クラスにハブられた僕は罪を背負いながら頑張ります

煮干

エルフの集落

あの森から数十分くらい歩くと巨木を中心に家が集合している集落のような所についた。

「あれ?リアは何でここに住んでないの?」

僕はふと思った。なぜリアだけ離れて暮らしているのか、罪人や嫌われているとも考えづらい。もし仮にそうだったとしたらあの時にメル婆が助けに来るはずなんてない。

「それは私が森の番人っていう役職に就いてるからだよ。」

「森の番人?」

「聞きたい?気になる?」

リアは目を爛々と輝かせる。鼻息も荒く、ものすごく語りたいと訴えかけてくる。こうなって聞くとリアの話は止まらない。逆に聞かないといじけてしまう。

「うん、気になる。」

「森の番人ってのは…」

「森を守る人、だから罠のように魔術を張り巡らことを得意とする。もちろんその魔術系統にも精通している。ちなみにエルフの職業でも給料がよく、就職はなかなか難しい。」

優はペラペラと話す。リアよりも簡潔に説明してくれるのはありがたいが、こうなるともちろんリアはすねる。

「ふーん、ノゾムのお兄さんは物知りなんだね、ふーん。」

リアは両腕を頭で組んで口を尖らせる。

「リ、リアの話も聞きたいな!」

するとリアは満面の笑顔になる。

「ノゾム大好き!」

リアに抱きしめられるとリアの胸に顔が埋もれ、息苦しさを覚える。

「リ、リア苦しい!」

「あーごめんごめん。それで森の番人は...」

僕を離すと人差し指を立てて、過去を思い出すかのように目をつぶった。

「ついたぞ。」

またしても優に邪魔されたリアは膨れっ面になる。こうなると機嫌を直すのがなかなか難しい。

「すごい...」

目の前にある木は遠くから見たよりもなん十倍の迫力がある。大きさも森で見た木とは比較にならないほどに大きい。

「この木はエルフの長が住む家。昔からこの木は空と近いから神様に最も近づけると言われてるんだ。」

リアはここぞとばかりに木の説明をしてきた。さっきまで優に阻まれてばかりいたからこの機会を好機と考えたのだろう。リアにしては話が短く、さっきのでなにかを学習したようだ。

「望、入る前にお辞儀しなきゃだぞ。」

そう言うと、優は深々と頭を下げる。僕も見習って深々と頭を下げて、優の後ろについていった。


日本とは違い、エレベーターは存在しない。魔法の力でもできないことはあるんだと身に染みて理解する。

長い階段を上っていると僕は膝に手つき、肩で大きく呼吸をする。後この階段をどれだけ上ればつくのだろうか...。

「ノゾム疲れすぎ~。おんぶしようか?」

「いい...僕にもプライドがあるんだ...。」

女の子におんぶなんて男がすたる。

僕は袖で額の汗をふき、また歩き出す。少しして、やっと広いところに出た。

「ついた!」

階段を登っただけなのにとてつもなく大きな事をやってのけたような達成感が込み上げる。だが、そんな僕にメル婆から無慈悲な一撃が飛んでくる...。

「もう少し上に行くか?ここじゃあ景色がちと良くないからな。」

優は僕を見る。僕は残りの力を振り絞り、全力で首を横にふる。

「すみません、うちの弟は限界なようなのでここで話をしましょう。」


「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く