思い出に殺される夜

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周也とはたいして口をきかないまま、中学3年生となり、中学生活最後の夏の大会を控える周也は、より一層肌の色は黒く、そして身体は逞しくなっていた。

他校にも周也のファンがいるほど、地元では有名な選手になっていた。

私はぼんやりと進路を考えていて、とりわけ志望校もなく、成績も可もなく不可もなしというところだったので、家から近くの公立高校へ行くことにした。

不思議なことといえば、水泳の強豪校に行くと思っていた周也が、早い段階で私と同じ高校にしたことだ。

その高校の水泳部の先生は大喜びだったようだが、なぜ周也がそこを選んだのかはわからなかった。

夏休みに入る直前、学校帰りに他のクラスの男の子に呼ばれて、私は告白をされた。

どういうわけか、周也の顔が浮かんでしまい、ごめんなさい。と謝った。

周也のことが好き。

とかじゃないんだけど、何故か、他の誰かと付き合う姿を、どうしても周也にはみられたくなかった。

その年の夏は、すごく暑かった。私はソファーに横になって、クーラーの効いた部屋でごろごろと漫画を読んでいた。

家のチャイムが鳴る。

母親も父親も出かけていたので、ぼさぼさの髪を少しなおしてから、玄関のドアを開けると、

そこには周也が立っていた。

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