クラスにハブられた僕は罪を背負いながら頑張ります

煮干

食前の運動

 白い無地のタオルで体をふく。匂いはなく、粗いせいで体が擦れて痛い。手を伸ばして代わりの服をとる。白一色で、肩幅があわないうえにズボンがいらないとさえ感じるほど裾も長い。その時、脱衣所の扉からノックをする音が聞こえる。


「ノゾムー、夕ご飯になるよ」


 どうやらリアが夕食を知らせにきたみたいだ。


「わかった、今行く」


 そそくさとズボンをはいて扉を開く。外にはリアがいて、僕を見た瞬間に腹を抱えて笑いだした。おおかた、なにを笑っているのかは察しがつく。


「しかたないじゃん。大きさこれしかなかったんだから」


 ただ言われているだけでは不満だ。僕も仕返ししてやろうとリアの全身をくまなく見る。


「あ……」


 その時僕は気づいてしまった……リアの胸のあたりが張り裂けそうになっていることに……。途端に顔をそらす。もしもリアに勘づかれたらおもちゃにされるからだ。


「どこを見てたのかなぁ?」


 気づかれていた……どうやって誤魔化すか……。


 考えていると、二階から足音が聞こえる。視線を階段に向けるとパブールさんがいた。パブールさんは僕たちに気づいて、微笑みをうかべる。


「そこで立ち話もなんですから、お食事をしながら楽しくお話といきませんか?」


「はい!」


 すかさず僕は返事をする。パブールさんがつくってくれたこのチャンスを無駄にするわけにはいかない。


 僕が食堂へ歩き出すと、腕を引っ張られる。振り向くと、不気味な笑みをうかべたリアが腕をがっしりとつかんでいた。


 嫌な予感しかしない……。


「な、なに?」


「大事な話の最中にどこに行こうとしてるの? パブールさん、僕達は大事な話しが済み次第行きます」


「して……!?」


 言い終える前に腕を強く引っ張られ、口を塞がれる。すぐに口を塞ぐ手をひきはがそうとするが、リアの力には勝てなかった……。


 パブールさんは小首をかしげるものの、食堂へと歩いていった。必死にくぐもった声をあげるがパブールさんには届かない。ついに食堂の中へと消えていった。


「じゃあ、お仕置きね……」


 耳元で囁かれると体がビクリとはねる。今、この場所には二人……なにをされるのかはだいたい分かっている。何としてでも避けようと必死に暴れるが、抵抗もむなしく僕は脱衣所へと連行された……。



 やっと開放されるが呼吸は今だに整わない。衣服の擦れる刺激すら今の僕には相当なものに感じる。


「足がガクガクだねノゾム」


 リアはさぞ満足しただろうが僕は違う。あの数分間休むことなくこちょこちょをされて脱力しきっているし、さらに体も敏感になっている。


「リアのせ……!?」


 背中をなぞる指の感覚に甘い声がもれてしまう。とっさに口を抑えたが、今の声を自分がだしたなんて信じたくない。


「女の子みたいな声だすねー」


 リアがさらに追い討ちかける。全くその通りだ……女の子のような声だった……。


「少し休んでから行く?」


「大丈夫……」


 僕は首を横に振る。きっともう優もパブールさんも食事の準備をしている。これ以上待たせることは出来ない。


 僕はリアに支えられながら食堂へと向かった。


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