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僕はみんなの死期がわかる。

大津 千代

最終話 綾人も…。

電車が緊急停車した後、ホームにいた駅員などが線路に降りている。そして綾人と結菜の友人は近くのベンチに座り、2人の駅員にあった事などを聞かれていた。結菜の友人はまだ泣き叫んでいる。それもそのはずだ、結菜が目の前で電車にはねられたのだから。


2人が駅員に話を聞かれている間に、警察と消防が駅に入ってきた。駅前のロータリー付近には警察車両など数台の車が来ている。そして2人の元に警察官が来る。綾人はあった事を全て話した。



「それで…どういう状況だったか覚えてる?」


「は、はい…自分が走って彼女に近づこうとしたら、その時に男の人が彼女の背中を押したんです。その人は…押した直後にどこかへ行ってしまいました…」


「そうか…わかった。あと、犯人の特徴とかは覚えてる?」


「いや…それまでは分からなかったです」


1人の警察官が聞き、なにやら紙に書いている。綾人の言った事をメモしているようだった。その後も綾人はあった事を全て警察官に話した。














事故処理が終わり止まっていた電車が動き出した。2人も警察官に話をした後、解放されホームに入って来た電車に綾人は乗った。綾人の表情は死んでいた。家に着くまでの道のりもその表情だった。






家に着き、綾人がドアを開ける。ドアノブを回すと鍵がかかっておらずスッと開いた。中に入ると黒い靴が1足あった。リビングの電気や玄関付近の電気も点いていた。綾人の父親が珍しく帰って来ていた。



その父親を無視し自分の部屋へと向かった。通学用のバッグを投げ置き、敷いてはあるが使っていない布団に飛び込んだ。枕に頭をうずめているとなぜかまた涙が出て来た。枕の一部が涙で濡れ、綾人は右手を握り布団を叩いた。



悔しかった、綾人の好きな人の結菜が目の前で電車にはねられ、死んだのだから。どうすればいいのか分からない。その人でなければいけなかったのに、綾人は結菜に想いを伝える事が出来なく、綾人は後悔していた。もうこの世界には結菜はいない。


もう1度、結菜に会いたい。しかし会う方法が無い。


自分が死なない限り会えないのだ――自分が死ぬ?そうだ…それだ。綾人は立ち上がりリビングでお酒を飲んでいる父親に話しかける。


「ちょっと俺、コンビニ行って来るわ」


「ん?おう、気をつけろよ」



父親との会話を終え綾人は部屋を後にする。玄関のドアを開け外に出ると、綾人は家の近くにあるマンションへと向かって行った。







マンションのエレベーターを使い最上階へと向かう。屋上へは階段で行き、屋上に行くことの出来るドアを開ける。屋上には人が背丈以上のフェンスがあり、囲まれている。そして人1人が立てそうな出っ張りがフェンスの外にあった。屋上を歩いていると夜の冷たい風が綾人に当たる。



綾人は屋上にある何かわからない建物に付いている梯子を上り、建物の上に上がる。そしてその出っ張りに綾人は行こうとした。綾人がフェンス外の出っ張りに足を下ろしその出っ張りに立った。



綾人の歩く音だけが闇に響く。足を止め綾人は振り向き視線の先の街並みを見る。下には車が走り人も少しだけ歩いている。深呼吸をする綾人。どうしても結菜に直接会って、この想いを伝えたい。もう、綾人を止めることは出来ない。


「今、行くからね…結菜さん。想いを、伝えに……」


綾人がゆっくりと体を傾けさせる。


目を閉じゆっくりと体が倒れていく。



そして足が完全に出っ張りから離れる。







綾人は結菜に想いを伝えるべく


マンションから、身を投げたのだった。

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