クラスにハブられた僕は罪を背負いながら頑張ります
移動
霧が立ち込める早朝。僕らは森の目の前にいる。
今日は優の隠れ家に行くことが目標だ。けど、そこへ行くには難所がある。それがこの森......僕が死にかけた場所だ。
飛んでくる矢、古典的な虎ばさみ、そして、最後は爆発。思い出すだけで背筋がゾッとする。
「ノゾム、ほら」
ハッとして声の方向を見る。そこには、手をさしのべて、心配そうに僕を見るリアがいた。
「ノゾムにとっては嫌な出来事だよね......でも大丈夫、僕が側にいるから。だから手を握って」
そうだ......今は一人じゃない。お兄ちゃんやリアがいる。僕よりもなん十倍......いや、なん千倍も心強い味方がいる。
僕は差し出された手を握る。リアの手の温もりが伝わって、心が落ち着く。
「ほら、望。俺の手も握って」
そう言って優は左手を差し出す。僕はあいている左手で優の差し出された手を握る。やっぱりごつごつして大きい手は安心感を覚える。
「じゃあ行くか」
そう言って優は森へと入る。それに続いて僕、リアの順で森に入った。
森の中は霧が濃く、目の前にいるはずの優は見えない。ただ、繋いでる手の感覚だけが唯一、優がいるんだということを証明する。
「そういえばリアってこの森に詳しくないの?」
恐怖を紛らわそうと、リアに質問をする。こうでもしないと気持ちがもたない。
「詳しいのは僕の管轄だけ。ここの森は管轄外だから分からないね」
なるほど、森の番人はリア以外にもいるのか。
「後はトラップも違うよ。僕はいちいち魔方陣書くのがめんどくさいから、古典的なものにしてるね」
めんどくさいって......リアらしいなぁと思い、僕はクスリと笑った。
それから僕とリアはたわいもない話をしながら、優に導かれるままに森を歩いた。しばらく歩くと、眩しさに手で顔を覆った。光になれ、ゆっくりと目を開く......ぼんやりでしか見えないが、なにかデカイ建物がある。さらに慎重に目を開くと、そこには中世のお城のような建物が見えた。
「どうだ。これが隠れ家だ!」
優は自慢げに胸を張る。だが、どうみてもこれは隠れ家じゃない。そもそも隠す気があるように感じられない。
「全然隠れてないね......」
リアが平然と言う。だが、優は動揺など一切せずにこう返した。
「人はまず来ない。来るにはエルフの森を通る必要があるからな。さらに森の後ろは崖。どうあがいて人は登れない」
僕の身長じゃ見えないが、この先は崖らしい。それにしても、太陽がまだ高い位置にあるというのにこの城は不気味だ。あまりにも古い見た目だから、なにかがでそうな雰囲気がある......。
「とりあえず中に入ろう。ここまで歩いてきて、リアも望も疲れただろ?今日はゆっくり休むといい」
そう言って優は木でできた大きな扉を押し開いた。中は、外見からは想像もつかないほど手入れされた庭が広がる。
「どうだ、驚いただろ?」
そう言うと、優は鼻高々になる。だが、庭に響いた声が優の鼻を折った。
「お前じゃない!私だ!」
声の方向にはメイド服を着た、赤髪でたれ目の女の人がいる。手には庭ばさみを持っていて、庭の手入れをしていたようだ。
「いたのかパブール。紹介するよ、あの女性はパブール。主にお城の手入れと料理を作ってくれている。ここだけの話、料理はリアの方が何倍もうまい......」
優は小声のつもりなのだろうが、パブールさんにはバッチリと聞こえてたらしい。怒声が庭に響きわたる。
「聞こえてるぞユウ!」
優は肩をすくめて大袈裟に驚く。パブールさんはというと、笑顔で手に持った庭ばさみを開いたり閉じたりする。
「お前も一緒に手入れするか?」
言い終わる前に優は走り出してどこかへ行ってしまった。後に残された僕とリアは顔を見合わせる。パブールさんはというと大きなため息をついている。
「お騒がせして申し訳ございません。改めて自己紹介します。私はパブール。主に料理と庭のお手入れをしていて、戦闘には参加しません」
パブールさんは深く頭を下げる。僕もつられて頭を下げた。
「じゃあ僕たちの番だね。僕はリア。見ての通りエルフだよ。よろしく!」
「僕は新田望です。優の弟です」
するとパブールさんは口に手をあて、驚いた表情をする。そして、ゆっくりと目を和ませてクスッと微笑んだ。
「言われないと分からないですね......」
言われないと分からない......そりゃあそうだ。だいたい身長も違うし、髪の色も違う。大抵の人は別人だと思っても仕方ないことだ。
「立ち話もなんですから、旅のお話をお茶を飲みながら話しませんか?」
「いいですね!」
先頭を歩くパブールさんの横をリアは歩く。僕はその後ろをついていった。
