奇跡
1 『ビギニング』
奇跡。この世界に突如現れた異能の力は人の世界を豊かにし、生活を楽にしてきた。しかし、世界にいる人が全て善人とは保証できない。奇跡を持つものは次第に奇跡を持たないものたちを差別するようになった。そこへある一人の人物が現れる。ベスタ皇国初代皇帝ペトラである。彼は差別されていた市民を見るや否や、すぐに対処した。まず、すぐにでも崩壊しそうな家には修築金を与え市民や奇跡持ち関係なく接した。しかし、平和の歯車がずれたのはそれから一年後のことである。ペトラが野良の奇跡持ちに襲われ他界してしまった。そして王位が継承されたのが弟のホスカリタである。ペトラの政治に不満を抱いていたホスカリタはまず最初にペトラが築いてきた法を全て撤去した。その後決められた法が今市民を苦しませている原因である。
「っていうのが現状みたい」
ここまで話続けていた一人の少女が肩を回している。白いワンピースに黒いコートという不思議な格好だ。かれこれ一時間は話していただろう。その話を聞くのは一人の少年。黒いフード付きのパーカーと長ズボンをはいている。
「なるほど…今回の獲物としては特上クラスだな」
「うん。どうする?」
「決まっているだろ?…今回の獲物は」
少年が立ち上がって宣言する。
「皇国バスクだ」
「うらぁ!しっかり働けこのクソ共が!」
また検査官が鞭を鳴らす。毎日毎日こんな生活だ。小さな藁の家に帰ればご飯を食べて夜がふけるまで働く。おかげで今では自由なんてありゃしない。そう思うとつい検査官を隠れて睨んでしまう。だが、今回は失敗した。
「おい。てめぇ今にらんだよな?」
検査官が鞭で私を攻撃する構えをしている。怖い。日常茶飯事とはいえ鞭は痛い。他の皆が止めようとしてくれているが聞く耳を持っていない。でも怖いのは当たり前。検査官の奇跡は恐怖だから。人を恐怖に陥れるのは容易い。
「ほら、睨んでねぇでしっかり働け…」
よ。という前に検査官が持っていた鞭が突如消える。
「誰だ!?」
検査官が必死に叫ぶ。でも私はこう見えても視力がいいからその犯人がわかる。一人のお兄ちゃんがちょっと遠くでたっている。その右手には鞭が確かに握られていた。そのお兄ちゃんはこっちに歩いてくる。
「…小さな女の子に鞭振るうのはあまり良くないと思いますよ」
「あん?俺は奇跡持ちだ。なら市民を支配するのは俺の権利だろ?」
「あー…駄目だこりゃ。リーダー、こいつやっちゃっていいですか?」
お兄ちゃんは左手を耳に当てて誰かと喋っている。誰と話しているんだろう?
「わかりました。じゃあサクッとやっちゃいますね。…リーダーの許可ももらったし、サクッとやっちゃいますか」
そういうとお兄ちゃんは持っていた鞭を検査官に投げ渡した。
「貴様、何の真似だ?」
「あ、そっか。宣告してなかったっけ」
「宣告?馬鹿なこといってんじゃねぇ!」
検査官の鞭が勢いよく振り落とされる。紫色の軌跡を描きながら振り落とされた鞭は…お兄ちゃんの分身によって弾かれた。
「まさか貴様も奇跡持ちか?」
「大正解。分身の奇跡持ち、サクヤだ。『ビギニング』って言えば解るか?」
聞いたことがある。悪い奇跡持ちしか襲わない義賊団があることを。そのメンバーが全員奇跡持ちであること、そして比べ物にならないほど強いこと。
「ふん。そんなもの知ったことか。貴様はここで、死ねぇ!」
手元に鞭がない検査官は両手を上にあげる。そして手のひらから黒い雷撃が流れてだんだん丸くなっていく。あれは恐怖の塊。当たれば永遠の恐怖にとらわれる。
「くたばれぇ!恐怖弾!」
両手から大きな球体が発射される。が、お兄ちゃんは逃げるそぶりもせずこういっていた。
「舞えやヨイヨイグリマンキン」
するとお兄ちゃんの分身が八体出てくる。が、すぐに消えてしまう。何が起こったのかと思っていると、分身が違う人になっている。皆が違う格好だ。
「リーダー、お願いできますか?」
「わかった」
リーダーと呼ばれた別のお兄ちゃんが右手を伸ばす。黒い球体と右手がぶつかる…と思っていた。が、お兄ちゃんはこう言ってから触れていた。
「無」
宣告と同時に黒い球体に触れる。すると黒い球体は音もなく消えてしまった。
「貴様、何をした!?貴様らは一体なんだ!」
「まず前者の質問から。今のは俺の奇跡、無。手に触れた者や、奇跡による攻撃を無効にする。後者の質問はいたってシンプル。」
全員が前に出る。全員の目は光で満ちていた。
