RUKOISM

ヴォ

要らない子

自分が人から必要とされてないということに気がついたのいつからだっただろう。
この社会で生きていて、義務を果たすことが出来ない体であるのに、一端の権利だけは主張する、自分がそんな嫌な人間だと気がついたのは。
皆が優しく、特別扱いしてくれる度に、私はある種の後暗さを感じていた。
背徳感、と言い換えてもいい。
要は、特別扱いしないで欲しかったのだ。普通にして欲しかった。
足が動かないのなら、歩けない、当たり前のことだ。けれど、皆はそんな私の支えになってくれた。肩を貸し、手を貸して、私を支えてくれた。
それはとても有難く、そして居心地の悪いものだった。
皆は、私のことを助けてくれる。私は度々皆に聞いた。
どうして私にそこまで良くしてくれるのか、と。
皆は口を揃えて、友達だからに決まっている、とお決まりの解答を口にした。
本当に?
友達だったから、私をあそこまで助けてくれたの?見返りなんて何もありはしないのに?
もちろん、そんなことは有り得ない。
誰かを助ける人は、誰かに助けてもらいたい人なのだ。
皆はそれぞれ各々、何かを抱えていて、そしていつかその何かを解消するために、私を助けてくれた。
周りに親切にしていれば、きっと誰かが助けてくれる。そういう風に考えているのだろう。

余計なことはしないで欲しかった。
誰も助けてなんて言っていない。
それでも、手を差し伸べられたら、取ってしまうじゃない。

あぁ、私は要らない子。
誰も私を見つけるな。
私だってあなた達を見ちゃいない。
紙面の存在など、私にとっては泡沫に過ぎないのだから。

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