クラスにハブられた僕は罪を背負いながら頑張ります
恋の病、発病
部屋の中は思ったよりもなにもなかった。奥の窓側には机とイスがあり、その少し横にベッドがある。ベットのシーツはシワひとつなく、いつでも客人を招けるように準備をするパブールさんの粋な計らいが見える。
僕が周りを見渡していると、耳元でスンスンという音が聞こえる。振り向くと、リアが僕のにおいをかいでいた。
「なに?」
僕が怪訝そうに見ると、リアは慌てて離れる。
「ちょっとね。最近体を流してないからくさいかなぁと思って……。僕も行くけど、ノゾムはどうする?」
どうするってそんなの……。
僕が悩んでいると、リアは耳元でつぶやいた。
「一緒に洗いっこする……?」
心臓がドキッとし、鼓動が早くなる。たちまち頭の中はリアの裸体……僕はとっさに首を横に振る。いけない、そんな邪な考えはしちゃいけない。
「一人で洗えるよ!」
そう言うのと同じタイミングで部屋のドアからコンコンと音が鳴る。見ると、パブールさんがいた。
「あ……体を流すのなら服も着替えた方がよろしいですね。他にも必要な物があれば、なんなりとお申し付けください。できる範囲で準備させていただきます」
パブールさんはそう言ってスタスタと階段を降りていった。パブールさんはなにを言いにきたんだろう……?
リアはお風呂に行った。一人になるとものすごく退屈だ。ボッーとイスに座っていると、また部屋のドアがコンコンとなる。
「俺」
声でわかるが、その言い方はないだろう……。僕は苦笑いをうかべながらドアに近づく。ドアを開けるとやはり優がいた。
「もうちょっと違う言い方しようよ……」
「いいじゃん、わかったんだから。それよりも聞きたいことがあるんだよね」
聞きたいこと……?
「なに?」
「望は強くなる気はあるかい?」
さっきまでの和やかな雰囲気は消え、張り詰めた空気になる。
強くなる気……当然ある。あの時もっと僕が強ければリアは怪我をしなかった。強ければ、優に助けてもらわなくてもリアを助けることができた。
「ある……もっと強くなって大切な人を守りたい……僕の居場所を守りたい」
「了解。ならヴァンスに稽古をつけてもらおう。彼も君と同じ能力だからね」
同じ能力……。
「ねぇ……もしかしてヴァンスさんが優だったりしない?」
沈黙がおとずれる。目の前にいる優と名乗る人物は考えこむと、口を開いた。
「そんなに知りたいなら教えてあげるよ。俺は優であいつはヴァンス。望たちとは違って、あの頃の召喚は精度が低かったんだよね。魂だけをこっちの肉体に転移させる秘術だったからさ」
見た目がそっくりなのはそういうことか。でもまだ信じられない……。
「まだ疑うのなら望の秘密をひとつ言おうかな」
「秘密……?」
「俺が大好きすぎて、トイレまでついてきたよね」
とたんに顔が熱くなる。あの頃は友達が優だけで、どこに行く時もついて行った。寝る時もご飯もおトイレも……。
「まだあるけど聞く?」
「もう……やめて……思い出したくない!」
優のことを思い出さないように封印していた記憶。当然この出来事を知ってるのは親か優、もしくは僕だけだ。他にもとんでもないことをしていた……それを言わないのは、優の優しさだろう。
「じゃあなんで僕らは全員ここに来たの?」
「魔法の国は俺を含む数人をこっちに召喚したんだ。もちろん、ヴァンスもその一人だ。その時に俺らの世界の人間は魔力が高いと分かったらしくてな。多分それでだ」
つまり、僕らが召喚されたのは魔法の国の戦力増強のためなのか……。
「おやおや?二人で何を話してるのかな?」
優の後ろから悪戯な笑みを浮かべたリアが現れる。
「そんな大した話じゃないよ。ね、優?」
「んー……秘密だな。な、望?」
バカ……。
瞬間、リアは頬をふくらませて不機嫌になる。
「ノゾム!なにを話したのか正直に言いなさい!」
秘密を保有するのが優と僕なら、付き合いが長いうえに弱い僕が標的にされる。
「魔法の特訓の話!僕、強くなりたいんだ……いつも守ってもらってばっかりじゃなくて、守りたいんだ!」
すると、さっきまで不機嫌だったリアの顔が微笑みに変わる。
「なんだ……そんなことか。なら、これからはノゾムに守ってもらおうかな」
「うん!」
僕は力強くうなずいた。
「じゃあ、僕は体を洗ってくるね」
そう言って優とリアの間をすり抜けて、僕は階段へと走り出した。途中、パブールさんにぶつかりそうになるも華麗にかわす。お風呂場に着く頃には呼吸が乱れていた。
「守ってもらおうかな」あの時の笑顔を思い出すと自然に口角があがり、顔が熱くなる。
これはたぶん恋かもしれない……。昔どこかでこんな症状がでると、本で読んだことがある。
たるみきった頬をバチンと強く叩いて引きしめる。お風呂に入っている間になおさなきゃ……。あ、そういえばリアが入ったあとなんだよね……そんなことを考えてまた顔が火照る。思いっきり顔をはたくも収まることはなかった。
僕が周りを見渡していると、耳元でスンスンという音が聞こえる。振り向くと、リアが僕のにおいをかいでいた。
「なに?」
僕が怪訝そうに見ると、リアは慌てて離れる。
「ちょっとね。最近体を流してないからくさいかなぁと思って……。僕も行くけど、ノゾムはどうする?」
どうするってそんなの……。
僕が悩んでいると、リアは耳元でつぶやいた。
「一緒に洗いっこする……?」
心臓がドキッとし、鼓動が早くなる。たちまち頭の中はリアの裸体……僕はとっさに首を横に振る。いけない、そんな邪な考えはしちゃいけない。
「一人で洗えるよ!」
そう言うのと同じタイミングで部屋のドアからコンコンと音が鳴る。見ると、パブールさんがいた。
「あ……体を流すのなら服も着替えた方がよろしいですね。他にも必要な物があれば、なんなりとお申し付けください。できる範囲で準備させていただきます」
パブールさんはそう言ってスタスタと階段を降りていった。パブールさんはなにを言いにきたんだろう……?
