クラスにハブられた僕は罪を背負いながら頑張ります

煮干

融解

あれから数ヶ月が経った。傷がいえて、歩くことも走ることもできるようになった。

だからこそ今日打ち明ける。僕が人殺しだということを、それでリアに嫌われてもそれが罪の代償だ。


「ノゾム?なんか元気ないぞ?」

僕の顔をリアがのぞきこむと、とっさに顔をそらした。いまだに僕は不意にくるこの仕草に慣れない。

「熱あるのかな?」

リアの手の温かさが、僕のひたいを通して伝わってくる。

「熱なし。じゃあどうしたんだい?」

よつん這いになるとある部分に目がいってしまう。体がほてって、心臓の鼓動がいっそう大きくなる。

「あの……伝えたいことがあるんです...。」

「なになに?」

「ぼ、僕の告白を聞いてください!」

「えぇ!?」

リアはすっとんきょうな声をあげて後ずさる。

「ノゾムの告白は嬉しいよ?でも僕はエルフだし…。」

こんなに照れているリアは初めて見る。でも、今はそれよりも大事な話の方が先だ。

「違うんです!もっと大事な話なんです!」

「も、もっと……分かった。外で話そ?ね?」


「で?話って?」

僕は大きく一回深呼吸する。そして、ゆっくりと僕と優のこと、いじめのことを話した。気分が悪くなって、何回か止まった。それでもリアは途中でさえぎることなく、最後まで無言で聞いてくれた。

「……そっか、そんなことがあったんだ。ノゾム、ちょっとおいで。」

僕は言われるがままにリアに近づいた。次の瞬間、弾力のある、柔らかい何かが顔に当たる。リアの臭いがして、自分の顔がどこに埋もれているのか察した。

「よく頑張ったね、えらい...えらい...。ノゾムが罪を償いたいなら生きることだよ。」

「そんなことで許されるのかな?」

「僕がもしもユウなら、友達で、しかも兄弟のノゾムに死んでほしいなんて思わない。僕のぶんも生きて、幸せになってほしいって願うよ。」

なでられた手から伝わる温もりが、僕をなぐさめてくれる優しい言葉が、罪の苦しみをとかしてくれる。涙があふれて止まらなくなり、僕は声も殺さずに子供のように泣きじゃくった。その間もずっとリアは優しく頭をなで続けてくれた。


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