名無しの英雄

夜廻

12話

ギルドに入るとギルド内は騒がしかった
俺は受付に行き
「なんでこのな騒がしいんだ?」
と聞いてみる
「次の武道大会の優勝賞品が決まったんですよ!」
と答えてくれた
「へぇ、何が商品になったんだ?」
「それが希少な金属らしいですよ」
「希少な金属?それがなんでこんな騒ぎになるんだ?」
「それは私にはわかんないですねー」
ふーん、何やら優勝賞品は金属らしいな
ちょっとそこら辺の冒険者のおっちゃんに聞いてみるか
「なぁなぉ、おっちゃん。なんでこんな騒いでるんだ?」
「ん?あぁ、これは武道大会の優勝賞品がヒヒイロカネって金属だと発表されたからだぞ」
「ヒヒイロカネ?」
聞いたことない金属だな
「あぁ、ヒヒイロカネは金属の中でも最高クラスの金属なんだ。それこそ帝達の武器と並ぶくらいにはな」
ほう、帝と並ぶ……
是非とも欲しいな
「あぁ、ちなみ大会に出るためにはどこに行けばいい?」
「それならギルドの受付で出来るぞ」
「ありがと。おっちゃん」
そう言って俺は受付に行く
「大会に出たいんですが」
「はーい、じゃあここに名前とかを書いてくださいねー」
そして俺はなにも書かずに無記名で提出した

「はい、受付は終了です。大会は1週間後なのでよろしくお願いしますねー」
「わかりました」
そう言って俺はギルドを出た


さて、これから何をするかな…
大会は1週間後だから時間に余裕はある
防具屋でも行くか?
俺の今の装備はお世辞にも強いとは言えない…武器以外は…
だったら防具屋に行くか…


防具屋に向かう途中細い路地の奥から話し声が聞こえてくる
「ーー、ーー!」
ちょっと気になったので気配遮断を使って路地に入る

路地はジメジメとしていて結構暗い所々にコケが生えており、手入れがされていない事がわかる
「ーーわ!」
「ーんーーー」
ちょっとずつ聞こえてくる
まぁ気配遮断を使ってるからよっぽどの事がない限り大丈夫だろう
さらに路地を進む

ちょうど角を右に曲がった先に話していた2人がいる
1人はちょっと長い緑の髪と緑の目をした男性でもう1人は金髪で青い目をした少女だった
堂々と2人の話を盗み聞きする
男性が
「お前だけは逃げろ!」
少女は
「逃げてどうするの!?」
なんだろ?
少し考えていると俺の後から複数の足音が聞こえてくる
男性は足音を聞いたようで少女に言う
「ヤツらが来る!とりあえず別々に逃げよう!後で合流だ」
少女は頷いて路地を奥に走っていった
男性は動かないで下を向いている
「………」
男性は顔を上げ俺の後に視線を向ける

なんだこの状況?
細い路地に男性、俺、さっきの足音のヤツらと並んでるんだが?
俺の場違い感が半端じゃないんだが?

さっきの足音のヤツらは黒い服を着ていた
人数は3人だ
男性は
「あの子を追いかけるのはやめろ、警戒される」
と言う
「やめるわけねぇだろ?アイツは希少な種族なんだからな」
「だからって闇奴隷はダメだろ」
闇奴隷?違法奴隷のことか?
「知らん、じゃまするなら直ぐにでもお前を殺すぞ」
「まぁまて、まだアイツは成人にもなってない、それなら成人まで待った方がいいんじゃないのか?」
……どういうことだ?黒い服のヤツらはヤバイヤツらってことはわかった
だが男性はどっちなんだ?
少女を逃がしてたしな…
男性に話しを聞くのが1番いいか
じゃあ黒い服のヤツらを殺すか

俺は気配遮断を使って黒い服のヤツらの後に行く
そして鎌を背中から外して手に持って思いっきり振る
「………」
たった一度で黒い服のヤツらの首は飛ぶ
首があった場所からは噴水のように血が吹き出る
男性に近づいて
「なァ、どういうことだァ?」
と満面の笑みで聞く

夜は更けていく……



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