リアはお風呂に行った。一人になるとものすごく退屈だ。ボッーとイスに座っていると、また部屋のドアがコンコンとなる。
「俺」
声でわかるが、その言い方はないだろう……。僕は苦笑いをうかべながらドアに近づく。ドアを開けるとやはり優がいた。
「もうちょっと違う言い方しようよ……」
「いいじゃん、わかったんだから。それよりも聞きたいことがあるんだよね」
聞きたいこと……?
「なに?」
「望は強くなる気はあるかい?」
さっきまでの和やかな雰囲気は消え、張り詰めた空気になる。
強くなる気……当然ある。あの時もっと僕が強ければリアは怪我をしなかった。強ければ、優に助けてもらわなくてもリアを助けることができた。
「ある……もっと強くなって大切な人を守りたい……僕の居場所を守りたい」
「了解。ならヴァンスに稽古をつけてもらおう。彼も君と同じ能力だからね」
同じ能力……。
「ねぇ……もしかしてヴァンスさんが優だったりしない?」
沈黙がおとずれる。目の前にいる優と名乗る人物は考えこむと、口を開いた。
「そんなに知りたいなら教えてあげるよ。俺は優であいつはヴァンス。望たちとは違って、あの頃の召喚は精度が低かったんだよね。魂だけをこっちの肉体に転移させる秘術だったからさ」
見た目がそっくりなのはそういうことか。でもまだ信じられない……。
「まだ疑うのなら望の秘密をひとつ言おうかな」
「秘密……?」
「俺が大好きすぎて、トイレまでついてきたよね」
とたんに顔が熱くなる。あの頃は友達が優だけで、どこに行く時もついて行った。寝る時もご飯もおトイレも……。
「まだあるけど聞く?」
「もう……やめて……思い出したくない!」
優のことを思い出さないように封印していた記憶。当然この出来事を知ってるのは親か優、もしくは僕だけだ。他にもとんでもないことをしていた……それを言わないのは、優の優しさだろう。
「じゃあなんで僕らは全員ここに来たの?」
「魔法の国は俺を含む数人をこっちに召喚したんだ。もちろん、ヴァンスもその一人だ。その時に俺らの世界の人間は魔力が高いと分かったらしくてな。多分それでだ」
つまり、僕らが召喚されたのは魔法の国の戦力増強のためなのか……。
「おやおや?二人で何を話してるのかな?」
優の後ろから悪戯な笑みを浮かべたリアが現れる。
「そんな大した話じゃないよ。ね、優?」
「んー……秘密だな。な、望?」
バカ……。
瞬間、リアは頬をふくらませて不機嫌になる。
「ノゾム!なにを話したのか正直に言いなさい!」
秘密を保有するのが優と僕なら、付き合いが長いうえに弱い僕が標的にされる。
「魔法の特訓の話!僕、強くなりたいんだ……いつも守ってもらってばっかりじゃなくて、守りたいんだ!」
すると、さっきまで不機嫌だったリアの顔が微笑みに変わる。
「なんだ……そんなことか。なら、これからはノゾムに守ってもらおうかな」
「うん!」
僕は力強くうなずいた。
「じゃあ、僕は体を洗ってくるね」
そう言って優とリアの間をすり抜けて、僕は階段へと走り出した。途中、パブールさんにぶつかりそうになるも華麗にかわす。お風呂場に着く頃には呼吸が乱れていた。
「守ってもらおうかな」あの時の笑顔を思い出すと自然に口角があがり、顔が熱くなる。
これはたぶん恋かもしれない……。昔どこかでこんな症状がでると、本で読んだことがある。
たるみきった頬をバチンと強く叩いて引きしめる。お風呂に入っている間になおさなきゃ……。あ、そういえばリアが入ったあとなんだよね……そんなことを考えてまた顔が火照る。思いっきり顔をはたくも収まることはなかった。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,709
-
1.6万
-
-
9,544
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,171
-
2.3万
コメント