……だ、大丈夫……なの?」
ルカは今にも泣き出しそうだ。
「ああ、大丈夫だ。それより、ほら。ここに地図がある。急いでディーラさんか誰か呼んできてくれ。折角集めた材料、無駄にしたくないだろ?今、俺は腕が痛くて担げないから……」
「……!!う、うん!待ってて!すぐに助けを呼んでくるから!」
ルカは腕時計を受け取ると、全力疾走で里の方へ駆けていった。
「さて、まだ居るな…。狼共」
カゴの側に座り込み、自分の血に意識を集中させる。
「一匹残らず始末してやる。かかってこい!」
啓斗は木々の間に光る目にそう叫んだ。
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