名無しの英雄

夜廻

37話

こうして俺たちは同率1位となり表彰された
「《戦乙女》と《死神》を今大会の優勝者とする。賞品はヒヒイロカネだ。優勝おめでとう!」
俺たちが賞品を貰うと周りから拍手が起こる
一礼して会場から出ていった


宿に戻ってきて教皇から貰ったアダマンタイトとアレキサンドライト、それに優勝賞品であるヒヒイロカネを使って武器を作成しようと思っていた
「さて、スズ。今回の試合を通して武器に物足りない所はあったか?」
「うーんと…もっと重い方がいいと思ったよ!」
「………」
これ以上重くするのか…
まぁこれが片手で持てるんだしな…
そう思いながら大きな剣を見る
「わかった…じゃあ重くするよ。他には?」
「えーと、長さが足りないの」
「長さ?剣の長さか?」
「うん」
「………」
今でも相当長いぞこれ……
「どのくらいがいいんだ?」
「えーとね、武帝の人の武器より少し長いぐらいがいいの」
「…………」
武帝ってあの武帝か?
武帝の武器は2mぐらいある刀だったよな…
「わかった……他にはないか?」
「うん、大丈夫!」
凄い笑顔で言われてしまった
「じゃ、作るから下がってろ」
そう言うとスズは下がる

まず、アダマンタイトの特性として凄まじく硬いと言うのがあるこれとフラ鉱山にいたドラゴンの皮を混ぜる
そうすると……
「ふぅ…」
硬くて魔力が良く浸透する合金が出来る
次に合金とヒヒイロカネを混ぜていく
ヒヒイロカネは滅多に手に入らない金属で帝の武器にはこれが使われている
何故かと言うとヒヒイロカネ自体はそこまで硬くは無いものの合金にする事でアダマンタイトよりも硬くなる
これでインゴットが完成した
「次は形だな……要望とかあるか?」
「んーとね、武帝の人の武器が使いやすいかなって思ったんだけど……ダメ?」
スズは上目遣いでうるうるした目で擦り寄ってくる
こんなん拒否権なくね?
「わかった、刀だな」
「うん」
俺は武帝の刀を思い浮かべる
2m以上の刀身に片刃の剣
インゴットに手を置き、作っていく
目を開けるとそこには3mほどの長い刀があった
刀身は真っ白でガラスのようだ透けて見える
とても美しい刀だ
「盾はどうする?」
「……あんまり使わないから要らないかも」
「そうか…なら副武器として作り替えるか」
スキルを使って盾をインゴットにする
こちらはミスリルだけだ
スズが使えそうなモノを考えながら作っていく
目を開けると2mほどの群青色の刀があった
「………」
何故刀が2本出来た?
てか、作り直しだろこれ
俺はそう思い刀に手を伸ばすと
「ぉぉおお!」
すごい勢いでスズがこちらへ寄ってきた
「主人様!これ凄い綺麗だね!」
「………作り直そうと思ったんだが」
「へ?いいよこれで」
キョトンとして首を傾げる
「いやいや、刀2本て使えないだろ?」
「なんで?使えるよ?」
「………へ?」
俺は3mの方の刀は両手で使うモノだと考えていたんだが……
「その刀を片手で持てるのか?」
そう言って指さす
「持てるよ?」
スズはそう言って片手で軽々と持ち上げる
「………」
どれだけ力を持ってるんだ?スズは…
「ま、まぁいいか。銘を決めないとな」
「銘?」
「あぁ、もの凄くいい武器だからな。つけてやらないと可哀想だろ?」
スズは頷く
「じゃあその白い刀は……【トア】だ。その群青色の刀は……【リヒト】だ」
「【トア】と【リヒト】……いい名前!」
どうやらスズも気に入ったようだ
「2つの銘の語源って何なの?」
「銘の語源か?2つとも【光】が語源だ」
「……【光】か…うん!いいと思う!」
愛着の湧く武器になって欲しいとスズの顔を見て俺は思った

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