クラスにハブられた僕は罪を背負いながら頑張ります

煮干

トラウマ

 僕には双子の兄のゆうがいた。人と話すことが苦手で、唯一の友達で血をわけた兄弟。そんな優と五歳の時、生まれて初めての喧嘩をした。


 ――お前なんか死んじまえ!――


 軽い気持ちで放ったその一言が優を傷つけるとは思いもしなかった。優は泣き出して走って僕から逃げるようなことをした。だから追いかけた。


 ――待てよ!――


 いくら呼んでも優はスピードを落とさない。そのまま駅前の交差点まで来た。


 ――止まれ!――


 トラックに気づいた俺はとっさに呼び止める。だが、優が走るのをやめることはなかった。


 届かない――そのまま優は赤信号を渡る。


 クラクションでようやく気づいた頃には遅かった。優にトラックが衝突する。ブレーキ音と生々しく耳に残る鈍い音がまざりあって脳をかき乱す。水風船が破裂したように飛び散る血はスローモーションのようにゆっくりと動く。たまらず僕は嘔吐した。目の前には見るも無惨に変わり果てた優。視界が涙で歪み、頬を涙が伝う。


 それからのことはよく覚えてない。だけど一つだけ確かな事がある。それは僕が優を殺したこと......。そしてそれが僕の人生を苦しめた。



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