今日は優の隠れ家に行くことが目標だ。けど、そこへ行くには難所がある。それがこの森......僕が死にかけた場所だ。
飛んでくる矢、古典的な虎ばさみ、そして、最後は爆発。思い出すだけで背筋がゾッとする。
「ノゾム、ほら」
ハッとして声の方向を見る。そこには、手をさしのべて、心配そうに僕を見るリアがいた。
「ノゾムにとっては嫌な出来事だよね......でも大丈夫、僕が側にいるから。だから手を握って」
そうだ......今は一人じゃない。お兄ちゃんやリアがいる。僕よりもなん十倍......いや、なん千倍も心強い味方がいる。
僕は差し出された手を握る。リアの手の温もりが伝わって、心が落ち着く。
「ほら、望。俺の手も握って」
そう言って優は左手を差し出す。僕はあいている左手で優の差し出された手を握る。やっぱりごつごつして大きい手は安心感を覚える。
「じゃあ行くか」
そう言って優は森へと入る。それに続いて僕、リアの順で森に入った。
森の中は霧が濃く、目の前にいるはずの優は見えない。ただ、繋いでる手の感覚だけが唯一、優がいるんだということを証明する。
「そういえばリアってこの森に詳しくないの?」
恐怖を紛らわそうと、リアに質問をする。こうでもしないと気持ちがもたない。
「詳しいのは僕の管轄だけ。ここの森は管轄外だから分からないね」
なるほど、森の番人はリア以外にもいるのか。
「後はトラップも違うよ。僕はいちいち魔方陣書くのがめんどくさいから、古典的なものにしてるね」
めんどくさいって......リアらしいなぁと思い、僕はクスリと笑った。
それから僕とリアはたわいもない話をしながら、優に導かれるままに森を歩いた。しばらく歩くと、眩しさに手で顔を覆った。光になれ、ゆっくりと目を開く......ぼんやりでしか見えないが、なにかデカイ建物がある。さらに慎重に目を開くと、そこには中世のお城のような建物が見えた。
「どうだ。これが隠れ家だ!」
優は自慢げに胸を張る。だが、どうみてもこれは隠れ家じゃない。そもそも隠す気があるように感じられない。
「全然隠れてないね......」
リアが平然と言う。だが、優は動揺など一切せずにこう返した。
「人はまず来ない。来るにはエルフの森を通る必要があるからな。さらに森の後ろは崖。どうあがいて人は登れない」
僕の身長じゃ見えないが、この先は崖らしい。それにしても、太陽がまだ高い位置にあるというのにこの城は不気味だ。あまりにも古い見た目だから、なにかがでそうな雰囲気がある......。
「とりあえず中に入ろう。ここまで歩いてきて、リアも望も疲れただろ?今日はゆっくり休むといい」
そう言って優は木でできた大きな扉を押し開いた。中は、外見からは想像もつかないほど手入れされた庭が広がる。
「どうだ、驚いただろ?」
そう言うと、優は鼻高々になる。だが、庭に響いた声が優の鼻を折った。
「お前じゃない!私だ!」
声の方向にはメイド服を着た、赤髪でたれ目の女の人がいる。手には庭ばさみを持っていて、庭の手入れをしていたようだ。
「いたのかパブール。紹介するよ、あの女性はパブール。主にお城の手入れと料理を作ってくれている。ここだけの話、料理はリアの方が何倍もうまい......」
優は小声のつもりなのだろうが、パブールさんにはバッチリと聞こえてたらしい。怒声が庭に響きわたる。
「聞こえてるぞユウ!」
優は肩をすくめて大袈裟に驚く。パブールさんはというと、笑顔で手に持った庭ばさみを開いたり閉じたりする。
「お前も一緒に手入れするか?」
言い終わる前に優は走り出してどこかへ行ってしまった。後に残された僕とリアは顔を見合わせる。パブールさんはというと大きなため息をついている。
「お騒がせして申し訳ございません。改めて自己紹介します。私はパブール。主に料理と庭のお手入れをしていて、戦闘には参加しません」
パブールさんは深く頭を下げる。僕もつられて頭を下げた。
「じゃあ僕たちの番だね。僕はリア。見ての通りエルフだよ。よろしく!」
「僕は新田望です。優の弟です」
するとパブールさんは口に手をあて、驚いた表情をする。そして、ゆっくりと目を和ませてクスッと微笑んだ。
「言われないと分からないですね......」
言われないと分からない......そりゃあそうだ。だいたい身長も違うし、髪の色も違う。大抵の人は別人だと思っても仕方ないことだ。
「立ち話もなんですから、旅のお話をお茶を飲みながら話しませんか?」
「いいですね!」
先頭を歩くパブールさんの横をリアは歩く。僕はその後ろをついていった。
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