「俺達は『ビギニング』。以後お見知りおきを。…っても、お前は死ぬが」
「はあ?ふざけん…」
言い終わる前に一人のお姉ちゃんが走って検査官の前に行く。そしてこう言っていた。
「さよなら。死」
「あ」
すると検査官は地面に倒れて…死んでしまった。
続く…
「っていうのが現状みたい」
ここまで話続けていた一人の少女が肩を回している。白いワンピースに黒いコートという不思議な格好だ。かれこれ一時間は話していただろう。その話を聞くのは一人の少年。黒いフード付きのパーカーと長ズボンをはいている。
「なるほど…今回の獲物としては特上クラスだな」
「うん。どうする?」
「決まっているだろ?…今回の獲物は」
少年が立ち上がって宣言する。
「皇国バスクだ」
「うらぁ!しっかり働けこのクソ共が!」
また検査官が鞭を鳴らす。毎日毎日こんな生活だ。小さな藁の家に帰ればご飯を食べて夜がふけるまで働く。おかげで今では自由なんてありゃしない。そう思うとつい検査官を隠れて睨んでしまう。だが、今回は失敗した。
「おい。てめぇ今にらんだよな?」
検査官が鞭で私を攻撃する構えをしている。怖い。日常茶飯事とはいえ鞭は痛い。他の皆が止めようとしてくれているが聞く耳を持っていない。でも怖いのは当たり前。検査官の奇跡は恐怖だから。人を恐怖に陥れるのは容易い。
「ほら、睨んでねぇでしっかり働け…」
よ。という前に検査官が持っていた鞭が突如消える。
「誰だ!?」
検査官が必死に叫ぶ。でも私はこう見えても視力がいいからその犯人がわかる。一人のお兄ちゃんがちょっと遠くでたっている。その右手には鞭が確かに握られていた。そのお兄ちゃんはこっちに歩いてくる。
「…小さな女の子に鞭振るうのはあまり良くないと思いますよ」
「あん?俺は奇跡持ちだ。なら市民を支配するのは俺の権利だろ?」
「あー…駄目だこりゃ。リーダー、こいつやっちゃっていいですか?」
お兄ちゃんは左手を耳に当てて誰かと喋っている。誰と話しているんだろう?
「わかりました。じゃあサクッとやっちゃいますね。…リーダーの許可ももらったし、サクッとやっちゃいますか」
そういうとお兄ちゃんは持っていた鞭を検査官に投げ渡した。
「貴様、何の真似だ?」
「あ、そっか。宣告してなかったっけ」
「宣告?馬鹿なこといってんじゃねぇ!」
検査官の鞭が勢いよく振り落とされる。紫色の軌跡を描きながら振り落とされた鞭は…お兄ちゃんの分身によって弾かれた。
「まさか貴様も奇跡持ちか?」
「大正解。分身の奇跡持ち、サクヤだ。『ビギニング』って言えば解るか?」
聞いたことがある。悪い奇跡持ちしか襲わない義賊団があることを。そのメンバーが全員奇跡持ちであること、そして比べ物にならないほど強いこと。
「ふん。そんなもの知ったことか。貴様はここで、死ねぇ!」
手元に鞭がない検査官は両手を上にあげる。そして手のひらから黒い雷撃が流れてだんだん丸くなっていく。あれは恐怖の塊。当たれば永遠の恐怖にとらわれる。
「くたばれぇ!恐怖弾!」
両手から大きな球体が発射される。が、お兄ちゃんは逃げるそぶりもせずこういっていた。
「舞えやヨイヨイグリマンキン」
するとお兄ちゃんの分身が八体出てくる。が、すぐに消えてしまう。何が起こったのかと思っていると、分身が違う人になっている。皆が違う格好だ。
「リーダー、お願いできますか?」
「わかった」
リーダーと呼ばれた別のお兄ちゃんが右手を伸ばす。黒い球体と右手がぶつかる…と思っていた。が、お兄ちゃんはこう言ってから触れていた。
「無」
宣告と同時に黒い球体に触れる。すると黒い球体は音もなく消えてしまった。
「貴様、何をした!?貴様らは一体なんだ!」
「まず前者の質問から。今のは俺の奇跡、無。手に触れた者や、奇跡による攻撃を無効にする。後者の質問はいたってシンプル。」
全員が前に出る。全員の目は光で満ちていた。
「俺達は『ビギニング』。以後お見知りおきを。…っても、お前は死ぬが」
「はあ?ふざけん…」
言い終わる前に一人のお姉ちゃんが走って検査官の前に行く。そしてこう言っていた。
「さよなら。死」
「あ」
すると検査官は地面に倒れて…死んでしまった。
続く…
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コメント
ノベルバユーザー213467
文法とか、あまり詳しくない人です。ノベルバ初心者の私から見ると、とても好みです。頑張れー!