名無しの英雄

夜廻

18話

「ところでお前の名前ってなんだ?」
ひどく今更だが俺は少女から名前を聞いていない…
「私……?」
「あぁ、他に誰がいるんだ?」
少女は考えて
「私の名前は前の主人様に捨てられの……だから主人様がつけて」
「俺が……?」
「うん、お願いします」
そう言って頭を下げてくる
「うーん……」
俺は考える…
特徴がな…

「よし、お前の名前はスズだ」
「スズ……ありがとうございます」
そう言って少女は笑顔になった
「主人様の名前はなんて言うの?」
「あぁ、言ってなかったか…俺はアークって言うんだ」
「アーク様……わかりました。これからよろしくお願いしますねアーク様」
「やめろ、やめろ。アーク様は名前バレするからな…普通に主人様でいい」
「わかりました主人様」
ちょっと残念そうな顔をしてスズは言う
「そう言えば…前の主人に命じられていたステータスの確認をしてもいいか?」
「はい、お願いします」
奴隷は主人のものなので例外的に主人が奴隷のステータスを見れるのだ
「また…これは……」
俺はそう呟く
ステータスはこうなっていた

名前  スズ
種族  エクス・マキナ
HP    3000
MP   5000
STR  200
AGI   80
VIT   200

スキル  ・暴走回路
             ・鉄壁

魔法     ・光属性魔法(回復魔法)
            ・無属性魔法(支援魔法)

なかなかぶっ飛んでいるステータスだった……防御力が凄まじいな…
「……なぁ、スズ?自分の種族わかるか?」
「……?人間じゃないの…?」
そうか…知らないのか……
これは教えるべきか?教えないべきか?
…………
「スズ、お前は人間じゃない。エクス・マキナっていう種族だ」
俺は考えた結果教えることにした
これからのスズを思うのなら知らない方が難しいだろう…
「えくすまきな?なにそれ?」
「エクス・マキナって言うのはな…人間よりも強くて、希少な種族なんだ。だからスズは奴隷になっていたんだ…」
「うーん、でも奴隷になったから主人様に出会えたんでしょ?なら人間じゃなくてもいいや!」
「そうか…」
俺はスズの頭を撫でてやる
「今からスキルの説明をするからよく聞いておくんだぞ?スズのスキルは2つあってな、暴走回路と鉄壁だった。まず暴走回路だが…これはあんまり使うな危険すぎるからな。効果は体内の回路を暴走させてステータスを全て倍にするってスキルだ。ただし暴走回路を使った後は疲労で倒れるだけじゃなく使いすぎると寿命を縮めると思うからな……次に鉄壁だが、これは簡単だ。防御力を上げるというものだが、単純だからこそその倍率は凄まじいと思うぞ。こんな所か…なんか質問あるか?」
「えーと…私のステータスってどんな感じなの?」
「スズは完全に防御力特化だな…そうそうダメージは入らないと思うぞ」
「ふーん、主人様の役に立てそうなの?」
「あぁ、俺は戦闘は苦手だからな……頼りには出来るな」
俺はスズの頭を撫でてやる
スズは顔を緩ませて撫でられる
「こんなもんか?何か聞きたいことあるか?」
「うーんと…犯罪組織のリーダーに主人様1回負けたんでしょ?なんで負けたの?」
「……ぐいぐい来るなスズ…あれはなぁ、予想してなかったんだよな…」
「普通に考えたら主人様が負けるような人じゃないと思うんだけど…」
「あぁ、普通にやったら負けはしないだろうな…スキルと魔法を知ってたらな…」
「スキルと魔法?」
「あぁ、スキルと魔法だ。あのリーダーのヤツは無属性魔法の精神攻撃を使ってきたんだ。それだけなら弾けるんだがな…スキルでブーストしてたから弾けずに精神攻撃を受けたんだ」
「主人様は精神攻撃に弱いの?」
「あぁ、俺は元々戦闘向けのスキル構成になっていないからな…どちらかと言うと生産職だな。だから精神攻撃をモロに受けたんだ」
「ふーん、ならなんで主人様は戦ってるの?」
「……それはな、ある国を滅ぼしたいからだよ…」
そう俺は後悔している顔で言った


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